高速道路/重量2倍超、初の告発 東西で82トンと53トン通行
産業
2015/06/08 0:00
重量超過車両の通行に対する処分を厳罰化する、道路法の新たな実施方針に基づき、東西2件の事案を初めて告発――。東日本高速道路(広瀬博社長、東京都千代田区)の関東支社と西日本高速道路(石塚由成社長、大阪市北区)の関西支社は3日、日本高速道路保有・債務返済機構(勢山広直理事長)と連名で、車両制限令で定められた一般的制限値25トンの2倍超を通行させたトラック事業者と運転者を、それぞれ管轄の警察署に告発した。(田中信也) 今回の事案は、いずれも4月14日の取り締まりで発覚。国土交通省や所管警察、高速道路機構などとの調整を経て、初の告発に至った。車両総重量は、それぞれ82.05トン、53.35トンで、極めて悪質な事案と判断。新方針を初めて適用するとともに、広く啓発を呼び掛けるため公表に踏み切った。 東日本高速のケースでは、東関東自動車道下り・宮野木本線料金所(千葉市花見川区)で、総重量82.05トンの大型トレーラを発見。運転者と雇用先の重機運輸機工(中川孝則社長、浦安市)を千葉県警に告発した。「同社は、これまでも道路法違反を繰り返す常習違反者で、再三の指導にもかかわらず、改善がみられなかった」(関東支社) 一方、西日本高速の事案では、第二神明道路上り・明石西本線料金所(兵庫県明石市)で、53.35トンの大型トレーラを通行させた運転者と京都市のトラック事業者(非公表)を兵庫県警に告発した。 高速道路機構は「高速道路各社による取り締まりで、告発の基準を上回る事案が数件ある」(総務部管理課)としており、今後も告発事案が増えそうだ。同機構と東日本、西日本の両高速道路は、今後も関係機関と連携を図り、道路法違反車両に対して厳正な行政措置を行い、安全で円滑な交通の確保に努めていく――としている。 これまでは、道路法47条第2項に基づく重量、幅、高さなどが最高限度を超える車限令違反といった、悪質な違反を繰り返す常習者を対象に告発。過積載車両の道路の劣化に与える影響が深刻化する中、国交省は2014年に策定した大型車通行の適正化方針で、車限令違反を厳罰化する方針を決定した。一般的制限値を2倍以上超過した違反者に対して「即時告発」する方針が打ち出され、2月から施行。高速道路6社は新方針に基づき、悪質違反者への厳罰化を図ってきた。 【写真=重機運輸機工が通行させた総重量82.05トンのトレーラ=東日本高速提供】