山藤運輸、バイオマス事業に参入 液体肥料を運搬・散布
物流企業
2015/05/04 0:00
【宮城】山藤運輸(佐藤一四郎社長、宮城県南三陸町)は、新規事業として液体肥料の運搬と散布に取り組んでいる。今春には、作業効率を高めるため散布車を導入。地元の南三陸町が目指す、バイオマス事業を軸とした環境に優しく災害に強い町づくりの実現に向け、重要な役割を担う。(今松大) 同町は、内閣府など関係7府省が推進する「バイオマス産業都市構想」に応募し、2014年2月に認定されている。同7月には、産業廃棄物のリサイクルを手掛けるアミタ(熊野英介社長、東京都千代田区)とバイオガス事業実施計画の協定を締結。官民連携で事業を開始した。 町内にプラントを建設し、住宅や店舗から排出される生ゴミや、し尿汚泥などの有機系廃棄物を発酵処理することで、バイオガスと液体肥料を生成。バイオガスは発電に、肥料は農地に散布し、コメ、ネギ、キャベツなどの育成に利用する。地域内の資源を使い、還元する計画だ。 山藤運輸は、昨年の秋から田んぼでの液体肥料の散布を始めたが、手作業で行っていた。この春、散布車を導入したことにより、処理能力は3倍以上になり、年間150トンをこなせる。トラック業界の発想をヒントに、独自のキャラクターをラッピング。絵柄が描かれた散布車は、日本でも珍しい。作業には3~5人のドライバーらが対応し、物流の閑散期に従事する予定だ。 同社の佐藤克哉常務は「運送事業の強みを生かして地域に貢献したかった。町は東日本大震災で甚大な被害を受けたが、災害に強く安心して暮らせる町づくりを目指す」と意欲をみせる。 【写真=オリジナルキャラクターをラッピングした散布車】