国際物流戦略チーム、活性化モデル事業創設 独自・先進性高い企画募る
近畿地方整備局、近畿運輸局などで組織する国際物流戦略チームは13日、幹事会(黒田勝彦座長、神戸大学名誉教授)を開き、新たに「関西総合物流活性化モデル認定事業」を創設する事を決めた。 過去に国際貨物の取り扱い実績がある物流企業、商社、荷主企業やその関連団体を対象に、先進性・独自性の高い企画を募集。認定された事業に対し、国際物流戦略チームが広報などの支援を行う。関西総合物流活性化モデル認定事業は、独自性の高い国際物流サービスの開発と普及の促進を目的に実施するもの。2009年度から推進する「関空物流ニュービジネスモデル促進事業」と、13年度から取り組む「阪神港利用促進プロジェクト」を統合させた。 また、16年度からの活動指針となる「今後の取組(2016-2017)」を策定。①集貨、創貨、競争力強化に向けた取り組みの推進②民間のノウハウを活用した効率的なインフラ運営③産学官の連携強化④国土強じん化に向けた取り組みの推進――を軸に、陸海空の各分野の物流機能強化や、大規模自然災害への対応など国際物流を取り巻く多様なニーズに対応する。 黒田座長は「長年続く経済不況から脱却しようとしている今、更なる成長のためにはインフラや設備の効率的な運用について考えなければならない。どうすれば関西圏の経済がより発展するのか、意見を伺いたい」と、討論への参加を呼び掛けた。(蓮尾輝) 【写真=認定された事業に対し、広報支援などを実施】
寒地土木研究所は8日、「ラウンドアバウトを活用したまちづくり・地域づくり」をテーマに寒地道路連続セミナーを開いた。 寒地道路研究グループの三木雅之氏は「昨年9月の道路交通法改正以降、11都府県46交差点が環状交差点(ラウンドアバウト)に指定されている。北海道での実用化に向けて、各関係機関の皆さんと協力して、ラウンドアバウトへの認識を深めていきたい」とあいさつ。 セミナーでは、警察庁交通局交通規制課の植竹昌人課長補佐が「環状交差点の現状と導入に向けた警察の取組」、長野県飯田市建設部地域計画課の森茂夫調査計画係長が「我が国初のラウンドアバウト導入の経験」、寒地土木研究所寒地交通チームの宗広一徳主任研究員は「北海道における実道導入に向けて」と題して、それぞれ講演した。 円形交差点で環状部の交通を優先するラウンドアバウトは、交通事故の防止や信号機不使用による待ち時間の減少、災害時の対応能力の向上が期待できるため、日本国内でも普及が進んでいる。 北海道では、見通しの良い道路における田園型事故など、交差点での出合い頭事故が交通事故全体の3割を占めていることから、ラウンドアバウトによる交通事故減少への期待が高まっている。一方、用地取得に掛かる整備コストや積雪時に効果を発揮できるか――など課題も残されている。(大島杏奈) 【写真=警察庁交通局交通規制課の植竹課長補佐らが講演】
国土交通省が高速道路の両側2車線区間の4車線化について、10月から手続きを簡素化したことを受け、四国トラック協会連合会(粟飯原一平会長)は、2車線区間の多い島内高速道路の4車線区間拡大に向け要望活動を活発化させる。特に、車線拡幅が望まれているのが徳島自動車道。マリンピア沖洲に寄港する長距離フェリーが新造船を投入する計画を進めており、労働時間規制への対応を迫られるトラック事業者の利用が増える見通しだ。4車線化の手続き簡素化は、モーダルシフトの動きを押しする効果も期待されている。(江藤和博) 【写真=両側2車線区間が多く、安全面や災害対応の問題が指摘されている徳島自動車道】
【栃木】栃木県トラック協会(笠原秀人会長)は4日、トラックの日感謝デーイベントを道の駅うつのみや「ろまんちっく村」(宇都宮市)で開催し、5500人が来場した。例年同様、各支部の模擬店のほか、大型トラック2台を利用したステージショーを開催。今年は新たに熱気球を用意し、来場者は1人千円の格安料金で上空からの景色を楽しんだ。 開会式では、栃木運輸支局の古川一美支局長のあいさつに続き笠原会長が「毎年10月9日をトラックの日として、全国の運送事業者と各都道府県トラック協会で業界をアピールしている。栃木県でも感謝の気持ちからイベントを開催しており、今年で24回目となる。人手不足など苦境にあるトラック業界だが、関東・東北豪雨などに負けないライフラインとして頑張りたい」と述べた。 青年部会の巻島孝弘部会長の開会宣言で、イベントを開始。模擬店では、ラーメンやそば、鮎の塩焼きや会場でついた出来立ての餅、カレーライスなどの飲食物のほか、子供向けの菓子や玩具などを販売した。 更に、県警高速道路交通警察隊や自衛隊が協力し、パトカーや白バイ、装甲車両を会員事業所の大型トラックと共に展示。来場した子供たちが、目を輝かせて見入った。 ステージでは子供に人気のキャラクターショーのほか、県警音楽隊による吹奏楽演奏を披露。最後に、恒例となった果物と野菜を詰めた秋の味覚無料配布を実施した。今回は「台風18号等大雨災害義援金」として、詰め合わせを受け取った来場者に寄付を呼び掛け、8万7千円が集まった。(佐々木健) 【写真=新企画の熱気球が会場上空に舞う】
【京都】アルファ物流(浅川剛社長、京都府久御山町)は、「京都・本社」という地の利を生かしたブランド戦略を進めている。 1968年12月、チルド食品輸送に特化した会社として創業。11年前に現社名に変えた。現在、2~4トン車を中心に27台を保有し、近畿地方を始め首都圏や中部圏へ、豆腐や漬物といった京都ならではの食材を配送する。 「名古屋の百貨店へ京都の特産品を届け、帰り荷として麺類を持ってきているが、『京都』という名前は人気が高い。京都に本社を置く運送会社として、そのブランド力を最大限利用したい」(浅川社長) 本社に併設する冷蔵倉庫は365日24時間稼働。通常2、3人のスタッフが作業に当たる。朝、商品をスーパーに配送したトラックで集荷し帰庫。その後、一時保管するとともに、方面別に仕分けし、出荷に備える。 大阪営業所(大阪市港区)では、和食レストランチェーンのセントラルキッチンで下ごしらえされた食材を大阪府内7コース、朝と昼の2回届けるものの、うち2コースは京都から応援する。 浅川社長は「安全と品質は今後、厳しい状況下で勝ち残るのに必要不可欠な要素。これまでの評価に加え、更に多様なニーズに応えられるようサービスを充実させ、日本の食文化に貢献していきたい」と強調する。 2007年7月にデジタルタコグラフを全車に導入。08年9月にはドライバーを守るために、ドライブレコーダーを標準装備し、ハード面の強化を図るとともに、同12月には安全性優良事業所認定(Gマーク)も取得した。 また、トラックのボディーに、「私たちは物を運ぶと同時に心も一緒に運びたい」というキャッチフレーズを大きくプリント。常に一般社会から行動を見られている――という意識をドライバーに持たせることで、品質向上に努める。 浅川氏は「人手不足は深刻な問題だが、採算の悪い取引は中止し、利益率を重視した経営にシフトしていく。当面、運送事業だけで利益率5%を目指す一方、京都ブランドでしっかり足固めし、いずれは東京へ進出する計画だ」と話す。(落合涼二) 【写真=トラックのボディーにキャッチフレーズを大きくプリント】
【長野】長野県トラック協会の上伊那地区輸送協議会(小池長会長)は3日、トラックの日フェスティバルを開催した。会場には新型の低公害車、パトカー、白バイ、消防車に加え、自衛隊車両も展示。催しの様子はFMラジオ番組で生放送され、トラックの重要性を広く県民にPRした。 小池会長がゲストとして番組に出演。2014年2月の大雪で物流が滞った事例を挙げ、「空気や水と同じように、無くなって初めて存在が分かる。それほどトラック輸送は身近にあり、日々の生活を支えている」と説いた。 上伊那貨物自動車(小池社長、駒ケ根市)の本社構内に、B級グルメを始めとする屋台、生鮮品の産地直送販売、各種ゲームコーナーなどを設けた。勇壮な信州辰野太鼓の演奏で幕を開け、新聞の折り込みチラシ裏面の塗り絵を持参した先着600人に、漏れなくキャラクターグッズが当たる抽選会も実施した。 トラックステージでは、長野県ご当地アイドルグループの「オトメ☆コーポレーション」がライブを披露。終了後は、熱狂的なファンや子供たちと握手し、記念撮影にも応じていた。なお、イベント前には自民党代議士の宮下一郎氏(長野5区)も駆け付け、応援メッセージを送った。(河野元) 【写真=ライブを披露するご当地アイドルのオトメ☆コーポレーション】
【岩手】自動車事故対策機構(NASVA)の岩手支所(石川儀孝支所長)は、地元商店街が開催するアートのイベントに作品を出展している。 同支所からわずか数十メートル先にある商店街「ホットライン肴町」では、例年フラッグアート展を実施。縦285センチ、横200センチの巨大な布に、絵や図形、文字などで一定のテーマを表現した作品をアーケードの天井からつり下げ、多くの市民が芸術に触れる機会を提供している。 いつも郵便局などを利用する際に出向く商店街でもあり、これまでは通り掛かった時にフラッグを眺めているだけだったが、自分たちの組織をPRするいい機会になるのでは――という職員からの提案で、2015年に初めて出展を決めた。 NASVA業務の三本柱である「支える、防ぐ、守る」を強調し、オリジナルキャラクターの「クるマる君」をクローズアップしたデザインで、空き時間などを調整しながら職員6人でフラッグを制作。9月17日に完成させた。作品は10月末日まで展示される予定だ。 石川支所長は「商店街のすぐ近くにこういう取り組みをしている事業所があることを、ぜひ多くの人に見て知っていただきたい」と話している。(今松大) 【写真=「支える、防ぐ、守る」の三本柱を強調したデザインフラッグ】
【広島】奈良運送(奈良至晏てつや社長、広島県呉市)は、尿素水「エコツーライト」の製造・販売に本腰を入れる。これまで3年間、オプティ(猪野栄一社長、三重県川越町)の代理店、無垢(むく)道原伸二社長、広島県三原市)から仕入れ、自社車両で使用して高い品質が確認できたことから、8月に代理店契約を結んだ。(江藤和博) 無垢の販売店の位置付けだったが、広島県内では無垢に続く2番目の代理店となった。当面は呉市や広島市、東広島市をエリアに営業展開し、徐々に広げていく方針。 サービスステーション(SS)を持つ呉輸送センター協同組合(三戸初人理事長)への卸販売のほか、千リットル以上の納品先には自前で配達している。トラック事業者の取引先は6、7社だが、今後は地元業界へのPRを強化するとともに、公営バスや消防車など官公庁の車両に売り込んでいく。 プラントは本社敷地内にある倉庫に設置。尿素と純水を攪拌かくはんした後の工程でろ過装置を使い、マフラーの詰まりの原因となるトリウレット(シアヌル酸)を除去。「他製品より高い品質を維持」とアピールしている。 運営を担当するのは、営業企画部の山根昌幸氏とエコツーライト事業部の藤井秀一氏。山根氏は「尿素SCRシステムの搭載車両はまだ3割程度。今後の潜在需要は大きい」、藤井氏は「高い品質をアピールし、多方面の分野に販売展開していきたい」と意欲を示す。 【写真=ろ過装置を使い、マフラー詰まりの原因物質を除去するプラント】
社長とドライバー全員が女性のダンプカー運送会社、ハートフル(水島有日子社長、福井市)が創業し、8日、福井県南越前町で出発式を行った。女性ドライバーだけで、しかも全車両がダンプカーの会社は全国的にも珍しく、究極の「トラガール軍団」が誕生した。(星野誠) ダンプカー10台、女性ドライバー10人のハートフルは、北陸トラック運送(水島正芳社長、同)のグループ企業で、同社の水島正孝会長が立ち上げた。9月に一般貨物運送事業許可を取得し、1日から業務をスタート。3月に長野―金沢が開業し、2023年に敦賀市まで延伸される予定の北陸新幹線関連工事などで公共事業が増加し、ダンプ需要が高まることを見込んでいる。 出発式には、明るいピンク色を基調としたダンプ3台が並び、女性ドライバー5人が参加。水島会長や福井県トラック協会(清水則明会長)の中山武専務らが見守る中、3台は砂利の積み込みを行った後に隊列を組み、北陸新幹線・新北陸トンネルの工事現場までの12キロメートルを輸送した。 【写真=ピンク色のダンプカー前でポーズを取る女性ドライバー】
丸和運輸機関は、堺市堺区に西日本地区の中核物流センターとなる「AZ-COMMKOSAKA」を開設する。6日、施設を建設するラサール不動産投資顧問(中嶋康雄社長兼CEO=最高経営責任者、東京都千代田区)が地鎮祭を実施、2016年10月に竣工させる。丸和運輸機関は同施設を活用し、顧客の実店舗やネット通販などに対応するオムニチャネル、EC(電子商取引)ビジネスをサポートしていく。 施設はBTS(特定企業入居)型で、敷地面積が1万5370平方メートル、4階建てで、延べ床面積は3万780平方メートル。大消費地の大阪市を目前に控える好立地で、現在整備中の阪神高速道路・大和川線が17年3月に開通予定となっていることから、関西圏の東西南北の物流動線の一角となる。 周辺一帯は工場や物流施設が立地している工業地帯のため、365日・24時間稼働が可能全館LED(発光ダイオード)照明や屋根には太陽光発電を計画するなど、周囲の環境に配慮している。また、南海本線・七道駅から徒歩10分程度に位置することから、従業員の雇用確保にもつながる。 丸和運輸機関の和佐見勝社長は「西日本エリアではかねて新たな医薬医療分野の物流センター構築を検討していた。立地の良い場所の提供を受けたことで、高度一貫物流のキーワードとなるオムニチャネルやECビジネスを推進していく」と話している。(谷本博) 【写真=関西圏の東西南北の物流動線の一角に(完成予想図)】