物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

国政研調査、10年で22%減 労働条件の改善必要

行政

2015/04/16 0:00

 国土交通政策研究所(大藤朗所長)の調査研究によると、トラックドライバーを含む「輸送・機械運転従事者」は2023年に13年比22%減の174万人へ減少する見通しだ。高齢化が進展し、50歳以上の割合は13ポイント増の63%に拡大。自動車運転に関わる産業で労働力不足の深刻化が懸念されることから、給与や労働時間といった労働条件の改善、高齢者が働き続けられる環境整備、雇用の幅の拡大などの対策を促した。(山上隼人)  10日、春季の「国土交通政策研究所報」を発表。この中で、小田浩幸研究官が調査研究した「自動車運転者の労働力不足の背景と見通し」を紹介した。労働力不足の原因について①他の職業に比べて人気が低い②高齢化の進展と労働市場の縮小③若者の離職や都会への流出――の仮説を立てて検証。それぞれの対策を示すとともに、将来の就業者人口を予測した。  調査研究によると、トラックやバス、タクシーのドライバーは以前から他の職業に比べて不足感が強いが、ここ数年で更に進行。有効求人倍率は13年に1.69となり、リーマン・ショック前の最高値だった1.56を上回った。全職種の合計が0.87のため、2倍近い水準に達している。  他の職業に比べて人気が低い――とした仮説の分析では、大・中型トラックドライバーと全産業の所得、労働時間を比較した。13年の実績をみると、大型トラックの場合、全産業に比べて所得が11%低く、労働時間は24%長いことから「人気が低いとしても不自然ではない」と指摘した。  高齢化の進展と労働市場の縮小を原因とした仮説については、総務省の労働力調査を基に分析。  全産業の年齢構成は、30歳未満が17%、50歳以上は37%となっているのに対し、ドライバー職は30歳未満が7%、50歳以上は51%だった。ドライバー不足の原因を高齢化とすることの立証まではできないが、「可能性としてはありそうだ」とした。  一方、若者離れを原因とすることについては、高校新卒者に関するデータに基づいて仮説を反証。13年の3年以内の離職率は、全産業平均は39.6%だったが、運輸・郵便業の方が33.5%と低かった。求人のうち実際に採用できた割合を示す「求人充足率」をみると、運輸・郵便業は新卒者の獲得に健闘。更に、県外(都会)での就職率が伸びていないことから「労働力不足の原因が若者にあるとは言えない」と結論付けた。  こうした仮説を検証した後に、対応策を明示。労働条件の改善や職場環境の整備、女性や大卒に注目した雇用の幅の拡大などを促した。また、ドライバーの就業人口は、18年に13年比12%減の198万人、23年には22%減の174万人に落ち込む――と予測。少人数で同じ仕事ができるよう「仕事の機械化・効率化を進める必要がある」とした。





本紙ピックアップ

相次ぐクマ被害、敷地出没や車両衝突

 クマの被害が後を絶たない。11月末時点の環境省の速報値で、2025年のクマによる人身被害が230件に達し、過去最高を記録した。敷地内への出没や車両との衝突など物流業界への影響も小さくない。修理費が高額に及ぶケースもある…

臨時国会閉会、暫定税率廃止法など成立

 第219回臨時国会が17日、閉会した。内閣提出法案は、2025年度補正予算案などを除くと、気象業務法及び水防法の一部改正案など11件が提出され、全て成立した。衆・参議員提出法案は、通常国会からの継続審議の法案を合わせて…

経産省「健康経営銘柄」、殿堂入り制度を創設

 経済産業省は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する健康経営がより評価されるよう、健康経営銘柄に複数回にわたり選定された企業を顕彰する「健康経営銘柄の殿堂入り制度(仮称)」を2026年度にも創設する。1…

公取委調べ/価格転嫁25年度、「7割以上」0.3㌽上昇

 公正取引委員会は15日、価格転嫁円滑化の取り組みに関する2025年度の特別調査の結果を公表し、トラック運送業などは多重委託構造が存在するため、元請けから下請けの同業者への価格転嫁が円滑に進んでいないと分析している。 受…

オススメ記事

相次ぐクマ被害、敷地出没や車両衝突

 クマの被害が後を絶たない。11月末時点の環境省の速報値で、2025年のクマによる人身被害が230件に達し、過去最高を記録した。敷地内への出没や車両との衝突など物流業界への影響も小さくない。修理費が高額に及ぶケースもある…

臨時国会閉会、暫定税率廃止法など成立

 第219回臨時国会が17日、閉会した。内閣提出法案は、2025年度補正予算案などを除くと、気象業務法及び水防法の一部改正案など11件が提出され、全て成立した。衆・参議員提出法案は、通常国会からの継続審議の法案を合わせて…

経産省「健康経営銘柄」、殿堂入り制度を創設

 経済産業省は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する健康経営がより評価されるよう、健康経営銘柄に複数回にわたり選定された企業を顕彰する「健康経営銘柄の殿堂入り制度(仮称)」を2026年度にも創設する。1…

公取委調べ/価格転嫁25年度、「7割以上」0.3㌽上昇

 公正取引委員会は15日、価格転嫁円滑化の取り組みに関する2025年度の特別調査の結果を公表し、トラック運送業などは多重委託構造が存在するため、元請けから下請けの同業者への価格転嫁が円滑に進んでいないと分析している。 受…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap