物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

取引労働改善大阪協/パイロット事業、「問題無し」結果に疑問 途中経過確認が必要

団体

2017/07/06 0:00

 【大阪】トラック輸送における取引環境・労働時間改善大阪府地方協議会(安部誠治座長、関西大学教授)は6月26日に開いた会合で、2016年度のパイロット事業の結果について、拘束時間と労働時間に大きな問題はみられなかったことを報告した。(蓮尾輝)  報告を受け、委員の一人が「前回会合から1年経ったが、その結果が『問題無し』の一言で終わってしまっていいのか。中間報告は一切無く、説明不足。途中経過を確認し、意見を交わす機会が必要ではないか」と疑問を呈した。  安部座長は「中間報告の場は必要だと考えている。事務局と相談しながら日程を決定したい」と回答した。  15年度の実態調査の結果で、府内のトラック輸送状況は、短・中距離運行が93.3%を占め、ドライバーの拘束時間は軽工業品で特に長かった。そのため、短・中距離の軽工業品として、食品メーカーから中小スーパーマーケットへの配送を対象に、パイロット事業を行った。  16年度の発荷主企業は日本アクセス(佐々木淳一社長、東京都品川区)、元請け運送事業者はハップ(長田義光社長、岡山市東区)実運送事業者として千流(千車康彦社長、大阪府摂津市)を選定。  ドライ商品の小売店向けルート配送は、過去に配車の見直しや納品の効率化に取り組んでいたため、待機時間の問題は出なかった。また、ドライバーの拘束時間及び労働条件についても同様に大きな問題はみられなかった――と紹介した。  更なる改善点として、自動配車システム利用による配送コースの最適化を挙げた。基礎データの集約、走行基礎データの入力、シミュレーション結果の分析を経て、次回会合に報告書を提出する。  17年度は、実態調査の結果を再検証するため、引き続き軽工業品の短・中距離運行を取り扱う事業者を対象とする。荷主に食品メーカーの神戸屋(桐山健一社長、大阪市東淀川区)、運送事業者に神戸屋ロジスティクス(森下利広社長、同)が決まっており、着荷主は物流センターを中心に検討中で決まり次第スタートする。  大阪府トラック協会の辻卓史会長は「我々、物流業界が人手不足を解消するには、労働環境を改善する必要がある。運送事業者だけの努力では課題の解決は難しく、荷主や行政と議論しながら問題を共有していきたい」と話した。 【写真=着荷主は物流センターを中心に検討中で決まり次第スタートする】





本紙ピックアップ

軽油引取税の暫定税率廃止、交付金継続へ展望開ける

 軽油引取税の旧暫定税率を2026年4月1日で廃止することで与野党6党が合意した。暫定税率分である1㍑当たり17円10銭の減税はトラック・バス事業者の経営安定化につながる。一方、暫定税率を原資とする運輸事業振興助成交付金…

啓和運輸、日本語学校を来春開校

 啓和運輸(川島満社長、埼玉県入間市)は2026年4月に啓和テラス日本語学校(同市)を開校する。ミャンマー、ネパール、ラオスなどから来日する外国人材を対象に、語学教育だけでなく、日本で働く力を育むことを目的とした独自カリ…

ヤマト運輸、ベトナム人年100人採用

 ヤマト運輸(阿波誠一社長、東京都中央区)は特定技能外国人制度を活用し、2027年以降、毎年、拠点間輸送を行うベトナム人大型トラックドライバー100人の採用を目指す。ベトナムで人材育成事業を展開するFPTグループと12日…

自民税調会長、振興助成法改正で対応

 自民党の小野寺五典税務調査会長は17日、軽油引取税の暫定税率の2026年4月1日の廃止に向け、「租税特別措置(租特)法の改正法案で対処したい」として、与党の税制改正議論を経て、通常国会に提出する方向性を示した。運輸事業…

オススメ記事

軽油引取税の暫定税率廃止、交付金継続へ展望開ける

 軽油引取税の旧暫定税率を2026年4月1日で廃止することで与野党6党が合意した。暫定税率分である1㍑当たり17円10銭の減税はトラック・バス事業者の経営安定化につながる。一方、暫定税率を原資とする運輸事業振興助成交付金…

啓和運輸、日本語学校を来春開校

 啓和運輸(川島満社長、埼玉県入間市)は2026年4月に啓和テラス日本語学校(同市)を開校する。ミャンマー、ネパール、ラオスなどから来日する外国人材を対象に、語学教育だけでなく、日本で働く力を育むことを目的とした独自カリ…

ヤマト運輸、ベトナム人年100人採用

 ヤマト運輸(阿波誠一社長、東京都中央区)は特定技能外国人制度を活用し、2027年以降、毎年、拠点間輸送を行うベトナム人大型トラックドライバー100人の採用を目指す。ベトナムで人材育成事業を展開するFPTグループと12日…

自民税調会長、振興助成法改正で対応

 自民党の小野寺五典税務調査会長は17日、軽油引取税の暫定税率の2026年4月1日の廃止に向け、「租税特別措置(租特)法の改正法案で対処したい」として、与党の税制改正議論を経て、通常国会に提出する方向性を示した。運輸事業…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap