ヨコレイ、アフリカ留学生が見学 大黒センターの冷却設備
ヨコレイは17日、アフリカ4カ国の留学生17人が大黒物流センター(横浜市鶴見区)を16日に見学した、と発表した。 留学生は、国際協力機構(JICA、田中明彦理事長)が主催する「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」(ABEイニシアティブ)の第1期生。ABEイニシアティブは、将来アフリカで日本企業の経済活動の水先案内人となる人材の育成を目指すもので、現在1期生150人が来日。2年間の研修生活を始めている。 アフリカ諸国では今後、日本のコールドチェーン(低温流通網)技術が導入される可能性があることから、日本の冷凍技術を学ぶため、国際的に主流の液ポンプ式冷凍技術を持ち、かつ施設も大きい同センターを訪れた。 留学生は、冷却設備の仕組みやメンテナンス体制、設備を長年使用するために注意している点などについて積極的に質問。活発な意見交換が行われた。(吉田英行) 【写真=冷凍技術を学ぶ留学生】
あらゆるモノをインターネットに結ぶ「IoT」やビッグデータを物流に活用し、企業の生産性向上へ――。IoTなどの新技術がどのように経済や社会に影響するか、官民共同での検討部会が17日、発足した。主要分野の2030年代の将来像を探り、対応策を詰める。主要分野には物流関係も盛り込まれ、自動走行の実現や、電子商取引(EC)の拡大を想定し、検討を進めていく。経済産業省のほか、文部科学省、厚生労働省などの担当者も加わり、横断的な取り組みになりそうだ。(土屋太朗) 同日、経産省産業構造審議会新産業構造部会(伊藤元重部会長、東京大学大学院教授)の初会合を開催。宮沢洋一経産相は「日本の明日を開く大事な会議になる。世界に先駆けるように様々なアイデアを出してもらいたい」と強調した。部会では、来春までに中間取りまとめを策定。検討結果を16年度の成長戦略に盛り込む方針だ。 IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)といった技術への投資を促し、企業の生産性向上、賃上げにつなげる。その上で、考えられる影響や、官民でどのような対応ができるか――などを検討。官民共同で方向性をまとめる。 初会合では、30年代をメドとした主要産業の将来像を紹介。自動走行の実現で交通事故の減少や渋滞の解消につながることが示された。また、ECの高度化・拡大が進み、多様な消費ニーズを呼び起こすほか、高齢世帯へのサービス拡充になる――との見通しが提示された。 志賀俊之委員(日産自動車副会長)は「大企業ばかり生産性が向上するのではなく、中小企業にも影響が出るように、業界をまたいで進めていくべきだ。各企業の良いとこ取りをする必要がある」との考えを述べた また、土居丈朗委員(慶応義塾大学教授)は、消費税10%時の負担緩和策に挙げられた、増税分の一部を払い戻す還付制度案を引き合いに持論を展開。「制度案に対する反対意見には消費者や小売店の手間になることが挙げられており、これは税の話の前に、物流分野でICT(情報通信技術)化が進んでいないことを浮き彫りにした。この検討会を通じ、良い形で技術向上につなげられれば」と期待感を示した。 【写真=検討結果を来年度の成長戦略に盛り込む】
【静岡】静岡県トラック協会の女性部会(鈴木妙子部会長)は12日、児童養護施設の静岡ホーム(静岡市葵区)を訪問した。トラックとの触れ合いによる子供たちの社会教育と、運送事業への興味や理解促進を目的に、初めて実施。2~18歳の入園者のうち、小学校に通う児童27人が参加した。 鈴木部会長は「皆さんと一緒に運送の仕事や交通安全について勉強をするためにトラックを持ってきた。荷台に乗ってもらったり、運転席に座ってもらいながら、楽しい時間を過ごしたい」とあいさつした。 本部の早川和訓課長代理が、トラックの役割や仕事について小冊子を配布しながら説明。緑と白のナンバープレートの違いも、料金を徴収するタクシーとバスに例えて分かりやすく解説した。 グラウンドには、鈴崇運輸(鈴木社長、同区)とエムツー静岡(杉山まり子社長、駿河区)の大型車2台を準備。幼児入園者10人も加わり、運転席や荷台への乗車をはじめ、パワーゲートに乗っての昇降体験を通じて、楽しみつつトラックの機能を学んだ。 また、交通安全についても学習し、高学年児童が運転席に座って、トラックの前や両サイドに見えない位置があることを確認。ドライバーの海野てるみ氏(エムツー静岡)が、特に見えにくい場所を指摘し、「大きなトラックが来た場合には、近寄らないことが一番いい」と注意を呼び掛けた。 終了後、鈴木氏や大岡正枝副部会長、藤田一敏園長らが懇談。藤田氏が、入園者の就職事情や施設運営面での問題点を説明する中、参加者からは「大変勉強になった」「就職時にはぜひ、運送業界に興味を持って欲しい」といった感想が聞かれた。(奥出和彦) 【写真=体験を通じて、楽しみつつ機能を学ぶ】
国土交通省は、無人航空機(ドローン)の安全確保と、健全な利活用を両立するための環境整備に着手する。機体の安全性や操縦者の技量の確保とともに、業務や事業での使用に関するルールを官民で検討していく方針だ。 14日、交通政策審議会航空分科会の技術・安全部会(鈴木真二部会長、東京大学大学院教授)の会合で、4日に成立した、ドローンの飛行ルールなどを定めた改正航空法の概要について航空局が報告。更に、同法施行後の利用促進と安全確保を両立できる制度設計の考え方を示した。 安全確保に向けては、機体の大きさや性能、形態、用途の違いなどで一律の規制は難しいため、①より大きな機体(100キロ程度の産業用無人ヘリコプターなど)②より小さな機体(数キロのマルチコプター)――に分けて検討を進める。 万が一墜落した場合の影響が比較的小さい、より小さな機体では、製造者、事業者団体などによる自主的な取り組みを活用し、機能・性能、操縦者の技量について必要十分な安全を確保する仕組みを検討。製造者・各団体へのユーザー登録などを通じ、機体情報を把握する仕組みを考えていく。 業務や事業での使用に関するルールでは、健全な利用や事業の発展にもつながる使用ルールに関して、利用促進につながる安全確保体制について検討。重大事故情報の報告や原因分析、対策に活用する仕組み、運航前の気象、周囲の状況確認の義務付けといった、よりきめ細かいルールの追加など、必要な制度についても整備していく方向だ。 健全な利活用を促すための環境整備に向けては、「省庁横断で取り組むべき」として、改正航空法の検討に際し政府が設置した「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」などの枠組みの活用を提案。利用者に対する第三者賠償のための保険加入の奨励や、土地所有権と上空の飛行の関係性など飛行・利用に際しての権利関係の調整を図っていく。 委員からの異議は無く、報告された方向で進めていくことを確認。その上で、鈴木部会長が「改正航空法の施行により研究開発が制限されることが無いよう、欧米の例にならい実験区域を設定して欲しい」と注文を付けた。(田中信也) 【写真=交通政策審議会航空分科会の技術・安全部会で、航空局が改正航空法の概要について報告】
【岡山】新岡山陸運(木下聖士社長、岡山市中区)は、岡山県下トップクラスの保有台数(30台)を誇るダンプカー事業者。運送のほか、土木建設や警備業を手掛けるキノシタグループ(同代表、8社で構成)の中核企業の一つとして地域社会に貢献している。「トラック業界の中でも地位の低いダンプ業界を変えたい」との信念を持つ木下社長(44)は、一般のトラック事業者のノウハウを取り入れ、省エネ・安全対策などに積極的に取り組んでいる。(江藤和博) 同グループは、木下氏の父親である先代社長がダンプ1台で創業し、業務の間口を広げてきた。1998年に先代社長が他界し、当時28歳だった木下氏が常務から社長に昇格。先代の時代からの役員が離反して新会社を立ち上げ対抗する(新会社は5年後に経営破たん)など、苦難に直面した時期もあった。しかし、全盛期には15社あったグループ会社を統合するなど改革を進め、「赤字を出さない」という方針の下、今ではグループ全社が黒字を維持している。 ダンプは天候に左右され、定期便も無く、台数を抱えると大変なのは確か。しかし、ゼネコンから大型オファーがある時、台数維持のメリットが出てくる」 岡山県トラック協会の青年協議会(草野博一会長)や岡山県物流青年会(佐藤研治会長)に早くから加入し、一般のトラック事業のノウハウをダンプ事業に積極的に取り入れてきた。 「ダンプ業界には『一般のトラックは関係無い』との意識があるが、私はどんどん交流するようにした。そうすることで、一般のトラック事業者のノウハウはすごいということが分かり、タイヤをロット買いしてコストを抑えたり、燃費を向上させるためのドライバー教育に力を入れるようになった」 安全装備面も万全の体制を敷いており、可動式リアバンパーを全車に導入。バックアイカメラは新車導入時に2台取り付けるようにし、1台は荷台に土砂が残っていないかどうかを運転席から確認できるようにした。また、荷台が上がったまま走行するのを警告する装置も取り付けている。 また、安全性優良事業所認定(Gマーク)を県内でいち早く取得。産業廃棄物の収集運搬業では、エコアクション21認証や産業廃棄物協会の優良認定も受けている。 「安全に厳しいゼネコンは喜んでくれ、営業ツールとしても機能する。また、ドライバーから意見が出るようになり、朝礼にはヘルメットをかぶって全員が参加している。私がリードしたというより、皆の意識向上が大きい。ダンプ業界は以前から引きずる悪いイメージを変えていかなければならない」 ダンプは、ダンプ規制法により、自重計や表示番号の設置などが義務付けられている。木下氏は「時代錯誤の法律。Gマーク取得で規制を緩和するなど時代に合った改善を進めるべき」と指摘し、今より説得力のある形で要望活動を展開していく必要性を強調する。 グループの今後の課題は人材確保。ダンプは力仕事が伴わないため、女性を採用するには有利だとみており、現在5、6人いる女性ドライバーを増員していく方針だ。 木下氏は「仕事がマンネリ化すると労働意欲も減退する。従業員には常に『生きる糧を持って欲しい』と言っている。そのため、社員旅行などレクリエーションを充実させている。また、利益が出たら決算賞与で還元しており、従業員の意欲を高めて組織を更に活性化していきたい」と話している。 【写真=オレンジ色のコーポレートカラーを採用したダンプが人目を引く】
【滋賀】滋賀県トラック協会(田中亨会長)は6日、県の総合防災訓練に参加し、緊急救援物資輸送を行った。大規模災害の発生に備え機動的な訓練に取り組むとともに、市民生活を守るトラック輸送の社会的役割を広くアピールした。 午前7時、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯を震源とする大規模地震が発生、湖北地域で震度7を観測。建物倒壊や火災も起き、ライフラインは寸断、多数の死傷者が出ており、折からの大雨で河川は一部で氾濫(はんらん)も起きている――との想定で行った。 滋ト協では、県との協定に基づき、直ちに緊急輸送体制を取ることを各支部に指示。震源に近い湖北支部(小林茂樹支部長)には連絡室が置かれ、県現地対策本部や避難所との連絡に当たった。 田中会長が県対策本部に駆け付け、情報収集と調整する一方、湖北支部の連絡室を激励。各支部から計8台のトラックが出動し、湖上ルートと連携しながら、県内各地の備蓄倉庫から米原市と長浜市に設けられた避難所に、乾パンや毛布に見立てた段ボール箱を輸送した。 長浜市の避難所に指定された長浜小学校では、午前10時半ごろに救援物資を積んだトラックが到着し、下司運送(長浜市)の下司清一社長が藤井勇治市長に報告雨の中、ドライバーと協力しながらキビキビした動きで、県や市の職員に物資を引き継いだ。(小菓史和) 【写真=藤井市長に救援物資の到着を報告下司運送の下司社長(長浜市の避難所)】
【岐阜】多治見通運(武藤利樹社長、岐阜県多治見市)は、鉄道貨物協会(米本亮一理事長)が運営するエコレールマークで協賛企業に認定された。8月27日のエコレールマーク運営・審査委員会(苦瀬博仁委員長)で、ガス器具メーカーのパロマ(小林弘明社長、名古屋市瑞穂区)と同社商品を認定。これに伴い、商品の輸送を手掛ける多治見通運が協賛企業として認められた。(星野誠) 同制度は、地球環境に優しい鉄道貨物輸送を一定以上利用している商品や企業を認定するもの。 武藤社長が「荷主企業と一体で、鉄道輸送を推進してきたことが高く評価された」と喜んでいる。 多治見通運の西尾秀起通運部長は「鉄道輸送はリードタイムが伸びるイメージを持たれがちだが、名古屋からの発送分はトラックと変わらない。また、ガス器具は12月と3月に繁忙期を迎え、鉄道は通年同一価格のため安定している。鉄道の優位性を提案営業で顧客にアピールした」と振り返る。 10年前に年間500トンだった数量は、3年前に2500トンとなり、1万トン以上に増加した現在では、愛知、岐阜、三重など中部各県のパロマ生産拠点から、北海道や鹿児島県など、全国に鉄道コンテナ輸送を行っている。 西尾氏は「10トン分まとまらないと、トラックが走れない工場もある。しかし、鉄道コンテナは、ニーズに応じた細やかな多頻度輸送が可能。輸送コストを削減し、環境にも優しい。九州地区でドライバー不足が深刻化した際も、鉄道輸送でしっかり対応できた」と話す。今後は、エコレールマークを車両や名刺に入れるとともに、他顧客への提案営業も積極的に実施。武藤氏は「商品カートンを傷つけない積み方を工夫するなど、現場レベルの努力も重ねてきた。顧客に安定的な輸送を提供するのが我々の役目。これまで通運部門は守りの営業が多かったが、エコレールマーク協賛認定を機に、提案営業をヨコ展開していく」と意気込む。 【写真=全国に鉄道コンテナ輸送を行っている】
10日に関東地方で甚大な被害をもたらした記録的な豪雨は、同日夜から11日にかけて東北地方でも猛威を振るった。宮城県は、11日午前3時20分に大雨特別警報を発表。影響はどの程度だったのか――。各方面の様子を追いかけた。(富田久男、今松大、黒田秀男) 物流網では、東日本高速道路東北支社(小島治雄支社長、仙台市青葉区)によると、高速道路7路線が通行止めとなった。山形自動車道は、10日午前5時30分から上り線が笹谷インターチェンジ(IC)―山形蔵王IC、下り線は宮城川崎IC―山形蔵王ICで通行止め。解除された11日午前10時までの間、村田IC―山形蔵王ICが不通となった。 東北自動車道は10日午後9時に国見IC―白石ICの上下線で通行止めとなり、11日午前10時までの間に、最長で福島飯坂IC―築館ICが閉鎖された。仙台南部道路は10日午後11時から翌午前10時まで、山田IC―仙台南ICの通行が不能になった。このほか、磐越自動車道や常磐自動車道、仙台北部道路、同南部道路なども一部区間が通行止めになった。 また、一般国道にも被害が及んだ。堤防決壊による河川氾濫(はんらん)が発生した宮城県大崎市では、国道4号古川バイパスの米袋や三本木蟻ヶ袋地内が通行止め。同栗原市築館下宮野も通行不能になった。国道48号は、仙台市青葉区の関山トンネル付近の道路が崩落し、片側通行の措置が取られた。 物流施設への大きな被害は見られなかったものの、高速道路や幹線国道などの通行止めなどにより、一部では物流にも影響が生じた。仙台市内のコンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、12日も食品を中心に配送が遅れ、棚に商品を陳列できない状況が見られた。 渋井川の決壊で大きな被害を受けた大崎市西南部。すぐ近くには宮城県トラック協会大崎支部(千葉孝男支部長)の大崎輸送センターがある。 12日早朝、大崎市の担当者から千葉支部長(63)の携帯電話に「センターの駐車場を救援活動のために貸して欲しい」と緊急連絡が入った。消防や警察、自衛隊の救助活動サブ拠点として利用したい――とのことだった。早速、東西の入り口を開錠して駐車場を開放。消防や自衛隊の救助ボートの発着地となった。同地区の住民には大きな被害を与えたが、物流事業者への影響は少なかった。14日朝の時点で、同支部では「大雨の直接的な被害を受けた事業所は把握していない。会員からの連絡も無い」という。千葉氏は「道路が冠水して通行できずにう回して配送した車両も多かった。中には、操業休止に追い込まれた工場もあり、トラックの定期便が運休になった」と話す。 東北道、国道4号に加え、宮城から山形に向かう道路も各地で通行止めになり、物流はマヒ状態。長距離便に大きな影響を与えた。日興運輸(青森県弘前市)の木村宣博社長(60)は、「高速が通行止めになる前後で運行時間に明暗が分かれた。一般道も大渋滞で半日以上、足止めを食った車両もあった」と話す。12日午後1時に東北道が全線開通したが、翌日まで影響が出たルートもあったという。 特積事業者は運行便に遅れが出たものの、大きな混乱は無かったようだ。 食品配送のYBSサービス(佐藤侑功社長山形市)では、宮城県と山形県を結ぶ山形道や国道13号、48号などが通行止めとなり、配送コースのう回を余儀なくされた。幸い、宮城県白石市からの国道113号が通れたため、6、7時間の遅れで商品を配送した。 佐藤社長(72)は「宮城県側との山越えルートが次々と通行止めになった。国道113号が通れて助かった。遅れたが、荷主の理解は得られた」と語るまた「東北道経由(栃木県内などの通行止め)の関東便の遅れが目立ったものの、新潟経由は順調に到着した」という。 一方、鉄道貨物にも影響が及んだ。日本貨物鉄道(JR貨物)の仙台貨物ターミナル駅では、東北本線の運休などにより、2日間でコンテナ列車約50本が運休したほか、駅構内の一部が浸水した。 最深部で、水位はひざの高さまで上がった。これにより、19カ所のポイントが故障し、コンテナも一部(約200個)が水に漬かった。ポイント装置の復旧では、全国の各支社から機材や部品を調達するとともに、技術者の派遣などを受け、12日午後6時40分には完全に復旧した。2日間での復旧は異例の早さという。 また、濡れたコンテナの荷主に対しては、コンテナごとに貨物対応を行っている。 駅の町田昌俊駅長(55)は「構内も被害を受けたが、ポイントの復旧を完了させ、顧客対応も進めている。駅開所以来の大雨だったが、これを教訓に危機管理対応を万全にしたい」と話している。今週中(14~20日)には混乱は収束される見通し。 宮城県トラック協会(須藤弘三会長)によると、14日時点で、災害時協定に基づく、宮城県や自治体からの緊急物資輸送の要請は無い。 【写真=構内の一部が浸水した仙台貨物ターミナル駅(11日)】
【福島】福島県倉庫協会(矢部善兵衛会長)と福島県トラック協会(渡辺泰夫会長)は8月30日、南相馬市で開かれた福島県総合防災訓練に協力した。支援物資の受け入れから一時保管、分別、輸送までを一貫して担当し、連携の強さと対応の素早さを示した。 両協会が合同で訓練に参加するのは今年で2回目。東日本大震災と原発事故の経験を踏まえ、必要な救援物資をより早く、確実に被災地に届けるためには倉庫とトラックのスムーズな連携が必要不可欠であるとして、県が合同訓練を組み入れた。 相馬野馬追祭りが行われる雲雀ヶ原祭場地をメーン会場に、市内4カ所で様々な訓練が行われた。福島県沖を震源とする震度6弱の地震が発生、建物の倒壊や火災による多数の負傷者が出たほか、大津波警報が発令され、沿岸部の住民が緊急避難する――との想定で進められた。 災害対策本部(内堀雅雄本部長、知事)から福島倉協と福島ト協に協力要請が入り、福島倉協は被災地に近い会員事業所に対応を指示。また、福島ト協では相双支部(鎌田武雄支部長)に車両と輸送隊の編成を指示するなど、いち早く態勢を整えた。 訓練会場では、自衛隊によって運び込まれた支援物資をフォークリフトを使って荷下ろしを行い、仮倉庫に一時保管した。その後、被災住民や避難所から要望された物資を分別しながらトラック(4トン車)に積み込み、現場に急行。多くの市民が見守る中、両者の連携ぶりと対応の素早さを示し、物流業界の重要性を強くアピールした。(富田久男) 【写真=自衛隊のトラックから物資を積み下ろす輸送隊員】
【栃木】卸・流通事業者向けの3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を手掛ける北関東物流(神成光輝社長、栃木県壬生町)は、最大規模の拠点になる鹿沼営業所(鹿沼市)を開設する。9月下旬の稼働を目指している。(佐々木健) 新拠点は東北自動車道・鹿沼インターチェンジに近い、とちぎ流通センター協同組合(関口快流〈かいりゅう〉理事長)内に設置。敷地面積6500平方メートルで、鉄筋4階建て、延べ床面積8700平方メートルの倉庫・事務所棟を置く。積載荷重1トンの垂直搬送機2基と同1.5トン1基のほか、入庫や搬出用の高床ホームを2面に備えている。 1階部分は千パレット収容可能な大型ラックを置き、ケース単位で出荷するセンター向け作業エリアと、店舗向けの在庫保管エリアとする。2~4階では、店舗向け出荷のピッキング作業を行う。庫内作業に無線LANピッキングカートを導入。荷主の在庫管理や受発注機能とリンクした在庫管理システムを設置する。 扱う貨物は、近隣に位置する宇都宮営業所(宇都宮市)から移管。同営業所はトラック25台を保有、2階建ての倉庫で、日用雑貨や医薬品、紙製品を扱っている。 このうち、家庭用品やアパレル品など日用雑貨類を新拠点に移し、宇都宮営業所と補完的に業務を展開。鹿沼営業所では流通加工に特化し、輸配送は宇都宮営業所で対応する。配送エリアは南東北から関東一円。 とちぎ流通センター協組は、1988年に流通機能を集積した団地として造成された。以前は卸・運輸・倉庫の3区画に分割され、それぞれの区画に異業種が参入できないよう規制が掛けられていた。近年では、3PLなど包括的なサービスが伸長し、規制が時流に合わないことから、2014年11月に区画制限を撤廃した。北関東物流は緩和後初の企業として、かつての卸区画に入居する。 【写真=扱う貨物は、近隣に位置する宇都宮営業所から移管】