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サンワNETS/45周年式典、五輪後は厳しい時代 今後5年、準備期間に

 【静岡】サンワNETS(水谷欣志社長、静岡県袋井市)は18日、創立45周年記念式典を開いた。水谷社長は、50周年までの5年間を「東京オリンピック後に来る厳しさへの準備期間」と位置付けた。(奥出和彦)  1970年の創立からの歩みをモニターで紹介後、山崎久隆会長が「多くの人達に集まってもらったのを目の当りにして、大きな所帯になった――と胸がいっぱいだ」とあいさつ。  続けて「中古トラック10台からの開始だったが、古(こ)のトラックばかりだった。紆余曲折(うよきょくせつ)があり、ここまで来た。この間に、弊社との関わりの中で、亡くなったり、体が不自由になった方が十数人いる。そうした犠牲の基に我々があることを心に強く抱き、一生懸命に頑張らなければならない」と決意を新たにした。  水谷氏は「45周年を迎え、45期(2015年3月期)の目標も達成してもらったことに、重ねて感謝したい」とねぎらった。また、40周年からの5年間を「東日本大震災の発生や、企業の海外移転が進んだ超円高と、その後の原油価格の高騰という苦しみがあった」と述懐。  その上で「我々が50周年を迎える20年4月は、相当厳しい時代になる。それまでに景気は良くなるだろうが、オリンピック開催後は、少子高齢化がますます進む。今後5年間は、その状況への準備期間にしたい」と表明。  具体的な課題と取り組みとして、①人材確保と育成②品質の向上を目指した上での更なる顧客の拡大③新しいノウハウの取得――を掲げた。  更に、25 年以上の永年勤続者10人と功労者2人を、司会者が一人ずつ紹介しながら表彰。山崎氏と信子夫人には、社員と親族から、45年にわたる事業継続への感謝の意を込めて、花束が贈呈された。  記念講演会では、元代議士でタレントの杉村太蔵氏が「政界と芸能界から見た日本」と題して講演した。 【写真=社員と親族が山崎会長夫妻に花束を贈呈】

 【富山】富山県トラック協会(綿貫勝介会長)は5月1日、富山県109(とらっく)無事故無違反チャレンジアクション(109チャレンジ)を初めて実施する。県が毎年主催する交通安全チャレンジ123運動を参考にした。トラックに特化した無事故・無違反運動の発展を目的に、独自の企画で行う。  富山運輸支局、富山労働局、県警などが後援し、中部交通共済協同組合の富山県支部(勝山功支部長)と自動車安全運転センター富山県事務所も協賛する。  1チーム当たり会員事業所の従業員5人で編成。参加料は無料で、運転経歴証明書の交付手数料630円は、富ト協が負担する。  申込期間は4月1~30日で、実施期間が5月1日~8月17日の109日間。11月上旬に副賞を抽選し、12月上旬には賞状と副賞の発送を予定している。  無事故・無違反を達成した全員に、達成賞として記念ボールペンを贈呈。参加した全チームが目標を達成した事業所には、表彰状が贈られる。  特別賞は、富ト協会長賞として1万円のギフトカードを100チームに、自動車安全運転センター富山県事務所長賞の5千円のギフトカードを30チームに、中交協富山県支部長賞として5千円ギフトカードを10チームに、それぞれ贈る。予算は1千万円規模を見込む。  また、既存の運転経歴証明書発行手数料助成事業は、109チャレンジとは別に従来通り継続する。  栄作次専務は「一般社団法人に衣替えしたのを機に、事業用トラックに特化した事故防止活動を模索していた。会員事業所の全員参加を目標に、事業用貨物車の効果的な事故防止活動を目指して取り組む。無事故の恩恵が、会員に広く行きわたるようにしたい」と話す。(俵箭秀樹) 【写真=事業用貨物車の効果的な事故防止活動を目指す】

 【東京】ケイアイ(浜崎佳芽雄社長、東京都江東区)は、社内コミュニケーションの強化を基に業容の拡大を図る。従来の全社的な営業会議(半年に1回)に加え、2015年度は、各営業部が月1回の個別会議を開くことを決定。営業部門間の連携をより密にし、顧客の要請に全力で応える態勢を構築していく。(沢田顕嗣)  14年度から第一営業部、第二営業部、営業開発部の3営業部体制にシフト。15年度は各営業部内で情報を共有する受け皿を整備するとともに、営業部門間の意思疎通も密接にしてノウハウとスキルを結集する。既存顧客の深耕と新規顧客開拓の両輪で事業を拡大するのが狙いだ。  ニーズの多様化が一段と進む中、サービス領域の拡充を図る。顧客の事業所内に補聴器の組み立てや包装を行う作業ラインを設置したのは一例で、今後も荷主メーカーのアウトソーシング(外部委託)ニーズに積極的に対応。更に、流通加工などの細かい作業も請け負うほか、川越物流センター(埼玉県川越市)で蓄積した定温食品物流ノウハウも生かしていく。  15年度は利益重視を指針に掲げ、営業利益率5%の達成を目指す。売り上げの拡大は16年度のテーマと位置付け、まずは新規顧客開拓に向けた種まきに専念。社内コミュニケーションの強化と併せ、協力会社とのパートナーシップも強固にし、クレームの撲滅によるブランド構築に傾注する。  このほか、宇都宮市での新物流倉庫の開設も検討していく。  また、人手不足を悩みとするのは他社と同様で、特にドライバーの不足感が強まっているという。人材確保にしのぎを削っており、紹介キャンペーンの実施に加え、主婦を含む女性ドライバーの活用もテーマに設定。全ドライバーの1割に当たる20人(現在は10人程度)は女性を起用したい考え。協力会社も全国的に増やしていく方針だ。  松島淳常務は「コンプライアンス(法令順守)の徹底が基本であり、その上で、お客さまのあらゆる期待に応えることが大事。営業にはお客さまの依頼は決して断らないよう申し伝えている。また、実務を担う人材もさることながら、将来の中核を担う『人財』が不足している。今年度は人材教育にも一段と力を入れ、更なる飛躍に向けて基盤を固めたい」と話している。 【写真=定温物流サービスを提供する川越物流センター】

 アサヒロジスティクス(横塚元樹社長、埼玉県嵐山町)は、6月までに秋田、岩手、神奈川の3県で拠点を新設し、東日本エリアのネットワークを強化する。2016年3月期の目標である売上高240億円、経常利益率5%を足掛かりに、5カ年中期経営計画の最終年度となる20年3月期は、グループ売上高320億円達成を見込む。東日本全域を網羅する盤石な拠点網を完成させ、物流インフラ企業として「東日本のアサヒ」を目指す。(小瀬川厚)  21日、東京都で開いた経営計画発表会で、横塚社長が中計の内容を明らかにした。  6月に本社機能をさいたま市大宮区に移転。事業エリアの拡大を見据え、東北、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線が乗り入れ、都心から30分程度と東日本の各地域へのアクセスに優れるJR大宮駅近くに本拠を置く。BCP(事業継続計画)や将来の人材確保も視野に、昨秋から移転を検討していた。  また、秋田県と岩手県に初めて進出。4月に秋田営業所(秋田市)、6月には北上営業所(岩手県北上市)を立ち上げる。神奈川営業所(相模原市中央区)も近く稼働させる。それぞれ10~25台の車両を配置し、コンビニエンスストア向け配送を行う。  14年度にドライバー231人を増員したことを受け、教育体制拡充にも着手。今期中に埼玉県滑川町の自社所有地にテストコースや運転シミュレーターを備えた研修施設を建設する。1万1500平方メートルの敷地に平屋建て床面積420平方メートルの研修棟を建て、屋上からテストコースを見渡せるよう見学台を設ける。  15年3月期の売上高は、M&A(合併・買収)ではなく大口荷主の新規受注などにより前の期比17.6%増の227億円(連結230億円)を確保。過去10年間で最も高い伸びを示したが、横塚氏は「規模の拡大に満足してはならない。冷静に事業を見つめると課題は山積している。中身を伴わなければ、『成長』ではなく『膨張』になってしまう」と指摘。今期スローガンの「ダントツのS&Q(安全・品質)を確立しよう!!」の下、安全・品質管理の更なる向上を図っていく考えを示した。  横塚氏は、40分間に及ぶ説明の中で「5千店舗向けの配送を毎日行っており、面で抑えられる強みがある。今期の売り上げ目標は、見込み売り上げを加えず策定している。地に足を付けて『仕組み』をつくり、今後の発展に向けた足場固めの年としたい」と強調した。  今回の発表会は、従来の取引先や金融機関、同業者向けの内容から、従業員を強く意識したものに変更したのが特徴で、従業員を会場の前方に着席させた。  また、発表会に先立ち、自主管理経営優秀拠点、改善事例優秀拠点、ベストドライバー・永年勤続者表彰も行った。 【写真=「規模の拡大に満足してはならない」と横塚社長】

 日本冷凍輸送(細村保夫社長、東京都武蔵村山市)は5月から、食品流通事業で取り扱う産直品のネット通販を拡大する。これに合わせ、これまで展開してきた生産者支援事業を拡充するため、グループ会社の再編に着手した。(佐々木健)  EC(電子商取引)サイト運営を手掛けるECUW(千田宗和社長、千代田区)と組み、2014年12月から試験的にネット通販サイト「エクー」を立ち上げた。同サイトを「食のセレクトショップ」と位置付け、「安心・安全・本物」をキーワードに厳選した農産物を提供。4月から種類や数量を増やしている。  日本冷凍輸送は物流事業以外に、水分子の振動活性装置「HIET(ハイエット)」を販売。同装置を採用した農家では、甘いカボチャや無農薬、減農薬のコメなど「こだわり食材」を生産している。  同社産直流通部では、14年に大田市場内に大田流通営業所(大田区)を開設。温度管理物流で得られた流通業者とのパイプを生かして、こだわり食材の販路を開拓し、輸送や販売などの知識が無い生産者を側面から支援してきた。  今回、イスラム圏で食材販売の引き合いがあったが、直接販売が困難なため、ネット通販業者と提携した。サイト開設に先立ち、14年11月には幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されたイスラム圏向けの商材展示会、ジャパン・ハラル・エキスポ2014に出展。将来は食品のハラル認証取得も視野に入れる。  グループ再編では、ハイエット関連事業を日本冷凍輸送から分離し、ハイエットを製造する日本創造エネルギー研究所(安藤一郎社長、千代田区)に移管。同社を食材生産やECサイト通販の事業開発会社として、ハイエットの新規販売代理店や特約店募集など、サポート体制を構築していく。  新事業を統括する日本創造エネルギー研究所の佐久間英和会長は、「ハイエット販売は20年以上かけ、生産者の歩みを見て、育てた事業。ネット販売も地道に進めたい」と話している。 【写真=こだわり食材を生産できる水分子の振動活性装置「ハイエット」】

 国土交通省の小林豊・自動車局安全政策課長(46)は、重大違反で30日間の即刻事業停止になる行政処分基準の厳格化をきっかけに、トラック業界から改善基準告示の見直しを求める意見が出ていることについて、「即刻事業停止が適用されたのは、かなり悪質なレアケース」と述べ、処分基準を見直す可能性がほぼ無いことを強調した。(田中信也)  22日、専門紙記者などによる共同インタビューで明らかにした。即刻事業停止は、2014年1月の施行後、これまでにトラック、タクシー事業者を合わせ8社に適用。ただ、「改善基準未順守が1カ月31件以上の運転者3人以上、かつ過半数の運転者が告示に規定する拘束時間を未順守」により処分されたのは、ほくうん(森高義男社長、札幌市東区)1社のみ。  生鮮品を首都圏など大都市圏に運ぶ長距離運行が多い地域のトラック事業者の危機感は特に強い。原重則会長ら九州トラック協会の首脳は「拘束時間、連続運転時間など助長しない範囲で、地域ごとに柔軟に設定できる行政処分基準の見直し」を国交省に要望している。  こうした状況に対し、小林氏は「行政処分基準の改正は(厳罰化だけでなく、処分に)メリハリを付けることが目的」とした上で、「改善基準告示は、バス、タクシー、トラック業界の労使代表と厚生労働省との合意の上、1987年に制定したもの。それ以降、変更されていない」と指摘。「労働時間が長引く傾向にあり、かつ夜間帯の死亡事故も多発している中、告示の内容を緩和する環境ではないと(厚労省は考えていると)思う」との見解を示した。  ほくうんの事例に関しては、「継続的に重い労働を課し、通常考えられない長時間拘束。労働基準監督署の指導監督を受けても改善されない、あまり類をみない事例だ」と強調。これを踏まえ、「労基署に問題を指摘された場合、国交省自動車局の貨物課などに相談することも検討してはどうか」と話した。  また、トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議を改組し、近く中央と地方でそれぞれ発足する「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」で「長時間労働の抑制などの問題も取り上げる」と説明。  「トラック事業の経営者は、ドライバーがどんな環境で運転し、いかなる問題があるか――をしっかり把握して欲しい。北海道(ほくうん)のケースは、こうした意識が希薄だった」と述べ、事業者自らも長時間運転など労働条件の改善に取り組むよう求めた。 【写真=「労基署に問題を指摘された場合、貨物課に相談することも検討してはどうか」と小林課長】

 【滋賀】貨物運送事業者のティアンドティ・コーポレーション(川崎隆弘社長、滋賀県長浜市)では、観光バス事業部の手掛ける水陸両用バス運行事業が好調だ。豪快に水しぶきを上げて進水する様子や、普段なかなか目にすることの無い琵琶湖上からの眺めが観光客の人気を集めている。(小菓史和)  2014年から地元の観光振興の一環として、大阪の旅行会社とタイアップし水陸両用バスを使った「びわ湖ダックツアー」をスタート。3~11月までの予定で、45分のコースを毎日7回運行しており、湖上から長浜城、伊吹山、竹生島などの景色を楽しめるのが特長。  長浜市内には名所・旧跡や古い町並みが多く、毎年200万人以上の観光客が訪れているものの、琵琶湖を活用した観光コースは少なかった。長浜港に船舶搬出入用のスロープがあり、大阪などで運行されている水陸両用バスの航行が可能なことから、事業化に踏み切った。  昨年は延べ2万5千人が利用。県外からの観光客が7割を占めており、観光振興にも一役買えることから引き続きPRに努め、今年は2万8千人の利用を見込んでいる。  ティアンドティ・コーポレーションは1996年の設立で、金属加工会社の輸送業務を軸に業容を拡大。環境関連事業なども手掛ける。一方、高齢化社会の進展やバス路線の整理・縮小の影響で、各種施設への送迎バス運行のニーズが高まったことから、2001年には観光バス事業にも進出し、現在8台を保有する。  川崎社長(58)は「トラック輸送の更なる品質向上に努めるとともに、地域密着の周辺事業を積極的に拡大していく。5年後には全国各地で水陸両用バスを運行したい」と話している。 【写真=3~11月までの予定で45分のコースを毎日7回運行】

 【大阪】扇町運送(成田暢行社長、大阪市住之江区)は、大阪アパレル物流協議会(OAP、牧邦彦会長)が16日に行ったOAP改善活動表彰で、改善賞に選ばれた。  同活動は、物流コストダウンや作業効率アップ、省エネ・省資源といった取り組みやアイデアを共有し、全体でサービス向上を目指すもので、今回で6回目。  扇町運送は「出荷先(量販店・ホームセンター)の増加に伴う作業の煩雑化に対応するための現場・システム・環境の改善」をテーマに応募。ピッキングリストを改良し、誤出荷率を低減するとともに、庫内ロケーションを見直し、保管効率がアップした点などが評価された。  成田社長は「従業員の地道な改善の積み重ねが賞につながった。これからも継続していき、物流品質向上を図っていきたい」と話した。  なお、2011年には「エコドライブ活動による二酸化炭素(CO2)、燃費、事故削減」への取り組みが認められ、優秀賞を受けている。(落合涼二) 【写真=OAPの牧会長と握手する扇町運送の大和弘文営業部長(右)】

 小型無人航空機(ドローン)の産業としての健全な発展や安全なルール作りに取り組む、日本UAS産業新興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長、東京大学大学院教授)は、テスト飛行場を5月に茨城県に開設し、バッテリー性能と耐荷重量など能力が飛躍的に向上した新開発の機体(マルチコプター)のデモフライトを実施する。貨物積載量や飛行時間といった課題が解消されることで、物流への活用に期待が掛かる。ただ、法制度上の課題が少なくなく、普及促進のハードルは高い。(田中信也)  ドローンの商業利用に関して、米グーグル、米アマゾン・ドット・コムが相次いで無人配送の実証実験を行うことを表明した。独DHLも、離島への医療品定期宅配実験を開始。こうした欧米の動きからみても、物流は特に市場スケールが見込まれる産業とされている。  日本政府も物流分野での活用に着目。国土交通省は7日の物流技術研究会でドローンの活用に向け、学識者や製造会社などからヒアリングした。羽尾一郎物流審議官(55)は「労働力不足解消へ物流の高度化や効率化が課題なので、新たな技術を今後の物流の展開に役立てたい」と期待を込めた。具体的には、山間部など過疎地や、離島への物資配送などの利用を想定している。  ヒアリングで、JUIDAの鈴木理事長(61)は①私有地で気象条件が良い②屋外で電波を遮る障害物が無い③貨物積載量が最大3~5キロ程度――を物流分野での使用条件として列挙。この条件に基づくと「ゴルフ場でのAED(自動体外式除細動器)の輸送」などに限定される。  こうした中、貨物積載量の限界や、バッテリーの軽量化といった課題が大きく改善される可能性が出てきた。5月に行うデモフライトに用いられる機体は、17キロ以内の重量物を搭載でき、飛行時間も荷物を積載せずに70分、積載時も40~50分と、これまでの機体より性能が飛躍的に向上している。JUIDAの熊田知之事務局長(67)は17日の本紙の取材で「物流分野での利用に向けた技術課題の改善が図れるのではないか」との見方を示す。  また、新潟地域の産学官による「NIIGATA SKY PROJECT」が開発中の無人飛行機用小型ジェットエンジンを搭載できれば、飛行距離・スピードはもちろん、「人も運べる」までに向上する見通し。  だが、遠隔操作の確実性の観点から、目視外の飛行に関して安全を担保する手段は無く、長距離の飛行に不安がある。ただ、「遠隔操作に頼らなくて済むよう、学習機能を有する技術開発も進んでいる」としており、将来的には技術面の課題の多くが解消される可能性が高い。  一方、倉庫内での自動搬送・在庫管理への活用も期待されている。室内ではGPS(全地球測位システム)が利用できず、ドローンの活用は不可能だったが、画像処理やセンサーなどGPSに代わる制御方式の開発が進んでおり、「小型の機体ならば活用できるのではないか」とみている。  技術面よりもハードルが高いのが、規制の問題。所有地以外での屋外飛行では、土地の所有者や道路管理者などの許可が必要で、事実上、商用飛行は難しい。  法制度上の問題をクリアするに当たっては、「特区の活用」が見込まれている。政府は「地方創生特区」の第1弾として、秋田県仙北市、仙台市、愛知県の3カ所を3月に指定。仙北市は、国有林の活用が目的として、ドローンの実証を規制改革事項に掲げている。また、特区指定を前に政府が実施した規制改革提案に、徳島県が「物資輸送」、高知県は「中山間地域の配送効率化と医薬品の配送」を目的にドローンを挙げている。  しかし、物流分野での活用について熊田氏は「期待は大きいが、一気に広げるのは困難。まずは災害の被災地への物資輸送など、緊急性の高いものから利用していくべき」と指摘する。  ドローンの普及に当たっては、墜落などの事故や、進入禁止区域での飛行といった違反行為が増えつつある状況を受け、安全を担保するための規制も必要。JUIDAは検討会を立ち上げ、無人航空機の安全ガイドラインの設計に向けた検討を進めており、7月をメドに策定する。ただ、ガイドラインは「ドローンの活用に向けた最低限のマナーを規定する第1段階にすぎない。第2段階として年内までに、仕組みや体制、機体の安全性に関する基準を策定したい」と熊田氏は話す。 【写真=過疎地や離島への物資配送の利用を想定=ブルーイノベーション提供】

 国土交通、厚生労働、経済産業の各省が近く設置する「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」(仮称)に期待が集まる中、全日本トラック協会(星野良三会長)、自民党トラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)の動きが活発化してきた。全ト協サイドは同協議会を「適正運賃の最後の砦(とりで)」(全ト協首脳)と位置付けており、物流政策上の最大の課題である長時間労働改善と適正運賃収受という悲願成就に、最後の望みを懸ける構えだ。(北原秀紀)  自民トラ議連の細田会長、赤澤亮正事務局長は15日、自民党雇用問題調査会(森英介会長)に「今後の労働法制への対応について」と題する文書で申し入れを行った。全ト協からは坂本克己副会長と福本秀爾理事長が同行。調査会の川崎二郎顧問、厚労省の岡崎淳一労働基準局長、国交省の田端浩自動車局長も同席した。  これを受け、自民の同調査会は16日、経団連(榊原定征会長)、日本商工会議所(三村明夫会頭)、全国中小企業団体中央会(鶴田欣也会長)に、トラック業界の長時間労働の改善に向けた協力を要請した。  今国会で労働基準法改正案が成立すると、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が現行の25%から50%へ引き上げられ、適用除外だった中小企業も19年4月から対象となる。長時間労働が常態化しているトラック業界や飲食業界などは、労働環境の改善が待ったなしで、現状のままだと大きな負担は避けられない。法案に反対すると、長時間労働を世間にアピールすることになり、労働力確保がますます深刻化するリスクを負う。  細田氏らは、トラック業界の長時間労働が改善されなければ、大きな負担となることを強調した。とりわけ、今回は企業への指導監督権限を持つ厚労省が〝後ろ盾〞となっていることから、荷主と事業者の調整に期待が高まる。議連は申し入れで、協議会の早期立ち上げ、都道府県単位の協議会では主要な荷主をメンバーに加えて長時間労働の実態を根本的に解決することなどを求めた。  これに先立ち、全ト協は都道府県トラック協会に対し、主要な荷主や長時間労働で知られる荷主をピックアップするよう文書で要請。7日の専務理事連絡会議で、福本氏が改めて回答するよう協力を呼び掛けた。  行政(国交省)、荷主、事業者によるこれまでの「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」を衣替えし、新たに厚労、経産両省を加えた取引環境・労働時間改善協議会に格上げする今回の措置。物流業界の労働力不足が我が国の経済発展の足かせにならないための政府の判断とも言え、トラック業界の「最後のチャンス」に懸ける並々ならぬ意気込みが伝わってくる。 【写真=森会長(左から2人目)に文書を手渡す細田会長(その右)】

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