国交・厚労・経産省■労働時間改善へ協議会 全ト協 適正運賃の最後の砦
行政
2015/04/23 0:00
国土交通、厚生労働、経済産業の各省が近く設置する「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」(仮称)に期待が集まる中、全日本トラック協会(星野良三会長)、自民党トラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)の動きが活発化してきた。全ト協サイドは同協議会を「適正運賃の最後の砦(とりで)」(全ト協首脳)と位置付けており、物流政策上の最大の課題である長時間労働改善と適正運賃収受という悲願成就に、最後の望みを懸ける構えだ。(北原秀紀) 自民トラ議連の細田会長、赤澤亮正事務局長は15日、自民党雇用問題調査会(森英介会長)に「今後の労働法制への対応について」と題する文書で申し入れを行った。全ト協からは坂本克己副会長と福本秀爾理事長が同行。調査会の川崎二郎顧問、厚労省の岡崎淳一労働基準局長、国交省の田端浩自動車局長も同席した。 これを受け、自民の同調査会は16日、経団連(榊原定征会長)、日本商工会議所(三村明夫会頭)、全国中小企業団体中央会(鶴田欣也会長)に、トラック業界の長時間労働の改善に向けた協力を要請した。 今国会で労働基準法改正案が成立すると、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が現行の25%から50%へ引き上げられ、適用除外だった中小企業も19年4月から対象となる。長時間労働が常態化しているトラック業界や飲食業界などは、労働環境の改善が待ったなしで、現状のままだと大きな負担は避けられない。法案に反対すると、長時間労働を世間にアピールすることになり、労働力確保がますます深刻化するリスクを負う。 細田氏らは、トラック業界の長時間労働が改善されなければ、大きな負担となることを強調した。とりわけ、今回は企業への指導監督権限を持つ厚労省が〝後ろ盾〞となっていることから、荷主と事業者の調整に期待が高まる。議連は申し入れで、協議会の早期立ち上げ、都道府県単位の協議会では主要な荷主をメンバーに加えて長時間労働の実態を根本的に解決することなどを求めた。 これに先立ち、全ト協は都道府県トラック協会に対し、主要な荷主や長時間労働で知られる荷主をピックアップするよう文書で要請。7日の専務理事連絡会議で、福本氏が改めて回答するよう協力を呼び掛けた。 行政(国交省)、荷主、事業者によるこれまでの「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」を衣替えし、新たに厚労、経産両省を加えた取引環境・労働時間改善協議会に格上げする今回の措置。物流業界の労働力不足が我が国の経済発展の足かせにならないための政府の判断とも言え、トラック業界の「最後のチャンス」に懸ける並々ならぬ意気込みが伝わってくる。 【写真=森会長(左から2人目)に文書を手渡す細田会長(その右)】