国政研調査、10年で22%減 労働条件の改善必要
国土交通政策研究所(大藤朗所長)の調査研究によると、トラックドライバーを含む「輸送・機械運転従事者」は2023年に13年比22%減の174万人へ減少する見通しだ。高齢化が進展し、50歳以上の割合は13ポイント増の63%に拡大。自動車運転に関わる産業で労働力不足の深刻化が懸念されることから、給与や労働時間といった労働条件の改善、高齢者が働き続けられる環境整備、雇用の幅の拡大などの対策を促した。(山上隼人) 10日、春季の「国土交通政策研究所報」を発表。この中で、小田浩幸研究官が調査研究した「自動車運転者の労働力不足の背景と見通し」を紹介した。労働力不足の原因について①他の職業に比べて人気が低い②高齢化の進展と労働市場の縮小③若者の離職や都会への流出――の仮説を立てて検証。それぞれの対策を示すとともに、将来の就業者人口を予測した。 調査研究によると、トラックやバス、タクシーのドライバーは以前から他の職業に比べて不足感が強いが、ここ数年で更に進行。有効求人倍率は13年に1.69となり、リーマン・ショック前の最高値だった1.56を上回った。全職種の合計が0.87のため、2倍近い水準に達している。 他の職業に比べて人気が低い――とした仮説の分析では、大・中型トラックドライバーと全産業の所得、労働時間を比較した。13年の実績をみると、大型トラックの場合、全産業に比べて所得が11%低く、労働時間は24%長いことから「人気が低いとしても不自然ではない」と指摘した。 高齢化の進展と労働市場の縮小を原因とした仮説については、総務省の労働力調査を基に分析。 全産業の年齢構成は、30歳未満が17%、50歳以上は37%となっているのに対し、ドライバー職は30歳未満が7%、50歳以上は51%だった。ドライバー不足の原因を高齢化とすることの立証まではできないが、「可能性としてはありそうだ」とした。 一方、若者離れを原因とすることについては、高校新卒者に関するデータに基づいて仮説を反証。13年の3年以内の離職率は、全産業平均は39.6%だったが、運輸・郵便業の方が33.5%と低かった。求人のうち実際に採用できた割合を示す「求人充足率」をみると、運輸・郵便業は新卒者の獲得に健闘。更に、県外(都会)での就職率が伸びていないことから「労働力不足の原因が若者にあるとは言えない」と結論付けた。 こうした仮説を検証した後に、対応策を明示。労働条件の改善や職場環境の整備、女性や大卒に注目した雇用の幅の拡大などを促した。また、ドライバーの就業人口は、18年に13年比12%減の198万人、23年には22%減の174万人に落ち込む――と予測。少人数で同じ仕事ができるよう「仕事の機械化・効率化を進める必要がある」とした。
トヨタ部品東北共販(中島啓二社長、岩手県矢巾町)は、青森県八戸市に新たな物流センターを建設する。7日に行われた安全祈願祭で、中島社長が「北東北における重要な拠点となるとともに、部品物流の技術革新の実験場としても位置付けている」とあいさつし、更なる物流効率化へ意欲を見せた。(今松大) 名称は八戸物流デポ(仮称)で、八戸自動車道・八戸北インターチェンジ(IC、八戸市)から0.1キロの場所に立地する八戸北インター工業団地内に整備。2015年10月完成、16年1月の稼働を目指す。鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積は1600平方メートル。 同市桔梗野で稼働中の八戸営業所は、建設から30年以上が経過。建物の老朽化が目立つ上、手狭になっており、物流機能の充実、総固定費削減のため、新しい施設に建て替える。 同社がカバーしている北東北エリアは、人口減少の問題を抱えている。こうした現状を踏まえ、今後は部品供給ネットワークの再構築に取り組み、地域に最適な仕組みをつくっていく。将来を見据え、11カ所ある営業所の在り方も見直す。 青森、八戸、秋田、盛岡の4地域に分割し、それぞれに核となるデポを設置して配送と在庫の集約を推進。これまでは、各営業所で3千~5千アイテムの在庫を保管していたが、千アイテム程度に減らす。4カ所に物流機能を移管し、残りの拠点では、営業活動を強化していく。 【写真=16年1月稼働予定の八戸物流デポ(仮称)】
【徳島】大輪総合運輸(森本英樹社長、徳島県鳴門市)は、本社営業所で道路交通安全マネジメントシステムの国際規格ISO39001の認証を取得した。これまでも安全・安心を最優先とする営業方針を貫いてきたが、取得を機に高い品質を荷主へアピールするとともに、同業他社にノウハウを提供し、取得を支援していく方針だ。39001の認証取得は、徳島県のトラック事業者では初めて。(江藤和博) 2014年3月にキックオフし、自動車事故対策機構(鈴木秀夫理事長)のコンサルティングを受けて、今年3月27日付で日本品質保証機構(小林憲明理事長)から登録証の交付を受けた。 同社は32台を保有し、清涼飲料水や農産物などの輸送を手掛け、安全性優良事業所認定(Gマーク)やグリーン経営認証は既に取得している。全車両にデジタルタコグラフやドライブレコーダーを装着しているほか、遠隔地で飲酒をチェックできる携帯電話対応のアルコール検知器も導入。ハード面では最大限の安全投資をする方針を取っており、居眠り運転警報装置や車両の下回りに取り付ける巻き込み防止装置の導入も前向きに検討している。 ソフト面では、全従業員の携帯電話に他社の事故事例や天候の情報などを配信しているほか、月1回の安全会議を開催。また、総務や経理の女性社員もドライバーに声掛けを行うなど、職場ぐるみの安全活動を実践している。 森本社長は「認証取得が目的ではなく、これまでの無事故・無違反を永続的に続けていくための手段。企業文化として安全に対する全従業員の意識は高く、取得に向けた取り組みへスムーズに入っていけた」と話す。 今後は、協力会社に認証取得を推奨するほか、認証マークを車両などに貼り、荷主や一般社会にアピールしていく。また、協力会社以外の同業者からも要望があれば、取得を支援してトラック業界のイメージアップに貢献していく構えだ。 「安全・安心は〝守りの営業〞とも言える。〝攻めの営業〞で得た利益を守りの営業に還元し、循環させながら安全・安心のレベルを高め、品質を追求していきたい」 また、徳島県トラック協会(粟飯原一平会長)の副会長を務める森本英昭会長も「先頭の旗振り役として一生懸命、安全に取り組みたい」と話しており、トラック業界における39001の普及に協力する姿勢を示している。 【写真=登録証を手にする森本社長(中央)と森本会長(左)、取得までの実務を担当した杉内弘明統括管理部課長(右)】
【愛知】南星キャリックス(市川重人社長、名古屋市南区)は、愛知県豊田市に物流倉庫を新設する。11月の完成予定。事務所を併設し、手狭になっていた豊田営業所も移転する。倉庫所有は初めてで、倉庫業の登録も予定する。(奥出和彦) 建設地は市街化調整区域で、物流総合効率化法(物効法)の認定を受け、2月に造成工事を開始。東海環状自動車道の豊田勘八インターチェンジ(IC)に近く、アクセスが良い。 敷地面積7970平方メートル、延べ床面積1500平方メートルの平屋建て倉庫を建てる。同営業所メーンの自動車部品を中心に扱う予定で、倉庫レイアウトをシンプルにして、はん用性を重視しながら、他業種製品取り扱いも視野に入れる。 現在、同営業所には45台の車両を配置。駐車の際は2カ所に分散しており、営業所が市街地にあることと合わせ、業務効率が問題となっていた。新営業所では、大型車を含め60台程度の駐車スペースを確保し、トラックの大型化や増車にも対応できる。駐車場を集約することで、二酸化炭素(CO2)など、温室効果ガスの削減にもつなげる。 洗車施設や30キロリットルの給油設備を設置するとともに、照明にはLED(発光ダイオード)を採用し、環境保護に配慮。倉庫屋根には、太陽光発電パネルを取り付け、売電も推進する。 市川社長は「計画の立ち上げからこれまで2年かかり、やっと着工できた。サービス向上と、職場環境の充実化に向けて完成を目指したい」と話す。 【写真=車両大型化や増車に対応(完成予想図)】
輸出航空貨物の荷動きが堅調だ。緩やかな景気回復とともに、米国西海岸2大港の港湾ストライキによる「特需」が発生したため、日本通運を含めた航空フォワーダー大手4社の2014年度の取扱量は前の年度に比べ2桁増となった。3月単月では、日通の前年同月比60%増を筆頭に、全社が大幅に増加。「米国向け特需は2月がピークだったが、アジア、欧州向けも底堅い動きになってきた」と、業界関係者の期待感は膨らむ。(高木明) 近鉄エクスプレスの14年度の取扱量(輸出混載貨物)は13万2360トンで、13年度実績を24.9%上回り、増加に転じた。3月も米国向けの伸びに支えられ、前年同月比45.3%増の1万3430トン。同社では「最悪の状況から抜け出し、各仕向け地共に底堅い動きに変わってきた」(広報部)とみている。 また、郵船ロジスティクスの14年度実績は前の年度比18.0%増の12万4490トン。3月も22.3%増の1万1590トンと好調に推移した。阪急阪神エクスプレス(岡藤正策社長、大阪市北区)も14年度は11.0%増の6万1090トンとなり、広報課は「3月実績は14.8%増の5650トンとなり、3年9カ月ぶりに5500トンを上回った」としている。 航空フォワーダー業界によると、取扱量の堅調な伸びは世界経済の緩やかな回復とともに、米国西海岸の2大港(ロサンゼルス港、ロングビーチ港)の港湾労働者のストライキによる「特需」の影響が大きい。中でも港湾ストでは、港湾機能が一時マヒし、自動車関連部品などが海上輸送から航空輸送に切り替わった。既に、2月末までにストは中止されているが、「港湾機能が正常化するまでには半年以上かかる」(近鉄エクスなど)という。 各社の米国向けの輸送量の伸びはすさまじい。各社の3月実績をみると、近鉄エクスは前年同月比3.4倍の5600トン、郵船ロジも2.2倍の3950トンを取り扱った。阪急阪神エクスも米州向けは18カ月連続の伸びで、38.2%増の1310トン運んだ。 航空フォワーダー業界では、日通が最大手で、上位4社の占有率は6割程度となっている。日通の取扱量は14年6月以降、10カ月連続で前年を上回って推移しており、14年度は前の年度比16.2%増の21万6060トン。3月単月は前年同月比60.4%増の2万6750トンと、2月に引き続き、60%台の大幅な伸びとなった。
ドライバーの8割がデジタルタコグラフ(デジタコ)装着車に乗務するとともに、ドライブレコーダー(DR)を装着したトラックが6割超に――。運輸労連(山浦正生委員長)が8日発表した「運行記録計・ドライブレコーダー等実態調査」で、普及が進んでいることが分かった。特に、DRは前年の調査に比べて20ポイントもアップしており、増加傾向が著しい。調査は加盟組合員が対象で、2014年6月から10月末まで実施し、4486人の回答(回収率35.6%)を集計・分析した。(高木明) 運行記録計の種類では「デジタコ装着車のみ」が最多の60.4%で、「デジタコ装着車が中心(半分以上)」(18.2%)を合計すると8割近くを占めた。昨年の調査と比べると「デジタコ装着車のみ」が3.3ポイント増えたのに対し、「アナタコ(アナログタコグラフ)装着車のみ」は3.4ポイント減り、18.4%になった。 デジタコの装着効果(複数回答)で最も多かったのは「速度を控えめにして運転するようになった」(54.6%)。次いで「急加速を控えて運転するようになった」(50.2%)、「急減速を抑えて運転するようになった」(49.4%)など。 また、燃費の変化についても「やや向上した」(35.4%)、「向上した」(27.3%)を合計すると、全体の6割以上を占め、デジタコ機能の効果がうかがえた。 DRの装着状況では、「デジタコとの一体型」が35.6%、「単体のDR」29.3%を合わせると6割以上となった。「装着していない」は35.1%あった。前年と比較すると、装着率は20.2ポイント増加。特に、デジタコ一体型は25.5ポイントもアップしており、増加傾向が著しい。事業者がデジタコの新規・代替に合わせて、DRも同時に導入したとみられる。 DR装着による変化では「安全教育に活用されるようになった」が1125件、「運行管理に活用されるようになった」も845件と多い。一方、装着による課題では「特にない」1182件、「運行管理が厳しくなったことで心理的な重圧を感じるようになった」(855件)も多数に上った。調査時点では、最大積載量5トン以上、または車両総重量8トン以上の車両に運行記録計の装着が義務付けられている。 運輸労連では「一部のドライバーから心理的な重圧を感じたり、気になって運転しづらくなった――との指摘もある。導入の趣旨やデータの使用・活用方法などを、適切かつ継続的に伝えていく必要がある」としている。
大田市場花き部の卸売会社、大田花きは物流施設の拡充で、より良い鮮度の花きをタイムリーに出荷できる体制を2016年12月をメドに整える。4月には、新たな物流施設「OTA花ステーション」を着工した。同社が扱う商品の8割程度は、鮮度が命の切り花。1990年に機械を使った「競り下げ方式」を初めて導入した同社の磯村信夫社長は、世界2位の規模を誇る大田市場花き部のリーディングカンパニーとして、引き続き新たな価値の創造を目指す。(高橋朋宏) ――物流施設の拡充で強化される機能は。 OTA花ステーションは、現施設に隣接する形で、子会社の大田ウィングス(磯村社長、東京都大田区)が整備する。鉄骨造り地上3階建て、延べ床面積は1万2188平方メートルで、稼働すれば、1日当たりの最大取扱量は1千万ケースと現在の1.4倍になる。保冷庫面積の倍増で、鮮度保持機能は強化される。早期の入荷・引き渡しが可能になり、作業効率も向上する。 ――物流部門を増強している。 花きは「刺し身を扱うようなもの」と称されるほど、鮮度が重要視される。鍵を握るのが物流だ。仲卸などを経て消費者に届くまで、プロフェッショナルな温度管理とともに、効率の良い配送体制が求められる。 物流は縁の下の力持ち。物流が無いと物は届かない。一方で今後、ロジスティクス全体のレベルを上げないと、荷主や消費者のニーズに応えることはできないと感じる。大変な試練だが、そこにはビジネスチャンスがある。 例えば、都内で5店舗を展開するフラワーショップには、仲卸業者3者がそれぞれ商品を届けている。店舗数がそれほど多くないから成り立つのだろうが、もっと効率よく運ぶことができるはずだ。我々が介在して物流を担うことで、仲卸業者には販売に徹してもらう。 将来的に我々は、スムーズな物流プラットホームを用意したい。オペレーターとして効率の良い物流網を提供すればリードタイムは短縮する。より長持ちする花を届けられるだけでなく、開店前の小売店のレイアウトなども円滑になる。同業他社から購入された商品についても物流サービスを提供したいと考えている。 現在、国内の花の産地と出荷先は集約されつつあり、大田花きは出荷先として選ばれている。当社を利用しないと、消費者ニーズに応えられない状況の中で、充実した保管・出荷・配送体制の整備を継続していく。 ――中長期的な戦略は。 あくまでも主役は生産者と消費者、準主役は小売店。サプライチェーン(SC)全体を見てオーガナイズしていくという視点を持ち続け、それぞれが、それぞれの業務に専念してもらえるようサポートしていきたい。また、産地は産地、農産物は農産物といったように個別に首都圏に運んでいたものを、混載でも温度コントロールできるような荷姿や、エチレンをカットできるような仕組みづくりも進めたい。 ――情報提供サービスにも取り組んでいる。 花き業界初のシンクタンク、大田花き花の生活研究所(桐生進社長、大田区)では、花きに関する様々な情報を集積し、各種コンサルタント業務も展開している。分析したデータを使って、販売の切り口などを提案している。 どんな商品がどの地域で売れているのかといった情報の蓄積で、「団塊ジュニアの40歳代が消費のけん引役になっている」「リタイアした団塊世代は品質が良くて安価なものしか購入しない」などが分かる。これらの情報を分析し、販売戦略を立てれば、花の消費量は増加する。 花は姿や香りが楽しめ、心身ともに癒やされる。花のある生活は豊かだ。情報提供サービスの名前は「ここほれわんわん」。我々は花咲かじいさんの役割を果たしたい。
【東京】八武崎運送(八武崎秀紀社長、東京都江戸川区)は、医薬品と雑貨に的を絞った3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業を成長戦略の柱に据える。事業展開を関東に限定してきたが、年内にも東海地区で第1号の営業所を開設。更に、一般用医薬品の調達物流に新たに乗り出したほか、北関東における拠点の新設も構想している。(沢田顕嗣) 荷主のドラッグストアが東海圏で新規出店を加速させていることを受け、関東と関西の出荷拠点から中間に位置する東海に通過型センター(TC)を構える。センターの運営を管理する責任者を派遣し、庫内業務と店舗配送は協力会社に委託する方針。 併せて、仙台以南の東北エリアでの納品サービスを視野に入れ、関東で2カ所目のセンターを北関東に新設する構想も推進していく。納品地域を仙台まで拡大することにより、2023年9月期の売り上げを30億円(15年9月期は10億円を見込む)に引き上げる。 同社は220店舗程度のドラッグストアや調剤薬局に医薬品と雑貨を納めている。特に、ドラッグストアは特売などの影響により近年、季節波動と曜日波動が大きくなっている。このため、物流会社の視点を基に在庫回転率や立地条件、バックヤードスペース、周辺の交通環境などの客観的データを示した上で、発注ロットや発注回数、納品時間、品ぞろえ、店舗間の商品移動、パートの適正な配置などを提案している。 八武崎社長は「物流会社は商流の世界としがらみが無いので、公平かつドライな視点で問題を発見できる」と指摘。店舗の負担軽減や物流コストの削減だけでなく、機会ロスを防ぐ販売支援にも注力する。1500~2千に上るアイテムの売れ筋と死に筋を季節性などの各種要因も加味してデータベース化。顧客サイドに立脚した物流設計を信条としている。 八武崎氏は「物流の課題を肌で一番感じられるのは物流事業者。かゆいところに手が届くのが、我が社の物流サービスと自負している。ベンダー(問屋・卸)や元請けと連携を密にし、店舗に寄り添った物流を今後も提供していく」と話している。 【写真=物流会社の視点から荷主に発注ロットや納品時間などを提案】
【宮城】宮城県トラック協会(須藤弘三会長)は3月31日、全線開通の常磐自動車道と国道6号の放射線被ばく線量の実態調査を行った。2月に実施した利用運行状況アンケートを基に、現地調査を行ったもので、放射線数値を計測するとともに、道路状況、走行環境などを確認した。(黒田秀男) 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所事故の発生以来、不通になっていた国道6号は2014年9月15日に通行止めが解除され、今年3月1日には常磐道が全線開通した。しかし、放射線被ばく線量に対する不安や荷主企業からの要請で、通行を避ける事業者は少なくない。また、通行を問題視する問い合わせもある。 そこで、宮城ト協では、両幹線道の実態調査に乗り出した。参加したのは須藤会長、吉田雄三専務、高橋泰治事務局長、畑原保夫適正化事業部長ら7人で、車両2台に分乗した。 往路が仙台東部道路の仙台東インターチェンジ(IC)から仙台若林ジャンクション(JCT)で常磐道に入り、南相馬IC、鹿島サービスエリア(SA)、常磐富岡ICまで南下して折り返し、復路は国道6号に下りて北上しながら線量を計測した。 測定器は同協会と会長所有の1台ずつに加え、内閣府原子力災害対策本部から5台を借用。往路・復路の要所ごとに被ばく線量を確認した。 吉田氏は「道路状況や走行環境、周辺市町村の除染処理状況なども知ることができた。とても参考になった」と話している。 2月の利用運行状況アンケート結果(回答602者)では、国道6号を「利用しない」が53%、そのうち20%が「荷主の要請でう回」。常磐道も「利用しない」と答えた68%のうち、13%が荷主の要請だった。 また、利用しない理由として「社内で禁止されている」「製品へのリスク回避」「海上コンテナの放射能検査にかかった場合、対応が出来ない」「ドライバーが嫌がる」などが挙がった。 【写真=常磐道に設置された線量表示板】
SGホールディングス(町田公志社長、京都市南区)とローソンは7日、業務提携を結び、コンビニエンスストアを起点とした宅配やご用聞きなどの新サービスを6月からスタートする、と発表した。共同事業会社「SGローソン」を設立し、宅配便の店舗受け取り、生活サポートサービスなどを展開。高齢者や共働き、一人暮らし世帯を対象としたニーズ拡大が狙い。佐川急便(荒木秀夫社長、同)には、不在時の再配達減少によるコスト削減や配送インフラ拡大といったメリットが期待される。(田中信也) SGローソンは、ローソン51%、SGHD49%をそれぞれ出資。6月14日設立予定で、東京都世田谷区を中心とした20店舗程度で新サービス「SGローソン マチの暮らしサポート」を開始する。 ローソン店舗の半径-500メートルのエリアで、SGローソンのスタッフが佐川急便の荷物や、ローソンの取扱商品を配送。また、不在時に宅配された荷物はローソンの店頭で受け取ることができるようになるほか、ローソン店頭で販売する弁当類やネット宅配「ローソンフレッシュ」の商品を配達するご用聞きサービスも実施する。 また、有機野菜の宅配サービス「らでぃっしゅぼうや」や、食品スーパー成城石井などローソンの系列・提携する店舗の商品の取り寄せ、水漏れへの対応といったライフサポートサービスの取り次ぎ業務なども順次展開。地域密着であらゆるニーズにワンストップで応える新業態を目指していく。 配送に当たるのは「ローソンの縦じまと佐川急便の横じまの間を取った、斜めじまのユニホーム」(SGローソン社長に就任予定の野辺一也ローソン執行役員)をまとった専任の配送スタッフで、車両は一切使わずに台車で訪問する。スタッフは主婦や高齢者などを積極的に採用する。 エリアは、今年度末までに都内のローソン直営店舗100店舗に拡大。2016年度以降はフランチャイズ契約の店舗も対象に広げ、19年度末までに全国1千店規模を目指す計画だ。 更に、佐川急便の取引先の通販事業者などから購入した商品を、全国のローソン店舗で24時間受け取れるサービスを7月から開始する。利用者は自宅近くに限らず、勤務先や旅行先などにある店舗を指定することができる。 7日の共同会見で、ローソンの玉塚元一社長、SGHDの町田社長とも、地域の拠点から家庭まで荷物・商品を運ぶルートや手段である「ラストワンマイルが狙い」と強調した。 「都内の住宅密集地での宅配や商品の配達を軸に高齢者や共働き家庭のニーズに対応したサービスを展開したい」(玉塚氏)ローソンと、「宅配便の取扱量が年々増加する中、現状の体制に加え地域に密着した配送体制も必要」(町田氏)とするSGHDの思惑が一致。 14年11月から共同で実験を重ねる中、「コンビニと提携することで個人向け宅配を補完できる」(町田氏)、「SGHDにスピード感があり、理念も共有できた」(玉塚氏)とお互いを評価し、タッグを組むに至った。 玉塚氏は「『お客さんに近づく』がコンセプト。店舗で構えているだけでなく、商品とサービスを個人宅までデリバリーすることで、町のニーズに応えたい」と気勢を上げる。 一方、町田氏も「(地域に密着した)配送を重ねるうちに『このお客さんはこの時間帯に伺うと良い』といったことが分かってきて、再配達率は改善するのではないか」と業務効率の改善に期待を掛ける。 なお、代金引き換えやクレジットカード決済など金融系商品は新サービスの対象としない。 少子高齢化の進展や共働き・一人暮らし世帯の増加といった家庭の在り方の変容、過疎化をはじめとした地域コミュニティーの変化、IT(情報技術)の発達――。コンビニエンスストアと宅配便は、これら社会変化を背景に存在感を増してきた業態と言える。今回、SGホールディングスとローソンが、社会課題の解決を標ぼうした新サービスで提携したのは、極めて自然な流れだ。 しかも、両社はそれぞれ宅配便、コンビニ業界で、2番手(現時点)に位置。両社が持つ経営資源とノウハウを活用し、半径500メートルの小商圏でのニーズに応えられるインフラ構築には格好の相手と言えよう。 両業界で首位に立つ、ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)とセブン&アイホールディングス(セブンイレブン)も、宅急便をコンビニ店舗で受け取れるサービスなどで連携している。ただ、セブン&アイが打ち出した、インターネットや実店舗などあらゆる流通チャネルを融合する「オムニチャネル戦略」は、独自の物流網の構築を進めるもので、物流業界は強力なライバルと捉えている。ヤマトも生活支援サービスを新たな事業分野に位置付けて拡大を図っており、セブン&アイと競合する部分が少なくない。 その点、佐川とローソンには目立った利害は無く、首位をひた走るトップ2社を追いかけることで思惑が一致する。 また、佐川の配送拠点は全国700カ所と、ヤマトの5分の1程度。提携により、ローソンの倉庫や駐車場などの空きスペースを配送拠点として使えるといったメリットがある。 ただ、ローソンは2008年から日本郵政(西室泰三社長、東京都千代田区)と提携。ローソン店舗でのゆうパックの受け付けや、郵便局に併設の「JPローソン」などを展開している。記者会見で、ローソンの玉塚元一社長は「日本郵政との連携は多面的であり、これからも継続・拡大していく」と述べ、今回の新サービスを日本郵政とも展開する可能性も示唆した。 「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」までの事態は無いと思われるが、一般メディアの報道はローソンサイドに集中した。SGHDにも新たな事業開拓につながるプラスアルファの戦略が求められる。(田中信也) 【写真=共同会見後、がっちり握手する(左から)ローソンの玉塚社長、SGHDの町田社長、SGローソン社長に就任する野辺一也ローソン執行役員】
