全流協/PJ発表会開く 女性の視点で環境整備
団体
2015/05/21 0:00
全国物流ネットワーク協会(瀬戸薫会長)は14日の社員総会と事業報告会で、女性ドライバーの働く環境を考えるプロジェクト(PJ)の発表会を実施した。労働力確保が喫緊のテーマとなる中、現役女性ドライバーの視点で職場の環境を整備する必要性を指摘。PJに参加した「トラガールPJ2020」のメンバーが登壇し、具体的な施策を提示するとともに、「経営者の関与が不可欠」との見解を示した。 PJは物流開発委員会(勝又長博委員長)が女性ドライバーの就労環境に関して意見交換したことを契機に、2014年10月に発足。6社(佐川急便、山紀、西濃運輸、新潟運輸、名鉄運輸、ヤマトホールディングス)の女性社員6人が、勤務形態や職場施設、作業体制、子育て支援策などについて半年かけて議論した。 発表会は、座長を務めた石田悟子氏(佐川急便文京営業所)の趣旨説明に続いて、村石香織氏(西濃運輸京浜ターミナル支店)がガイドラインの内容を説明。村石氏は女性が活躍するための基本的な考え方として、「期待する」「機会を提供する」「声を掛ける」の「3K」を列挙。女性ドライバーに期待されることには「社内コミュニケーションの活性化」「コミュニケーション能力の高さが営業につながる」「お客さまに安心を提供する」などを例示した。 また、具体的施策の一環として作成した「職場環境の整備」「働きやすい環境づくり」「採用方法」「制度の整備(仕事と育児の両立支援への対応)」に関するチェックリストを紹介。その上で、女性の体の特性を理解・尊重することや、セクシュアル・ハラスメント対策の重要性にも言及した。 最後に、「女性ドライバーは企業が生き残るために必要。『ドライバー=男性』の固定観念を排除し、性別に関係無く、一人ひとりの能力を見極め、最大限生かす」ことを提言。女性の視点が会社の発展につながるのみでなく、若い男性や高齢者など属性にとらわれない職場環境の整備に結び付くとし、「働きやすい環境の実現には、経営者の関与が欠かせない」と強調した。 懇親会では、瀬戸会長が「女性を戦力とすることが大切。肉体的な負荷などは大きなハンディキャップだが、女性の目線で考えれば女性ドライバーは増えると思う」と指摘。更に、「将来のドライバー不足に対応する研究会『10年先の幹線運行を考えるプロジェクト』を前年度に立ち上げた。今年は無駄をなくす取り組みを始める元年。一緒に新しい仕組みを考え、生産性を上げたい」と抱負を述べた。(沢田顕嗣) 【写真=西濃運輸の村石香織氏(左から3人目)らが具体的な施策を提示】