名門大洋フェリー、新基幹システム稼働 利便性向上・業務効率化
物流企業
2015/04/23 0:00
名門大洋フェリー(阿部哲夫社長、大阪市西区)は7月1日、クラウドサービスをベースした新基幹システムを本稼働させる。利用者の利便性向上と業務効率化が狙い。大阪・南港(住之江区)―北九州・新門司港(北九州市門司区)航路就航30周年記念の一環で、社内体制見直しや働きやすい職場環境づくりも進める。(落合涼二) 5月に旅客の予約から一部運用を開始する。インターネット上で予約から決済まで一貫して行えるようになるのが特徴で、決済終了後に認証コード(2次元バーコード)を発行。乗船口のスタッフがバーコードリーダーを使い読み取ることで、チケットレスでの乗船が可能になる。 これまでは、フェリーターミナルの窓口で必要な手続きを済ませていた。そのため、繁忙期になると窓口が混雑するだけでなく、スタッフの作業負担も増え、効率悪化が問題となっていた。 山本哲也常務執行役員は「フェリー会社は、船体の償却費、燃料代、人件費が3大コスト。省力化しつつ、市場で勝ち残っていくために様々な仕掛けを考えていく。新システム移行に伴い、料金の新割引制度も導入したい」と話す。 貨物については、無人航走化が一層進展すると予想。子会社のフェリックス物流(小塚勉社長、門司区)と共に、従来、二重入力してきた車番情報などの一元化を目指し、運送会社側で必要なデータを入力すればフェリーの予約が完了する仕組みを整える。 7月からテストを始め、効果の検証や課題を抽出しながら、最適な方法を模索。将来的にはパートナーの運送会社にもシステムを公開し、利用を呼び掛ける。 2014年12月に大阪・南港―北九州・新門司港の就航30周年を迎え、その集大成として9月と11月に、新たに2隻のフェリーを投入。総トン数は1.5倍に拡大し、積載能力がアップする。 船体の大型化に合わせ、新門司港ターミナルビル(同区)の新築工事と大阪南港支店(大阪市住之江区)の改装にも着手。桟橋の延長や乗船口の完全バリアフリー化により利便性を高めるとともに、新年度のスタートに合わせ、本社事務所の受け付けスペースをリニューアル。社内レイアウトも変更し、労働環境の快適化を図った。 ドライバー不足や労務管理面から長距離輸送の手段としてフェリー活用が増えつつあり、山本氏は「営業面でもクラウドを活用した情報共有の仕方を検討している。30周年を契機に、心機一転、更なるグッドサービスの提供に努めたい」と意欲をみせる。 【写真=本社事務所の受け付けスペースをリニューアル】