陸災防、リフト荷役2級検定 全国9会場 初めて実施
陸上貨物運送事業労働災害防止協会(川合正矩会長)は9日、フォークリフト荷役技能2級検定を全国9会場で実施した。荷役作業の労災防止を目的に、フォークリフトの「安全、確実、迅速な作業」を評価するもので、7年前から制度準備に着手。7月に制度概要と出題範囲を発表していた。全国で96人が申し込んだ。(佐々木健) 科目ごとの配点は学科300点、点検実技200点、運転実技500点の千点満点。合否は学科と実技で、個別に判定する。合格した科目は、その年度を含めて3年間、受検を免除し、落第した科目のみの受検を認めている。 合格発表は11月20日の予定だが、神奈川と長野両県は、9日に学科のみ開催して実技を別日程にしているため、12月にずれ込む。 1、2級の等級区分を設け、2級は「中堅クラスの作業者」、1級が「各作業場で指導的な立場にある者」を想定。1級の受検資格を「2級合格後2年以上の実務経験を有する者」としたほか、全国フォークリフト運転競技大会の入賞者(優勝、準優勝、3~5位)も、2級検定試験合格と同等の「暫定2級」と認めている。 2級の運転試験は、最大荷重1~1.5トンのフォークリフトで500キログラムのウエートの荷役作業・走行を見るが、1級はそれぞれ2~2.5トン、1トンを使用。要求する技術水準に差を付けている。 陸災防本部では、2016年度から1級検定を行う予定で、学科と実技試験の分離開催で、検定会場を増やすことを検討している。 会場の一つ、埼玉県トラック協会(鳥居伸雄会長)の埼玉県トラック総合教育センター(埼玉県深谷市)では、学科の後、点検・運転の実技試験を実施。運送業界だけでなく、メーカー関係からも受検者がおり、業界内外の関心の高さをうかがわせた。 【写真=学科、点検・運転実技合わせて千点満点で評価(9日、埼玉県トラック総合教育センター)】
仙台塩釜港とロシアを直接結ぶ、初めての外貿コンテナ定期航路の第1便「カトリーナ」が7日、入港した。商船三井と極東船舶(FESCO、ロシア)が共同で運航。既存航路の寄港地変更に伴い、新たに同港が加わったもので、東北地方の太平洋側の港湾としても初めてとなる。 カトリーナは全長130メートル、総トン数7170トンで、コンテナ積載能力は700TEU(20フィートコンテナ換算)。日本の第1番目の寄港地として、隔週土曜に仙台塩釜港へ入り、ロシアのウラジオストク、ボストチヌイの両港とをダイレクトでつなぐ。材木や合板などの建築資材、冷凍魚を主に輸入し、震災からの復興を後押しする。 歓迎セレモニーで、宮城県の遠藤信哉土木部長は、同港が2010年に記録した貨物取扱量の21万6千TEU超えを目標に掲げていることに触れ、「達成に向け、大きな追い風になる」と強調した。 仙台塩釜港の代理店を務める塩釜港運送(宮城県塩釜市)の松田順夫社長は、セレモニー後に本紙の取材に応じ、「新たな船が就航することはありがたく、とても励みになる。港を預かる者として、地域に恩返ししていきたい。日露間貿易の一つのきっかけとなれば」と抱負を語った。(今松大) 【写真=隔週土曜に仙台塩釜港へ入るカトリーナ】
グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP、帖佐義之社長、東京都港区)が岡山県総社市に建設を進めてきた大型物流施設、GLP岡山総社Ⅱが完成し、5日に竣工式が行われた。隣接地に設置されたGLP岡山総社Ⅰと合わせると、延べ床面積は万6千平方メートルとなり、竣工済みの物流施設としては西日本で最大規模となる。(江藤和博) 岡山総社Ⅱは5階建てで、延べ床面積7万8千平方メートルのマルチテナント(複数企業入居)型物流施設。岡山自動車道・岡山総社インターチェンジ(IC)から至近距離で、両備ホールディングス(松田久社長兼CEOO=代表経営執行責任者、岡山市北区)が運営する岡山総社IC流通センター内に立地する。 16基の免震装置を設け、震度6以上の地震でも揺れを4分の1から5分の1に低減。電力を最大で30時間供給可能なバックアップ電源を備え、飲料水や医療器具セットなど防災備品も完備し、テナント企業のBCP(事業継続計画)を支援する。 1階には防災センターを設置し、24時間・3655日態勢で警備員が待機。災害発生時に迅速に対応するとともに、セキュリティーにも万全を期している。 また、壁や天井などにプレキャストコンクリート、全館の照明にはLED(発光ダイオード)を採用するなど環境に配慮。二酸化炭素(CO2)排出量と消費電力を70%削減できる。更に、屋上に太陽光発電設備を敷設。岡山総社Ⅰと合わせて2.7メガワットの発電が可能で、全量を中国電力に売電する。GLPの屋上ソーラーパネル設備としては国内最大級だ。 総社市街地に近いため、「労働力確保の観点でも良好な環境」とみており、5階の共用スペースには、岡山総社Ⅰの2倍となる96席を備えたカフェテリアを設置し、快適な就労環境を整えた。 岡山総社Ⅰは既に90%超のスペースが稼働しており、Ⅱもテナント企業との交渉が進行中。Ⅰは1フロアを2分割して貸してきたが、Ⅱでは要望に合わせて2~4階を3分割する方針だ。ⅠとⅡのランプウエーをつなげるなど一体利用や相互補完を想定した設計が施されており、両施設を利用するテナント企業は業務を効率化しやすくなっている。 竣工式で、帖佐社長は「岡山は西日本全域の物流をカバーするのにベストな立地。災害時の避難所としても使えるよう、生活に困らないための備蓄もした。県内で次の拠点を考えたいし、ニーズがあれば広島県や四国北部への進出も検討していく」と語った。 【写真=岡山総社Ⅰと合わせると、延べ床面積は15万6千平方メートル】
【滋賀】滋賀県高速道路交通安全協議会(田中亨会長)は10月30日、草津市の名神高速道路上り線・草津パーキングエリアで、ハロウィーンにちなんだ啓発活動を行った。 田中会長が「高速道路上での事故死者数は2014年より大幅に増えている。大変憂慮すべき状況であり、1件でも事故が減るよう、子供たちの力を借りてドライバーに訴えよう」と述べた。 妖精やお化け、アニメのキャラクターに扮した地元の保育園児が太鼓演奏やダンスで利用者にアピール。可愛いお化けたちは「シートベルトをしないといたずらするよ、飲酒運転するといたずらするよ、早めに休憩しないといたずらするよ」と注意を呼び掛けた。 手作りのしおり、ポケットティッシュやタオルなどのグッズと共に安全運転を呼び掛けるチラシを配布し、安全運転と正しいマナーの啓発に努めた。(小菓史和) 【写真=仮装した子供と共にグッズを配布する田中会長】
【石川】石川県トラック協会(谷本義治会長)は、ホームページ(HP)で公開しているウェブアニメーションシリーズに、新作2本を追加した。人材確保対策の一環として企画したもので、若者への訴求効果を狙い、近年話題の「壁ドン」を作品に取り入れた。9月末のアップ以来、ほかのコンテンツより常に高い閲覧数を記録している。 2013年から始めたオリジナルアニメCM「トラック物語」シリーズ。これまでも雇用改善を中心に、交通事故防止や燃料価格高騰など、様々な問題を扱ってきた。今回は、深刻なドライバー不足を踏まえ、若年層に興味を持ってもらえるよう、工夫を凝らした。 共に「壁ドン!」編で、1本は高校生の告白シーンを絡めた正統派のストーリー。校舎裏で男子生徒が壁に手を突きながら、女子生徒に対して、トラックドライバーを目指していることを打ち明ける。その理由を聞かれ、「みんなが待っているだけじゃ、何も届かないから。だから……」と思わせぶりに答える。 少女漫画風のタッチで描き、登場人物も全てイケメン。BGMにも、恋愛ドラマをイメージさせるようなものを採用した。 もう1本は「お母さん」編で、食事の支度をしている母親に向かって、息子がドライバーになることを宣言。「物流は大きな可能性を秘めている業界なんだよ。だからオレ……」と顔を近付けて力説する。その勢いに母親は一瞬たじろぎ、妙な空気が流れてしまう。 1本目のスタンダードな「壁ドン」編が前振りになり、笑いが増幅される。同アニメは、トラックの日の広報に合わせて、9月28日から10月11日まで、県内の民放テレビ2局で放映。金沢市内2カ所の街中マルチビジョンにも映し出し、注目を集めた。 HPのトップ画面にある「トラック物語」のバナーをクリックすると、専用ページへジャンプし、見ることができる。(河野元) 【写真=高校生の告白シーンを絡めた正統派のストーリー】
【神奈川】神奈川県トラック協会の青年部会(茅野宏行部会長)は10月29日、県立平塚ろう学校(平塚市)でトラック交通安全教室を開催し、内輪差の実演などを行った。 同部会がろう学校で交安教室を開くのは初めてで、社会貢献委員会(山崎哲委員長)が中心となって企画した。 同校の久和誠一郎総括教諭が「今日はトラック協会の皆さんが忙しい中、15人も来てくれました」と手話で児童に紹介。茅野部会長は「大きい車には運転席から見えない部分があります。今日は実際にトラックに乗って確認してください。一緒になって楽しみながら交通安全を学びましょう」と呼び掛けた。 藤特殊(内藤武美社長、平塚市)など部会員企業2社がトラック2台を校庭に持ち込み、運転席の死角体験と内輪差を実演。同校の小学生児童46人とその父兄らが参加した。児童は運転席に座ってドライバーの死角を確認。部会メンバーが「トラックの運転席は窓が広く、前が見やすいようになっていますが、それでも死角があります。トラックも気を付けますが、皆さんも注意してください」と話した。 内輪差の実演ではトラックの右左折時、後輪が前輪よりも内側を通ることを説明。横断歩道に見立てた場所に置いた段ボールをトラックの後輪が踏みつぶすと、児童からは悲鳴が上がった。部会メンバーは「横断歩道ではトラックに近付き過ぎると巻き込まれる可能性があります。交差点ではトラックから離れて待ちましょう」とアドバイス。 終了後、児童には部会メンバーから身体に取り付けて使う反射材と色鉛筆セットがプレゼントされた。(吉田英行) 【写真=児童が運転席からの死角を体験】
【北海道】札幌地区トラック協会の特積部会(今井拓司部会長代理)は10月29~31日の3日間、中央区の西5丁目線の駐停車減少を目的にストックポイントを活用した商業施設店舗などへの共同配送実証実験に協力した。検証結果は、今後の札幌中心部における新たな荷さばきシステム構築の足掛かりにもしていく。 実証実験は、市や道警などで構成する札幌都心部自転車対策協議会(萩原亨会長、北海道大学教授)が同部会に提案し実現した。協議会は10月31日まで西5丁目線北1から南4の750メートルで、道路左端を自転車が走るように示した路面表示の実証実験を実施。しかし、同区間には多くの商業施設が立ち並んでいることからトラックのほか、メーカーや問屋などの一般車両も停車しており、自転車が歩道を走るため、歩行者の安全が危ぐされていた。 実験は歩行者、自転車、運送事業者の安全・安心の確保を目指したもので、同協議会が、西5丁目線脇に2カ所の駐車場を用意。そこに荷さばき用の駐車スペースと貨物の一時保管テントを設けたストックポイントを開設した。 各運送会社からストックポイントに下ろした南1~5条、西3~5丁目エリア向けの荷物は、ヤマト運輸が代行して台車やカートを使って、無償で配送、また、5丁目線で荷さばきを行っている会員事業者以外のトラックにもチラシを配布して、ストックポイントの活用を呼び掛けた。 荷さばきを見守った今井部会長代理は「着払いなどの受け渡し方法を含め、様々な問題点はあるが、まずはやってみることが大事。普段はツーマンで40分ぐらいかかる荷さばきが、ストックポイントを活用することによってワンマンで5~10分で済むのは大きい」と話した。(北原進之輔) 【写真=ストックポイントで荷下ろし】
陸上貨物運送事業労働災害防止協会(川合正矩会長)は5日、横浜市で全国大会を開催した。優良事業場の表彰や標語入選作品の紹介、労災防止の事例発表を行うとともに、経営トップ主導の安全衛生活動を重点とする大会宣言を満場一致で採択。災害ゼロに向け、一層の努力を誓った。(吉田英行) 開催地を代表して、神奈川県支部の筒井康之支部長が「会員事業所が一堂に会し、改めて安全意識の高揚図るのが大会の目的。横浜の地で、関係者が一丸となって労災防止に向け決意を新たにして、安全・安心で社会から信頼される陸運業にしていこう」と述べた。 川合会長は「陸運業が、我が国の経済活動と国民生活を支える物流の中核としての機能を果たすには、そこで働く人の安全と健康の確保が何より重要。大会を機に、一層充実した安全衛生活動をお願いしたい」とあいさつ。 続いて、塩崎恭久厚生労働相の祝辞を厚労省労働基準局の加藤誠実安全衛生部長が、石井啓一国土交通相の祝辞を浜勝俊関東運輸局長がそれぞれ代読した。安全衛生表彰では、事業場・団体表彰の優良賞に、ゑびすや運輸(大津和久社長、群馬県高山村)など5事業場、進歩賞として石橋梱包運輸(石橋正好社長、千葉県芝山町)を始め46事業場、団体賞には埼玉県支部川越分会(長窪信也分会長)など4団体が選ばれた。 個人表彰では、亀田周平氏(亀田運送、栃木)ら8人が功労賞、高梨信広氏(高梨運送、神奈川)ら47人が功績賞を受けた。更に、永年勤続者11人、優良フォークリフト等運転者151人も表彰された。 2015年度の安全衛生標語は、荷役部門で中村貴光氏(三栄運輸、北海道)の「安全は荷主と協力みんなで実行」、交通部門で五十嵐雄二氏(陸災防福島県支部)の「荷主と協力ゆとり運行守ります労働時間と安全運転」、健康部門では有東幸恵氏(日本通運小松支店、石川)の「セルフケアストレスチェックで見直そう心と体と職場の環境」が入賞した。 続いて、埼玉県支部の鳥居伸雄支部長が①経営トップ主導の安全衛生活動の推進②荷役運搬作業時の事故防止③交通労災の防止④健康確保対策の推進⑤安全衛生意識の高揚――などを重点とする大会宣言案を読み上げ、出席者の拍手で採択された。 講演の部では、厚労省労働基準局安全衛生部の野沢英児安全課長が労働安全衛生行政の動向を解説。また、横浜低温流通の担当者が「事故・災害ゼロ安全で快適な職場をめざして」をテーマに、自社での事例を発表した。 更に、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターの山本晴義センター長は「今、なぜメンタルヘルスか~ストレス一日決算主義のすすめ」と題して話した。 16年度の全国大会は福島県郡山市で開かれる。 【写真=陸運業の関係者が一堂に会し、安全意識を高揚】
次世代型自動料金収受システム「ETC2.0」などIT(情報技術)を活用した「賢い物流管理」を提供――。国土交通省は、ETC2.0を活用したトラック運行管理支援サービスの社会実験への参加事業者を11月中に公募し、年明けにも実験を開始する。また、2.0装着車に対する特殊車両通行許可申請を簡素化するため、特車ゴールド制度を検討する。意見募集、早ければ年内にも導入する。(田中信也) 【写真=大型車誘導区間に物流拠点を直結させる具体策についても提案】
【高知】田中運送(田中等社長、高知県いの町)は12月、ヘリポート事業を始める。公共性の高い分野で新規事業を立ち上げ、経営の多角化を図るとともに、航空燃料の定期輸送など本業への波及効果も見込んでいる。(矢野孝明) 本社から車で10分程度の距離にある山頂に、敷地面積1千平方メートルの用地を確保。地元の産廃業者が所有する山の一部を借り、春に造成を終えた。ヘリポート部分は550平方メートルで、大型のヘリコプターも着陸可能。航空機用ジェット燃料9800リットルを保管できる、64平方メートルの貯蔵庫も併設する。現在、工事を進めており、12月中に運用を開始する。大災害など緊急時用の支援物資を保管する倉庫も、必要に応じて建設する計画。 主要な顧客は、地図作成や測量、航空写真撮影などを行う県外の航空事業者。中国地方のテレビ局も高い関心を示しており、10月末に現地視察に訪れた。このほか、土木工事で機材を運ぶヘリコプターの利用などを想定。災害対策拠点の一つとして、県との連携も視野に入れている。 田中社長は「高知では南海地震が予測されているだけに、ヘリポートは社会性の高い事業になる。広い敷地を持つ施設は県内では珍しく、県のほぼ中央に位置する立地で、稼働前から引き合いが多い。ジェット燃料の保管と輸送を定期的に行えば、運送事業の収益も上がる」と話している。 【写真=1千平方メートルの敷地には大型ヘリコプターの着陸も可能】