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座談会「全国人気ラジオDJ集合」

その他

2025/02/07 5:00

出演者(順不同)
Date fm「AIR JAM Friday」
  本間 秋彦さん
FM滋賀「LIFE」
  井上 麻子さん
FMヨコハマ「RADIO LINK」
  小林 千鶴さん
文化放送「くにまる食堂フライデー」
  水谷 加奈さん

「今日も安全に」伝えたい
気配りが思いやりを育む

 インターネットやSNS(交流サイト)によるコミュニケーションが主流になった現在でも、トラックを運転中のドライバーにとってラジオは重要な情報源であり、流れてくる音楽やパーソナリティーの軽妙なトークは、時に仕事のつらさや疲れを忘れさせてくれる存在でもあるだろう。全国の放送局から郷土色あふれる番組を担当するパーソナリティーに集まっていただき、ラジオの魅力とトラックとの関わりについて語り合ってもらった。

本間 週明けに活力与えたい 
小林 物流「生活の支え」痛感 

 水谷 アナウンサー歴は35年ほどになります。毎週金曜日の午前9時から4時間の生ワイド番組「くにまる食堂フライデー~どうした⁉ 一蔵!~」に一緒に出演している春風亭一蔵さんは、落語家になる前はトラックドライバーという異色の経歴で、文化放送が2024年4~9月に展開した「トラックドライバー応援キャンペーン」のアンバサダーとして活躍していただきました。
 そこに『物流ニッポン』の田中信也記者にゲストとして登場いただいたことが縁で、今回は進行役を兼ねて参加させていただきます。
 本間 Date fmの「AIR JAM Friday」という番組を、もう20年ちょっとやらせていただいてます。その中に「ドライブイン銀杏(いちょう)坂」というコーナーがありまして、トラック関係の方とかによく聞いていただいています。
 小林 FMヨコハマで日曜日のお昼12時半から放送しております「ALFALINK presents RADIO LINK」という物流応援番組を担当しています。
 井上 滋賀県の琵琶湖のほとりのFM滋賀で26年ぐらい、色んな番組を担当してきました。物流やトラックドライバーさんに関連した番組を担当しているわけではありません。
 水谷 番組に対する思いや、象徴的なエピソードなどを教えてもらえませんか。
 本間 金曜日の午後1時半から5時間の生放送をやっていまして、掛ける音楽はFM局、トークはAM局っぽくという、ちょっとハイブリッドな感じの番組です。
 大阪のFM局の番組を聞いたら、出だしのトークが「まいど!」とかで始まっているのにちょっと衝撃を受けまして、なまってしゃべる方向にシフトしたらリスナーさんに受け入れてもらって。金曜の午後に楽しんでもらって、週明けに活力を与えられる番組になったらいいなと思ってやっています。
 水谷 地元愛は、井上さんも相当強いみたいですが。
 井上 京都府出身なんですけど、滋賀が好き過ぎて、夫と一緒に家を買って移住しました。金曜日の午前7時半から11時まで担当している番組「LIFE」では、バリバリの関西弁でしゃべっています。掛ける曲はFM局っぽいんですが、トークやノリは完全にAM局です。
 水谷 小林さんは埼玉県出身で、横浜でのご出演ですよね。どんな番組ですか。
 小林 最初は不安がなかったと言うとうそで、もう本当にドキドキで放送初日を迎えたんですけど、おかげさまで3年目です。回を重ねるごとに、物流というインフラが便利で豊かな生活を支えてくれているんだなって痛感することばかりです。リスナーさんにも物流応援番組っていうことがだんだん浸透してきています。皆さんが物流に思いをはせてもらえるような番組になったらいいなと思って頑張っています。
 水谷 何分間の番組ですか。
 小林 30分と短いんですが、毎回、物流に携わる色んなジャンルのゲストをお呼びしています。物流そのものだけじゃなく、業種や様々な垣根を越えて物流というワンワードで結び付け、いつも驚きと感動です。

井上 渋滞や工事「すぐ紹介」 
水谷 交通情報やっぱり安心 

 水谷 本間さんは番組を通して交通安全に寄与されているとお聞きしています。
 本間 「横断歩道で渡る人がいたら、ちゃんと一時停止をしてあげようっていう運動をやりましょう」なんて話していたら停止率が高くなって、表彰状まで頂いちゃったんですよ。他県の人に優しくとか、そういった取り組みをやっていこうと言っています。
 水谷 井上さんは、番組としては物流やトラックにあまり関係していないとおっしゃっていましたが、何かドライバーさんとの関わりは。
 井上 「トラックドライバーさんなのかな」って思う方からのメールはたくさん頂きます。滋賀県って冬は北部と南部の天気が全然違って、「へえ~、そうなんや、北は今、雪降ってんねや」と言いながら紹介したり、ドライバーさんに助けてもらっているなって思います。「今、○○で大雨降ってるから、アンダーパスを通る時は道路の冠水に気を付けて」みたいなナマの情報、渋滞や工事の情報をいただくと、「すぐ紹介しよう」って思います。
 水谷 「ラジオの交通情報って、もういらないんじゃないか」と言われたこともありましたが、やっぱりラジオから交通情報が流れると、ドライバーさんはきっと安心してくださると思いますね。本間さんはトラックに関するエピソードって何かありますか。
 本間 「トラック運転してます。これから築地(東京)に魚を持っていきます」みたいなメールが来たことがあって、「ドライバーさんもこの番組を聞いてくれているんだな」って気付いたんですよ。そこで、午後3時ぐらいなら物流関連や肉体労働されている方って休憩を入れるでしょうから、それに合わせて「ドライブイン銀杏坂」をスタートさせて。(TBSラジオでかつて放送していた)「歌うヘッドライト」は演歌とか歌謡曲だったんで、「ウチは永ちゃん(矢沢永吉)の曲を掛けよう」と始めたら、それが20年以上になりました。
 水谷 ドライブインというと、文化放送の「走れ歌謡曲」という番組を2年ぐらい担当した時に、四国のドライブインを中継車で巡ったことがありました。
 本間 リスナーさんのメールにあるトラック用語みたいなのも楽しみです。自分のトラックのことを「キャリア」って呼んだり、荷物を手下ろしするのを「ハンドコマーシャル」って言ったりとか。「本社向けカムバックです」とか。そんなメッセージを送るのがドライバーさんは楽しいだろうし、私も楽しくて。
 「ヒヨコを積んで東京に行くんですけど、さっきガタンってなったらヒヨコが一斉に騒ぎ出したんです。サービスエリアとかで開けて見たほうがいいですかね?」「いや、絶対開けないほうがいいから。それ逃げ出してっから」というやり取りや、「今日は2㌧車で段ボール箱1個なんです。なんか国家的な機密に関わってるんですかね?」とか。
 水谷 小林さんはどうですか。
 小林 物流応援番組ということで、「親子で物流の仕事頑張ってます。息子には安全運転で長く頑張ってほしいな」っていうメッセージを頂いたり。先輩から後輩に「まだ新人さんだから『頑張って』って小林さんからエール送ってあげてください」とか、「仕事で困ったこととか愚痴とかを話し合える相手がいるから今、頑張れています」みたいなのも多くて。ドライバーさんって優しい方が多いなって思っています。ずっと気を使う運転や作業の連続なので、その気配りが思いやりのある心を育んでいるんだなって思います。 

井上 送料無料なわけがない 
本間 マンパワーで盛り上げ 

 水谷 物流の「2024年問題」って、井上さんはご存知でしたか。
 井上 聞いたことがあった程度で、詳しくは知らなかったです。気軽にネット注文とかしていましたけど、今は何か協力できることはしていかないといけないなと思っています。
 水谷 本間さんはどうですか。
 本間 リスナーさんも「24年問題で大変です」みたいな程度で、ニュースで流れる内容は知っているという感じです。リスナーさんと深刻なやり取りをしたりということはないですね。
 水谷 小林さんは番組で24年問題を取り上げていらっしゃるのですか。
 小林 働き方改革の一環として時間外労働の上限に年間960時間という制限があると、物を運べなくなる懸念が大きいといった内容は何度もお伝えしています。働く人を守るための労働時間制限なのに、賃金が減ったりして、改革のはずが「問題」って言われることこそ問題だと思います。一人ひとりが物流に思いをはせることがすごく大切なんじゃないかなと思います。
 水谷 国土交通省もトラックGメンが悪質な荷主とか、違反行為をしているところをちゃんと見つけて指導しているという話を聞いて、私も勉強になりました。
 本間 そういえば、10月9日って「トラックの日」でしたよね。
 水谷 10と9でトラックです。
 本間 10月4日に5時間、「トラックの日スペシャル」ってタイアップ企画をやったんです。ドライバーさんの奥さんからのメッセージも来て「ウチの主人の体が心配です」って、家族みんなで頑張って支え合っているんだなと分かったり、多くの人に大変だなって思ってもらえたりしたかなと思います。
 水谷 井上さんの番組には、トラック関連のコーナーはないというお話でしたが、本間さんや小林さんのお話を聞かれて、ヒントになることはありましたか。
 井上 24年問題など様々な課題が物流や運送の世界にあるのを、まだ知らない方が結構いらっしゃるかもしれません。大事なのは、適正な対価を払うっていうことですよね。「送料無料」に思わず喜んでしまうんだけど、「送料が無料なわけないだろう」と、しっかり伝えていかなければと思います。
 以前、滋賀県のトラック協会さんの「無事故・無違反表彰式」で司会をしたことがあって、こんなにたくさん受賞者がいるんだと驚きました。業界を挙げて安全運転を心掛け、無事故・無違反に向けて頑張っておられるんだと、すごい感動を覚えました。
 初めて行った所で 横断歩道を渡ろうとした時、信号がなかなか変わらなくて待っていたら、止まってくれたトラックドライバーさんが「おねぇちゃん! そこは(ボタン)押さんと(信号が)変わらへんで!」と教えてくれました。確かに優しい方が多いです。
 水谷 いかにも関西っぽいエピソードですね。ほかにこれだけは話しておきたいお話はありますか。
 本間 今までで一番皆が一つになった時は、やっぱり東日本大震災の時です。番組として皆を応援する方法はないかと考え、完全に自費で「負げねど! 宮城」っていうステッカーを1万枚ぐらい作って配ったんですよ。トラックドライバーさんがすごく喜んでくれて、これを貼っていることで横につながっている意識になってくれたみたいです。ステッカー1枚でつながってくれたのが、うれしかったです。
 水谷 井上さんのところもステッカーって作っていますか。
 井上 今のお話を聞いて、すごくいいなと思いまして。私も応援グッズを作りたいなって思いました。
 本間 最近だと、宮城のドライバーさんで「能登に行くんで、このステッカーください」っていう人が多くて。「宮城はこれで頑張ってきたんだって、能登の人に教えてあげたい」なんていうので、在庫をかき集めて出しています。
 若い世代のラジオ離れでリスナーさんが減っているみたいですが、トラックドライバーさんや皆さんの力をお借りして、マンパワーで盛り上げていくのって、すごくいいなと思いまして、アナログな方法でやっています。
 井上 アナログでいいと思いますよ。
 水谷 小林さんの番組でも、ステッカーを作っていたりするんですか。
 小林 6種類のシールが1枚になっているんですけど、よく見ると「Thank You」って書いてあって、いつもありがとうございます、というステッカーです。リスナーさんが自宅のポストとか、発送する荷物に貼っていただくことで、物流に携わる皆さんに感謝の気持ちを伝えるステッカーになっています。


ほんま・あきひこ 1961年生まれ、宮城県出身。2005年4月からDate fm「AIR JAM Friday」のパーソナリティーを務める。
いのうえ・あさこ 1973年生まれ、京都府出身。2018年4月からFM滋賀「LIFE」のパーソナリティーを務める。
こばやし・ちづる 1987年生まれ、埼玉県出身。2022年10月からFMヨコハマ「ALFALINK presents RADIO LINK」のパーソナリティーを務める。
みずたに・かな 1967年生まれ、東京都出身。文化放送アナウンサー。2024年4月から文化放送「くにまる食堂フライデー~どうした⁉ 一蔵!~」で大女将(アシスタント)を務める。





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