自民、経済3団体へ協力要請 割増賃金率 適用受け
団体
2015/04/20 0:00
自民党の雇用問題調査会(森英介会長)は16日、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(50%)の中小企業への適用を盛り込んだ労働基準法改正案が閣議決定されたことを受け、割増賃金率が適用される2019年4月までにトラック運送業界の長時間労働が改善されるよう経団連(榊原定征会長)、日本商工会議所(三村明夫会頭)、全国中小企業団体中央会(鶴田欣也会長)の経済3団体に対して協力を要請した。 協力要請は、自民のトラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)の申し入れに基づいたもの。申し入れの文書の中で、議連は「トラック運送事業では、荷主の都合で手待ち時間が発生しており、自助努力のみで改善することは困難。長時間労働が改善されないまま中小企業に割増賃金率が適用されれば、大きな負担増となる」と指摘。行政や業界、荷主が連携を図り、対応に万全を期すよう配慮を求めた。 具体的に要請したのは、4月中をメドに国土交通、厚生労働、経済産業の各省が発足させる「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」への措置。割増賃金率適用までに十分な取り組み期間を確保するため、協議会の速やかな設置を求めた。都道府県単位で立ち上げる地方協議会については、一般論を取り上げるのではなく、具体的な実態を捉えて改善策を検討。経済団体の代表に加え、地元の主要な荷主を参加させるよう促した。 経済3団体には、森会長と川崎二郎顧問が訪問。全国中央会では高橋晴樹専務と会談し、要請文を手渡した。会談後に開かれた記者会見で、森会長は「製造業のコスト削減のしわ寄せが運送業に及んでいる。業界ではドライバー不足が憂慮されており、処遇改善は喫緊の課題。この状況を荷主にも理解して欲しい」と話した。 一方、川崎氏は「デフレの影響で、値下げ交渉が当たり前のように行われてきた。しかし、これに運送会社が応じようとすれば、過積載したり、スピードを出したり、寝ないで運行したりという行為につながりかねない。双方が折り合いをつけ、ウインウインの関係を目指すべき」と強調。また、労基法の改正には、国会審議で野党の反発が予想されているが、「法案の成否に関係なく、取り組みを進めていく」と述べた。(山上隼人) 【写真=全国中央会の高橋専務に文書を手渡す森会長(中央)と川崎顧問(左)】