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トラックGメン、働きかけ・要請飛躍的⤴

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2024/05/03 4:00

 荷主へのプッシュ型の情報収集により「働きかけ」「要請」の件数を飛躍的に増やし、初の「勧告」を2件行うなど業界内外から注目されているトラックGメン。一方、荷主のネガティブな情報を提供することに抵抗感を抱くトラック事業者もいまだ少なくなく、Gメンを配置する地方運輸局では不安を取り除くための取り組みにも腐心する。また、着荷主に主眼を置いた広域連携への動きも持ち上がる。(特別取材班)

着荷主に主眼の広域連携へ

 トラックGメンの活動の起点は、違反原因行為の疑いがある荷主の情報を電話や訪問で聞き取るプッシュ型情報収集だ。首都圏を管轄する関東運輸局は、3月末時点で3千件の情報を収集した。
 こうした積極的な活動が実を結び、2023年末までの累計が「働きかけ」298件、「要請」174件と、発足前の4年間での85件、4件から飛躍的に増加。11、12月の集中監視月間中には王子マテリア(新藤恵悟社長、東京都中央区)、ヤマト運輸(長尾裕社長、同)に初の「勧告」を行った。
 また、九州運輸局は10月、九州自動車道下り・基山パーキングエリアでトラックドライバーへ聞き取り調査を実施。地方運輸局としては全国初の試みで、メディアを通じて現場目線での実情が報じられ、こうした取り組みは中部運輸局など他の地域にも拡大した。なお、愛知運輸支局は、一般道での輸送を優先しがちな中小事業者のドライバーの声を聞くため、トラックステーションでも実施した。
 Gメンの存在感が増す中、トラック協会とタッグを組む事例もある。秋田県トラック協会(赤上信弥会長)は10月に「トラックGメン通報連絡窓口」を開設し、会員の相談に応じながらGメンへ情報を提供する体制を整えた。
 一方、北海道のある事業者が「相談内容によっては荷主に特定される可能性が高いと思い、正直なことは言えなかった」と打ち明けるように、荷主情報の提供にはいまだ壁がある。

「身バレ」防止対策

 不安を払しょくするため、中国運輸局では、荷主や元請事業者を無作為に抽出し、エリア単位で集中的に訪問する独自のパトロールを展開。24年3月25日時点で775件を実施した。田中幸久貨物課長は「『身バレ』につながらないよう、『エリア単位で回っている』と伝え、情報提供者を詮索(せんさく)されるのを防いでいる」と説明する。
 北陸信越運輸局でも23年12月から、情報との関連を問わず荷主への巡回訪問を始めた。ただ、能登半島地震の影響で一時的にストップ。荒井信吾貨物課長は「4月から少しずつ再開したい」と話す。
 また、発地と着地が都道府県境や地方ブロックを超える長距離輸送の実態を踏まえ、発荷主と着荷主をそれぞれ担当する運輸局での広域連携の動きが出始めた。中国運局は3月下旬に九運局を訪問し、九州の荷主の状況を視察した。
 物流危機への意識の高まりから、トラック事業者との話し合いに応じ、物流課題の是正に努める荷主が増えてきている。とはいえ、協力的な荷主はまだまだ少数派だ。カントラロジ(大阪府八尾市)の加藤雅樹社長は「大手2社への勧告に踏み切ったことは素晴らしい成果だ」と歓迎する一方で、「荷主、元請けには準大手や中小企業も多い。積極的な活動を続け、できる限り多くの企業をフォローしてほしい」と訴える。
 また、セイコー運輸(鹿児島市)の鳥部敏雄社長は「トラックが止まれば地方経済は衰退する。取引環境は絶えず変化するので、Gメンにはスピード感も求めたい」と強調する。
 Gメンに対するトラック事業者の期待は大きい。荷主や消費者が「2024年問題」に関心を寄せる24年度中にも、新たな広域連携が、より踏み込んだ結果をもたらすことを望みたい。

パトロールで荷主担当者(手前)と面談するGメン

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