サカイ、エアコン 不正に横流し 経産・環境省が是正勧告 社員教育徹底はかる
物流企業
2018/06/18 0:00
経済産業、環境の両省は12日、サカイ引越センターの従業員が、引っ越しの際に不要となったエアコンを廃棄物処理業者に不正に売り渡していたとして、家電リサイクル法に基づき是正勧告をした。不正の発覚を受け、同社は原因究明に努めるとともに、社員教育の一層の徹底や、チェック体制の強化といった再発防止対策を実施している。(田中信也) 奈良支社(奈良県大和郡山市)と奈良南支社(同)の従業員計37人が2013年4月~18年4月、メーカーに引き渡すことが義務付けられているエアコン957台を顧客から無償で引き取り、処理業者に1台当たり3千~5千円程度で売却していた。対象者へのヒアリングによると、受け取った代金は私的に流用したケースが大半という。 経産、環境の両省はサカイ引越センターに対し、家電リサイクル法に基づく立ち入り検査を実施し、廃家電の不適正処理の事実を確認。5月31日にサカイ引越センターからの報告書提出を受け、12日、同社に勧告書を渡した。 田島哲康社長は「関係者に対し迷惑・心配を掛けたことを深くお詫びする。 (事態を)重く受け止め、再発防止に取り組んでいく」と述べた。要因については「管理体制が不十分だった」として、山野幹夫常務兼管理本部長を委員長とする調査対策委員会を立ち上げ、実効性のある再発防止策を検討している。 既に集合研修やインターネット教育ツールを使用した社内教育の一層の徹底に努めているほか、エアコン取り外しのみの顧客に対し、引っ越し完了後に同社作業員による不適正な引き取りがなかったかを確認するなど、チェック体制を強化している。 一方、不正の背後要因などの究明も並行して推進。本来であればリサイクル料を徴収すべき廃エアコンを無償で回収したのは「顧客から『無償で引き取って欲しい』との要望を受けた」(山野氏)ことが発端で、説明不足が一因とみており、顧客向けのガイドラインに廃家電品4品目のリサイクル料の徴取などを明記する考えだ。 不正を行った従業員は業務上横領罪に当たる可能性もあり、社内調査の結果を踏まえ、処分を検討する。奈良、奈良南の両支社では「かなり前から従業員が連携して横流しを行ってきたようで、風土的な要因もある」と指摘。発生以前にさかのぼって調査を実施する方針だ。会社ぐるみの不正はないとし、現時点で他の支社で同様の事案は確認されていないが、調査が進む中で発覚する可能性もある。 【写真=経産、環境の両省の担当官から勧告書を受け取る田島社長(右)ら】