明治ロジテック社長 沢田仁さん、複合物流で品質追求 車載機駆使し効率化図る
物流企業
2015/05/28 0:00
明治ロジテック(沢田仁社長、東京都文京区)は、親会社の事業展開と更なる連携を図り、新領域である「複合物流」に挑戦している。明治グループの物流機能会社を立ち位置とし、食品全般をカバーする機動力を強化。4月1日付で就任した沢田社長(59)に、足元の経営課題に対する今後の「処方せん」を聞いた。 ――物流の世界の景色はどう映るか。 明治グループは商流と物流が分離されており、我が社は物流に特化している。販売は商談など一人作業が基本となるが、物流も突き詰めると一人作業が本質。両者に大きな違いは無い。物流は現場管理が原点だと実感している。明治グループへの貢献が最大ミッションで、物流サービスを安定的・効率的に提供することが第一。現場の皆さんには実直に業務を遂行してもらっている。 ――物流業界は環境が激変している。 ドライバー不足などに起因した人件費上昇や燃料価格の乱高下といった構造的問題があるが、これらの状況変化に応じた仕組みづくりが最大のテーマ。40カ所程度構える拠点の最適配置や、より効率的な配送システムを検討したい。サプライチェーン(供給網)をひも解かないと問題の本質に行き着かないため、まずは課題を明確にする。 ――前期(2015年3月期)に新設したセンターが試金石となる。 愛知物流センター(愛知県稲沢市)を1月に本格稼働させた。菓子の取り扱いを新たな命題に据え、常温と定温の2温度帯機能を装備。乳製品といった日配品は、物量の波動が小さいのに対し、菓子は特売日に出荷量が倍増することもある。ピークに合わせて体制を整えなければならず、コストダウンと品質追求が課題。従来はチルド品の単一物流だったが、今後は複合物流を推進する。 ――協力会社とのパートナーシップが重要になる。 200社超の協力会社とのネットワークをより強固にして、物流の安定化を図る。魅力のある職場にしないと、人手不足は解決しない。納品時の待機時間解消などの施策を実行している。また、コストが上昇局面にあることから、元請けの責務として収益構造の改革に努める。安全と安心の実現に向け、現場管理も徹底していく。特に、チルド食品は物流品質が生命に直結する。我々の果たす責任は非常に重い。 ――品質を担保する新たな施策は。 運行管理システム「MPViS―21」を改良し、上期(4~9月)から千台のトラック導入を進めていく。多様化する消費者ニーズへの対応も課題。少量・多品種の流れに即応しないと収益が低下する。車載器を駆使して車両回転率をアップさせるなど効率化を図る。協力会社とのコミュニケーションも従来同様、経営トップからドライバーに至る各層と密にする。 ――海外事業や共同物流に乗り出す物流子会社も散見される。 海外進出は全く考えていない。国内でやるべきことがある。複合物流の構築が先決。幹線輸送だけでなく、エリア配送でも多温度帯の一括納品を手掛けていく。向こう2、3年以内に複合物流の仕組みを完成させたい。また、現場レベルで他社との協力関係が無いわけではないため、共同で物流を構築するなどの提案をしていきたい。 文・写真 沢田顕嗣 さわだ・ひとし 1956年4月生まれ、北海道出身。79年小樽商科大学卒業、明治乳業入社。市乳販売本部市乳販売部長、FNS事業部長兼フレッシュネットワークシステムズ社長、明治フレッシュネットワークの取締役専務執行役員などを歴任。2015年4月から現職。 ◆企業メモ◆2008年4月、東京牛乳運輸とカントラが合併して新たに出発。低温輸送で培ったノウハウを基に、3温度帯輸送やサードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業を展開。売り上げは、14年3月期が446億円、15年3月期は464億円。