丸総/前期、売上高10億円を突破 智規氏が社長昇格へ
【静岡】丸総(橋口武俊社長、静岡県吉田町)は4月26日、経営会議全体会を開き、2015年3月期の売上高が10億円を突破した、と発表した。また今期、橋口社長が会長(CEO=最高経営責任者)に就き、橋口智規副社長が、社長(COO=最高執行責任者)に昇格する人事を説明した。(奥出和彦) 橋口社長が、15年3月期の売上高が11億2千万円だったと報告。「なかなか達成できなかった10億円の壁を越えることができた。しかし、清水物流センター(静岡市清水区)の稼働が遅れたことなどから、利益率は1.24%にとどまった」と解説した。 その上で「第46期となる今期は、売上高12億円と利益率3%を達成したい」と強調。「本業プラスワン戦略」とした施策に、①脱下請けへの挑戦②M&A(合併・買収)による業務拡大③新業態開発――を掲げた。 更に、「今後、賃金が上げられない会社は淘汰(とうた)されていく。運送業界への規制が厳しくなり、ドライバー不足はますます激しくなるだろう。これを機に、業務を効率的で体に負担の無いものへと転換し、業績を上げるチャンスと捉えたい。人づくりを命題にして、一緒に学び成長していこう」と決意を述べた。 橋口副社長が、今後5年間の各部門の重点事項を説明。①運輸部門で関東、中京営業所を設置し、運行スイッチ拠点として活用②近畿、北関東地方でM&A(合併・買収)検討③荷役・センター事業で、近畿から北関東地方の静岡拠点でのクロスドック作業開発④宅配水事業で、OEM(相手先ブランドによる供給)営業強化と新サービスの開発・研究⑤自動車整備事業で、トラックに特化した板金・塗装や、車両作製・改造――などを挙げた。 また、9月以降に改定する組織戦略について、橋口CEO、橋口COO体制とする案を表明。執行役員制の採用や、ロジスティクス企画部の新設にも触れた。 更に、5年、10年の永年勤続者に加え、売り上げ貢献や努力賞など22項目49人を表彰するとともに、10人の新入社員も紹介した。 講演会では、プロデキューブの高柳勝二社長が「お客さまからありがとうと言われるために」をテーマに、他社ドライバーの安全と品質向上の取り組みを紹介した。 【写真=橋口社長(右)が永年勤続者など49人を表彰】
生後1カ月あまりで原因不明の病を患い、米国での心臓移植手術へ望みを託す大林夏奈ちゃん(0歳9カ月)を救おうと、香川県トラック協会(楠木寿嗣会長)は募金活動を展開し、集まった325万5102円を1日、「ななちゃんを救う会」(山内英司・後藤耕司共同代表)に贈った。楠木会長は「危険と隣り合わせのトラック業界として、命の大切さを強く認識し、全国に支援の輪を広げたい」とコメント。全日本トラック協会(星野良三会長)や四国トラック協会連合会(粟飯原一平会長)などにも協力を要請している。(江藤和博) 夏奈ちゃんは、高松市場運送(高松市)の成木肇社長の姪の長女で、成木氏の妹、真由美さんの孫にあたる。心臓が拡張し、筋力が弱った結果、血液をうまく送り出せなくなる原因不明の難病、拡張型心筋症を患っている。現在、大阪大学医学部付属病院に入院し、小児用人工心臓を装着して小康状態を保っているが、常に重篤な心不全による突然死と隣り合わせの状況にある。 残された唯一の治療は心臓移植だが、日本で行うのは難しく、両親は米国での移植手術を決断。しかし、費用はデポジット(前払い医療費)を含めて2億8千万円必要で、個人で負担できる金額ではない。このため、父親の謙一さんの出身地である大阪市と母親の奈央さんの出身地、高松市で救う会の事務局を開設。香ト協会員の朝日通商(高松市)の後藤耕司社長が代表の一人となって募金活動を行っている。 香ト協では、支部の総会などで会員に呼び掛けるとともに、青年協議会(松本英高会長)による街角募金キャンペーンを実施。今後も活動を継続し、全面的に支援していく。 トラック総合会館で行われた贈呈式には、香ト協から楠木氏のほか、尾崎康宏副会長、松本青年協議会会長、前谷勉専務らが出席。楠木氏が救う会の江波戸功一事務局長に贈呈金の目録を手渡した。 江波戸氏は「立派な募金に感謝の言葉も無い。お陰さまで、ななちゃんは小康状態を保っており、離乳食を食べている。一刻も早くアメリカで移植させたい」と謝辞を述べた。 また、楠木氏は「我々は日頃から安全活動を積極的に展開しているが、残念ながら事故も起きている。運送事業を担う者として、命の大切さを再認識するためにも、全国に募金を訴えていきたい」と話した。 【写真=救う会の江波戸事務局長に目録を手渡す楠木会長(右)】
【宮城】山藤運輸(佐藤一四郎社長、宮城県南三陸町)は、新規事業として液体肥料の運搬と散布に取り組んでいる。今春には、作業効率を高めるため散布車を導入。地元の南三陸町が目指す、バイオマス事業を軸とした環境に優しく災害に強い町づくりの実現に向け、重要な役割を担う。(今松大) 同町は、内閣府など関係7府省が推進する「バイオマス産業都市構想」に応募し、2014年2月に認定されている。同7月には、産業廃棄物のリサイクルを手掛けるアミタ(熊野英介社長、東京都千代田区)とバイオガス事業実施計画の協定を締結。官民連携で事業を開始した。 町内にプラントを建設し、住宅や店舗から排出される生ゴミや、し尿汚泥などの有機系廃棄物を発酵処理することで、バイオガスと液体肥料を生成。バイオガスは発電に、肥料は農地に散布し、コメ、ネギ、キャベツなどの育成に利用する。地域内の資源を使い、還元する計画だ。 山藤運輸は、昨年の秋から田んぼでの液体肥料の散布を始めたが、手作業で行っていた。この春、散布車を導入したことにより、処理能力は3倍以上になり、年間150トンをこなせる。トラック業界の発想をヒントに、独自のキャラクターをラッピング。絵柄が描かれた散布車は、日本でも珍しい。作業には3~5人のドライバーらが対応し、物流の閑散期に従事する予定だ。 同社の佐藤克哉常務は「運送事業の強みを生かして地域に貢献したかった。町は東日本大震災で甚大な被害を受けたが、災害に強く安心して暮らせる町づくりを目指す」と意欲をみせる。 【写真=オリジナルキャラクターをラッピングした散布車】
国土交通省は12月をメドに、今後の物流政策の基本的な方向性を示す。トラック輸送の更なる効率化に向けて、広域物流では事業者間連携による輸送、大型車の通行誘導などの施策を検討。大都市の活力を高める観点から、共同配送の促進、再配達の削減といった地域物流の取り組みも打ち出す。このほか、物流施設の機能強化や災害対応力向上、先進的技術の導入・活用、物流事業者の競争力強化に向けた方策を探る。 4月30日、交通政策審議会交通体系分科会物流部会(野尻俊明部会長、流通経済大学学長)を立ち上げた。社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会(家田仁部会長、東京大学教授)と合同で開催。両審議会に対し、太田昭宏国交相が「今後の物流政策の基本的な方向性」について諮問したことから、両部会で物流政策の在り方を検討。12月ごろ答申することとした。 今後は、5月から小委員会を設け、関係者ヒアリングや討議を実施。物流政策の在り方について議論した後、8月下旬の合同会議で中間取りまとめを行う。その後は適宜、小委員会を開催。10月の合同会議で答申の素案を審議した上で、結論を出したい考えだ。 初会合では、青木一彦政務官が「物流は、日本経済の成長や国民生活を支える基盤。産業の立地競争力の強化、消費者利便の向上といった観点から検討を深め、新たな政策を展開していく必要がある」と強調。その後、事務局がモーダルシフトやコンテナラウンドユース、物流施設の高度化・効率化といったこれまでの取り組みを説明した上で、検討の視点を示した。 説明を受け、根本敏則委員(一橋大学大学院教授)が「道路の老朽化への影響が懸念されているが、トラックの大型化と過積載は別の話。人手不足に陥っているなら、大型化は進めていくべき」と強調。 また、久保田尚委員(埼玉大学大学院教授)は「検討の視点の一つとして、道路交通の安全性を加えて欲しい。ドライバーの健康状態をチェックせずに運行させて事故を起こすなど、構造的に問題があるケースがみられる」と指摘した。(山上隼人) 【写真=5月から小委員会を設け、関係者ヒアリングや討議を実施】
双日ロジスティクス(平川真淳社長、東京都千代田区)は、総合商社系の物流会社である強みを生かし、グローバルネットワークの更なる拡大を進める。2015年度内にミャンマーで合弁物流会社を新設するほか、米国とメキシコで現地法人の設立を構想。平川社長は「日系企業が世界中に進出しており、3国間貿易も急速に増えている。グローバル物流の動きにスピード感を持って対応していく」と話す。 ――4月1日付で就任した。 双日に入社してからの30年は、ほぼ機械部門に携わってきた。2年前に副社長になるまで物流は全くのノータッチ。総合商社にとって物流がいかに重要かを再認識している。価格競争力のある良いサービスを提供し、業績は増収増益を続けている。一方、物流はコストという認識が依然として強く、物流事業者にしわ寄せが来ている。物流業界を挙げて顧客の意識改革に取り組む必要があると感じている。 ――海外展開を加速させている。 双日の商売と連動する形が基本なので、中国と東南アジアが中心となる。双日がベトナムで工業団地を整備すれば、我が社が関連物流を請け負う。13年には伊勢湾海運と合弁会社をインドネシアに設立し、自動車関連の物流を受託している。今年2月からはタイ―カンボジアで定期混載便の運行を開始した。次はインドとミャンマーを見据えている。ミャンマーでは3温度帯の合弁物流会社を6月に新設する。 ――それ以外の地域へのアプローチは。 米国とメキシコに目を向けている。出張員や駐在員を派遣しており、日系自動車部品メーカーのニーズを取り込みたい。今年度内にも両国で現地法人の設立を構想している。国内は名古屋地区を中心に展開しており、スチールセンター(愛知県飛島村)を運営している。ノンアセットの3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を原則とするが、それに固執せず必要があれば資産を保有する。 ――事業ポートフォリオ(資産構成)の理想の姿は。 国内と海外の事業比率は2割対8割で、バランスが偏っている。双日グルーブの一員である強みを武器に国内事業の再構築を図る。国内の割合を3、4割に高めたい。また、双日の仕事がこれまで主流だったが、15年3月期は外販の比率が半分を占めた。更に、多様な輸送手段(ISOタンクコンテナ、フレキシタンク、IBC)を駆使し、総合的な液体輸送を手掛けている。現在の取り扱いはISOタンクが月に200本くらいだが、500本程度まで伸ばしたい。 ――視界は良好か。 課題は人材。教育と人事ローテーションを通じ、各物流パーソンの能力をいかに高めるか。女性社員の活用と併せ、特に課長クラスの底上げに力を入れている。売り上げはさほど念頭には無い。それよりもスピードが大事。社員には「垂直立ち上げ」を要求している。緩やかな右肩上がりではなく、短期間で急激に伸ばし、その先は巡航速度で良いと言っている。この一年でどれだけ変わり、成長を遂げられるか。勝負の年になると思っている。文・写真 沢田顕嗣 ひらかわ・まさあつ 1959年9月生まれ、大阪府出身。83年京都大学法学部卒業、ニチメン(現双日)入社。2002年9月工業システム・軸受部長、09年4月欧州・ロシアNIS機械部門長などを経て、13年4月双日ロジスティクス副社長。4月から現職。 ◆企業メモ◆ 1986年10月に設立された双日の100%子会社。重量物輸送や国際フォワーディング、液体輸送、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)、国際複合一貫輸送、NVOCC(非船舶運航業者)、貿易業務代行、スマイルデリバリーの各事業を展開。売り上げは2015年3月期が94億600万円、16年3月期は100億円超を見込む。
【愛知】鳴海急送(酒井誠社長、愛知県大府市)は4月26日、みよし市でグループ会社を含む全従業員とナルキュウカップを開いた。同社では、入社条件にドライバー・コンテストへの参加を義務付けている。今回は、県内に加え茨城・神奈川・静岡・三重・岡山の各営業所から応援者を含めて100人が参加。57人の選手が13チームに分かれ、トラックドライバー・コンテストの全国大会出場への試金石とするとともに、グループ全体で物流品質の向上を図った。(梅本誠治) 酒井社長が「今年で10回目を迎えた。これまでの成果により、荷主から認められる会社に成長してきた。今日は一人ひとりがプロとして、誰も見ていないところで、どれだけ『本気』を出しているか、自問自答する機会として欲しい」と激励。 前回大会を制した三重営業所チームの優勝カップ返還に続き、ドラコン全国大会優勝の倉本健一氏が座学と実技指導を行った。 競技は、トラックとフォークリフトの点検・学科・走行の3部門を各100点満点として実施。平均点の最高記録を出した三重営業所(三重県四日市市)の「宮脇チーム」が優勝カップを手にした。 その後、今年から取り組む運輸安全マネジメントの決起大会を開催。川田進チームリーダーの号令で、改めて事故ゼロに向けて団結した。 酒井氏は「当社の良いところは、全員が素直で真面目な上、和気あいあいとしていること。本当の意味での『本気』が足りないところもあるが、ドラコンへの挑戦を追求している姿勢は誇るべきことだ。荷主の期待に応えるプロ集団として、腰を据えてドラコンや事故防止に取り組んでいく。これからも、力を貸してもらいたい」と呼び掛けた。 【写真=酒井社長が優勝カップを手渡す】
【東京】三信倉庫(大竹英明社長、東京都中央区)は、品川営業所(品川区)に設置している水の製造プラントをリニューアルし、4月18日から生産活動を再開した。設備の老朽化に伴い1億3千万円を投入して生産ラインを刷新。作業アシスト機械や自動シュリンク機械を新たに導入、生産性や作業効率を高める。 水の製造は「倉庫内で商品の付加価値を高める」をコンセプトに掲げ、アクアクララ(赤津裕次郎社長、同)の要請に基づき10年余り前に開始した。庫内の一角に装置を配置し、原水をろ過した後にミネラルを配合。12リットル入りのガロンボトルに軟水を注入して「デザインウォーター」に仕上げる。 作業は社員3人を含む7人体制で手掛け、月間ベースで3万本を製造。専用コンテナにガロンボトル24本を詰めて出荷する。また、1日分の出荷量に相当する在庫も行う。 品川営業所は敷地面積3816平方メートルで、倉庫の延べ床面積は9188平方メートル。タイヤ保管やコンテナBOX保管といったトランクルームサービスも提供している。 大竹社長は「都心の空間を有効活用することを目的に始めたビジネス。現在では品川営業所における事業の柱の一つとなっている。今後もチャンスがあれば新事業に挑戦していきたい」と話している。(沢田顕嗣) 【写真=月間3万本を製造】
【宮城】子供たちに夢と希望を贈りたい――。花き輸送をメーンに展開する気仙沼緑花サービス(小野寺照人社長、宮城県気仙沼市)は毎年、気仙沼市内の全小学校の新入学児童に「四つ葉のクローバー」のフラワーポットをプレゼントしている。 荷主である岩手県一関市の花生産者、佐藤修司氏との連携により2012年から贈り続けている。東日本大震災で被災し、殺風景な仮設校舎で学習する子供たちへ「緑の潤いを与えたい」と、佐藤氏と小野寺社長の心が一つに重なった。佐藤氏が栽培する四つ葉のクローバー「しあわせ みぃつけた」をプレゼント用に提供し、気仙沼緑花が配送と配布を引き受けた。 以来、気仙沼市内全小学校の新入学児童に贈呈。今年も7、8の両日、小泉小学校(工藤吉則校長)など市内全17校を訪問し、約500鉢のクローバーを各校長らに手渡した。 配送を担当した気仙沼緑花の小野寺敦志専務(37)は「花や植物を育てることを通して、優しい気持ちや感謝する気持ちを育んで欲しい。探究心や創造力を高める一助になれば幸い」と話している。(黒田秀男) 【写真=クローバーポットを小泉小学校の工藤校長に手渡す小野寺専務(左)】