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<トップに聞く>住商グローバル・ロジスティクス社長・日比生裕一氏 物流の新価値を創造 国内外一体 ニーズに対応

物流企業

2015/04/30 0:00

 「物流の新しい価値を創造すること」――。住商グローバル・ロジスティクス(東京都中央区)の日比生裕一社長は、今後の指針を簡にして要を得た表現にまとめる。4月1日付で就任すると同時に、住商グループ海外法人の子会社化に着手。2015年度内に国内外がより一体となり、顧客ニーズに即応できる体制を築く。どう認識しているか。  人手不足などの状況は承知しているが、物流に求められる役割が大きく変化していくとは思わない。ただ、新たなニーズは確実に発生しており、高付加価値の仕事を手掛けるチャンスは広がっている。  ――人材が成長を大きく左右する。  経営理念には「個人の尊重、自由闊達(かったつ)、自己成長」「競争力のある、高品質な物流サービスの提供」を掲げている。これを今一度よく理解して欲しい。毎日の業務を遂行する中で、個々が最大限の力を発揮し、顧客の信頼を獲得することが大事。その上で、新たな仕組みを導入してもらいたい。  ――求める人材像は。  自発的に成長する意欲を強く持って欲しい。15年から「SGLまなび塾」を開講した。受講者は本社の人間が中心になるが、テレビ会議形式を取り入れており、地方勤務者の参加も歓迎している。横の連携を密にすることで、仕事の意味合いを理解してもらうのが狙いだ。  ――住商グループの海外法人の位置付けを見直す。  端的に言うと、SGLジャパンに集約する。従来も国内外の連携はしてきたが、ノウハウを共有して業容の拡大に結び付けるのが眼目。子会社化は米国とドイツの法人を皮切りに、インドネシア、タイ、ベトナム、中国と全6社を対象に実施する。16年3月末までに完了させる。  ―― 規模が急拡大する。  売り上げは国内が300億円強で、海外は単純合算で同等レベルとなる。16年3月期の売り上げは600億円くらいになる見通し。海外は住友商事との一体運営も更に推進する。住友商事が上組と組み、ミャンマーで物流事業に参入する。こうした案件にも積極的に関わり、海外ビジネスの強化を図る。一方、国内は延べ床面積23万1千平方メートルのセンターを生かし、親和性のある企業とのアライアンスを探っていく。  ――物流機器のレンタル事業も柱の一つに据える。  折り畳み式の液体専用コンテナ「マキシコン」を全国ベースでレンタルしている。食品やトイレタリー、化粧品などに利用され、商品の効率的な輸送・保管に貢献している。今後も年に1500基から2千基の投資を実施したい。容量も1トンのサイズだけではなく、ハーフトンや200リットルも取りそろえ、化学品などの需要にも応じていく。  ――最後に将来展望を。  住商グループが創業100周年を迎える20年3月期には、収益規模を倍増させたい。14年10月に設置した新事業開発室を中心に、新分野への挑戦を目指している。付加価値を常に追求し、お客さまから感謝される仕事をし、新たなお客さまを紹介していただく。これほどうれしいことはない。  文・写真 沢田顕嗣  ひびお ゆういち 1961年9月生まれ。85年東京大学法学部卒業、住友商事入社。海外赴任を経て物流保険事業本部の物流事業開発部長付などを歴任。2012年7月住商グローバル・ロジスティクス執行役員センター事業本部長、14年4月取締役執行役員管理本部長兼経営企画室長。15年4月から現職。  ◆企業メモ◆ 2006年4月の3社統合により誕生した。総合商社系物流会社として、グローバルネットワーク、情報力、信用力を武器に、生産地から目的地をシームレスに結ぶサービスを提供。16年3月期の売り上げは、住商グループ海外法人の子会社化により、600億円程度(14年3月期の単体売り上げは360億3600万円)を見込む。





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