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ブリヂストン物流社長 坂梨明氏、情報束ね全体最適化 CSR経営に絶対的自信

物流企業

2015/05/25 0:00

 ブリヂストン物流(東京都中央区)の坂梨明社長は「タイヤ物流をベースに成長していく。お客さまに選ばれる会社にする」と力説する。会社設立20周年を迎えるメモリアルイヤーに社長に就任した坂梨氏に、足元の経営課題を踏まえた今後の指針を聞いた。  ――豊富な海外経験に裏打ちされた手腕の発揮が期待されている。  最近の15年は、10年が海外で、国内では財務などにタッチしてきた。物流の仕事を本格的に手掛けるのは初めてで、懸命に勉強しているところ。ただ、海外では一人で何役もこなさなければならず、赴任時は工場の物流部門も総括していた。全くの畑違いではない。  ――3月に就任して日は浅いが、抱負を一言。  海外では、物流を担当している日本人派遣者が物流の専門家ではなく、細かい管理が足りないという認識を持っている。もっとコストダウンと効率化を図れる領域だと思う。海外時代は時間も知識も無く、深いところまで踏み込めなかった。キーワードはサプライチェーン(供給網)。全体の効率化に向け、従来とは異なる視点が求められている。  ――自社の強みは何か。  まずは現場を見たいと考え、国内35事業所に順次、足を運んでいる。倉庫の3S(整理、整頓、清掃)をはじめ、品質も非常に高く、日本の物流管理の素晴らしさを再認識している。物流を取り巻く環境が大きく変化している中、将来の方向性をしっかり見極めることが大事だ。  ――新たな施策を教えて欲しい。  今期は、冬タイヤを保管する備蓄倉庫を数カ所に設ける。関東における拠点の再配置も行う。群馬県館林市の倉庫機能をさいたま市岩槻区に移管し、5月の連休明けから稼働させている。これらの施策はリードタイム短縮とコストダウンに加え、サプライチェーン改善に貢献するのも狙い。更に、タイヤの積み込み・荷下ろし作業の負担軽減にも取り組みたい。このほか、設立20周年の記念行事を地区単位で実施する。久留米工場のある福岡県久留米市で8月に開催するイベントがメーンとなる。  ――来期以降の指針をどう描くか。  親会社に対する貢献が至上命題。最大の強みはタイヤの特性を知り尽くしていること。生産から販売に至る情報を束ね、全体最適を提案していく。タイヤ物流では、どこにも負けないと自負している。来期からスタートさせる中期経営計画を策定中だが、原材料の輸入や通関なども含むサプライチェーンの切り口で指針を示したい。ブリヂストングルーブの海外物流も視野に入れる。そのために企画力に優れる人材を育てる。  ――社員に寄せる期待は大きい。  就任時に「お客さまに信頼される会社になりたい」「仕事に自信と誇りを持てる会社にしたい」と社員に話した。CSR(企業の社会的責任)経営には絶対的な自信を持っている。顧客に常に選んでいただける会社にしたい。経営トップの役割は方向性を示し、決して軸をぶれさせないこと。明るく、楽しく、モチベーション高く仕事をしてもらえる場をつくりたい。   文・写真 沢田顕嗣  さかなし・あきら 1958年4月生まれ。84年東京大学経済学部卒業、ブリヂストン入社。海外関係会社(ベルギー、ポーランド、タイ、オーストラリア)などを経て、2009年ブリヂストン生産部長、10年財務本部長、13年GLC企画管理本部長、14年内製企画本部長。15年3月16日付で現職。  ◆企業メモ◆ ブリヂストンの100%子会社として1995年7月に設立。物流子会社として蓄積したノウハウや技術を生かし、ブリヂストングループ全体の物流最適化に貢献。貨物自動車運送事業や貨物利用運送事業、倉庫業などを幅広く展開している。2015年12月期の売り上げは431億2500万円(14年12月期は430億100万円)を見込む。





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