JR東日本物流、総合研修センター開所 熱い「物流魂」体現
ジェイアール東日本物流(松崎哲士郎社長、東京都墨田区)は16日、市川物流センター(千葉県市川市)に設けた「総合研修センター」の開所式を行った。15年ぶりに策定した中期経営計画「Go plan」の根幹である人材育成をより一層強化。熱い「物流魂」を体現する中核基地と位置付け、安全・安心の実現や営業力の底上げを図っていく。(沢田顕嗣) 松崎社長が「今年度から中期経営計画をスタートしている。株主や荷主の期待にしっかりと応えるため、安全と品質を確保しなければならない。人づくりのために『総合』と名付けた研修センターを設置することを決断した。荷主や協力会社の皆さんと一緒に安全と品質を追求していく」と経緯を報告。 その上で、「トラックの運転技術を磨く訓練コースを設けた。また、駅構内の作業で安全を確保する実地訓練を行うほか、社内の階層別研修や営業強化研修、社会人としてのマナー教育も実施する。初年度は80日間で延べ1400人が研修を受ける。より良い研修センターにしていきたい」と述べた。 研修センターは総合教育施設と位置付け、協力会社を含む業務従事者が技能の取得やスキルアップに励む。実務レベルだけではなく、社歴年表や過去の事故・失敗の記録を展示した点も特徴。バーストしたタイヤなどの現物をあえて陳列することにより、事故の未然防止につなげる。 屋内では運転シミュレーターによる訓練や、駅構内での安全作業に用いる階段昇降機、カーゴ台車を使用。点呼執行台などを駆使して運行管理者の模擬訓練を実施するとともに、ドライブレコーダーのヒヤリ・ハット映像も視聴できる。 一方、屋外には日常点検や視覚体験、狭あい道路、車庫入れなどの訓練コースを設定。併せて、一般道を活用した訓練も行い、運転技術の向上を促進する。 祝賀会では、橋場(東京都港区)の橋場一晃社長が「駅の指定納品代行事業者として、一括物流を手掛けている。特に安心の提供が求められており、今後も頑張っていきたい」と表明。 名糖運輸の若田部守一事業部長は「ジェイアール東日本物流と取引を開始して12年目に突入している。研修センターから優秀な人材が巣立って欲しい」と祝福した。 【写真=テープカットに臨む松崎社長(左端)ら】
日本郵便(高橋亨社長、東京都千代田区)は、郵便・物流機能再編を目的としたメガ物流局(地域区分局)の第1弾「東京北部郵便局」(埼玉県和光市)を5月4日にオープンする。日本郵便で初めて営業倉庫(物流ソリューションセンター)を併設しており、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業を展開していく。 東京外環自動車道・和光北インターチェンジ(IC)に近接し、鉄骨造り地上6階建て、延べ床面積が7万8千平方メートル。郵便、ゆうパック、ゆうメールなどの区分作業と、物流ソリューション業務に特化しており、一般向けの郵便、貯金、保険などの窓口業務は行わない。 新宿、豊島、中野、板橋、練馬の各区と、武蔵野市、三鷹市など多摩東部エリアの集配局の区分業務を集約。新東京局、東京多摩局と共に、都内の郵便・物流業務の一翼を担う。 区分業務では、1日当たりゆうパック11万5千個、郵便450万通を処理。ゆうパックが5月4日に業務を開始するが、ゆうメールと郵便は8月23日からスタートする。 6階の物流ソリューションセンター(延べ床面積9910平方メートル)は、初の営業倉庫として開設。商品の保管、受発注、梱包から配送までを請け負う3PL事業の拠点としていく。 15日、東京北部局で披露式典を開催し、施設を公開した。高橋社長が松本武洋和光市長、施工した大和ハウス工業の石橋民夫副社長らとテープカット。地元保育園の園児による、ゆうパックを仕分けする小包区分機の始動式を行った。 高橋氏は「郵便とゆうパックなどの区分作業に加え、(物流の)上流のソリューションビジネスも行う複合施設として、荷主の内々の業務も含め事業を開拓したい」とあいさつ。また、プロモーション映像で、同局を皮切りに全国各地で大型の地域区分局を開設し、物流ネットワーク再編による「物流革命」を目指すことを宣言した。(田中信也) 【写真=郵便、ゆうパックなどの区分作業と物流ソリューション業務に特化】
【岩手】岩手県漁業協同組合連合会(大井誠治会長)は岩手県産水産物の販路開拓の一環として、ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都千代田区)の国際クール宅急便を利用して香港市場での販売に乗り出した。14日には盛岡冷凍工場で出発式を行い、第1便の出荷を祝った。(富田久男) 東日本大震災から5年目に入り、県内漁港での水揚げ量が回復する一方、東京電力福島第1原発事故による風評被害の影響は依然として大きく、漁業者の復興対策として販路確保が喫緊の課題となっている。 こうした中、農林中央金庫が復興支援プログラムとして県漁連とヤマト運輸を仲介し、新たな販売ルートを開設して香港への輸出を実現させた。農林中金では、これまでも被災地の漁業者に対して、ワカメや昆布を国内外に出荷するため、段ボールや魚箱などの資材を供給してきた。今回は追加支援として、販促用リーフレット千枚の作成費用を負担した。 出荷するのは、県内で取れたアキサケの切り身を5種類に味付けした「鮭三昧」のそれぞれ2枚ずつ、計10枚入り。現地での販売価格は約6500円で、当初販売数量は月間20ケースを目指す。ヤマト運輸がヤフー香港で開設したインターネット通販サイトに商品を掲載し、受注に応じて香港の消費者に宅配する。同工場から出荷後、沖縄・那覇空港をハブ拠点として翌々日には消費者の手元に届けられる。 出発式で、大井会長は「津波で漁業者は壊滅的なダメージを受けたが、漁獲量も戻りつつある。復旧、復興への全国からの新しい支援に心から感謝したい。新しい販売ルートを確保することができ、安全、安心で良質な県水産品の販路拡大に努めていきたい」とあいさつ。 農林中金の山田秀顕仙台支店長は「金融だけでなく、被災地支援に力を入れてきた。今回、両者間を引き合わせることで価値の高い商品を香港の街に広めて欲しい」とエールを送った。 ヤマト運輸岩手主管支店の富田芳正支店長も「地域に一番身近で、愛される企業を目指している。当社のネットワークと高い輸送品質で需要を掘り起こし、地域産業の発展に寄与したい」と語った。 最後に、関係者らが見守る中、テープカットで第1便の出発を祝った。 【写真=テープカットで出発を祝う(左から)ヤマト運輸の富田支店長、農林中金の山田支店長、大井会長ら】
我が国は、世界でもまれに見るほど高度かつ高密度に整備されたインフラ網を背景にして、高い経済成長と安全・安心・快適な暮らしを享受してきた。しかし、その足元を支えてきたインフラが今、転換期を迎えようとしている。 我が国のインフラは、東京五輪(1964年)前後に整備されたものが大半を占めており、20年以内に、建築後50年以上経過した社会資本の割合が50%以上を占めるようになる――と試算されている。 物流業界にとって最も重要なインフラの一つである道路に注目すると、我が国には15メートル以上の道路橋が約15.5万橋存在し、うち築50年以上の橋梁(きょうりょう)は約8%となっている。しかし、この割合が、10年後には26%、20年後には53%に増加する――と見込まれている。橋梁の劣化は現在も進行中であり、損傷・劣化などにより通行規制を行っている橋梁(地方管理15メートル以上)は、2008年に680あったが、11年には1129に増加しており、インフラ老朽化による影響は大きい――と言えよう。 我が国の公共投資は、1995年度の42兆円をピークに、ほぼ一貫して減少傾向が続いている。2009年度の公共投資額は21兆円であり、この15年間で21兆円も公共投資が削減されたことになる。GDP(国内総生産)に占める割合も、この間に8.4%から4.5%へ低下した。この背景には、GDP比率で180%超にも達する我が国の債務残高の存在があり、今後、公共投資分野において大幅な支出増を期待することは難しいだろう。 他方、地域ごとにインフラ維持管理を担う地方自治体においても、インフラ分野への投資余力は減少してきている。経常収支比率(使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、人件費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費が占める割合)は、ここ数年95%弱で高止まりしている。すなわち、地方自治体が自らの裁量で使える財源には限界があり、インフラの更新が必要であることは認識していても、そのための資金手当てが困難な状況だ。 国土交通省では、同省所管の社会資本8分野(道路、港湾、空港、公共賃貸住宅、下水道、都市公園、治水、海岸)を対象に、60年度までの維持管理・更新費用を推計している。従来通りの維持管理費用の支出を継続するシナリオでは、37年度には投資可能費用を維持管理・更新費用が上回り、最終的に更新が必要なストックのうち約19%(約30兆円)が手付かずになる――と試算している。先進的な予防保全を全国で実施するシナリオでも、47年には投資可能費用を維持管理・更新費用が上回り、約3%(約6兆円)のストックが手付かずになる――と試算されている。 従って、まず手掛けるべき業務は予防保全の徹底である。実際の業務は地方自治体が担うことから、当該業務に対する資金供与の多様化やガイドライン整備などが必要となろう。また、既存施設の保全が優先される一方で、真に必要な新規建設においては、国や政令市が関与して民間資金の投資に足る事業スキームを構築するなどの施策も必要になるだろう。 海外では、米ミネソタ州における橋梁崩落事故(07年)、同メリーランド州の水道管破裂事故(08年)など、インフラに物理的な損傷が発生し、本来の機能提供が困難になる「フィジカル・クライシス」が頻発している。老朽化した社会資本を抱える我が国にとっても、対岸の火事ではない。 社会資本の維持管理には予防保全が最も有効であるが、全国の市区町村の約4分の1(23%)が、予防保全に必要な橋梁の点検を実施していない。点検を実施していない主な理由は、予算が確保できないこと(62%)と技術力の不足(65%)である。地方財政の逼迫(ひっぱく)による予算と職員の削減が、社会資本の維持管理にも影響しているのだ。 地方自治体の財政力、技術力が低下している中、橋梁の適切な維持管理を行っていくためには、民間との大胆な連携が必要となるだろう。具体的には、技術力を持った民間企業(または企業連合体)が、複数の地方自治体から、点検・修繕計画策定・工事発注に至る一連の維持管理業務を包括受託するスキームが考えられる。現在の制度上、橋梁の修繕計画など行政判断を伴う業務を民間企業が行うことは難しく、また発注側と施工側を厳密に切り分ける必要もあり、実現には様々な課題がある。しかし、海外においては、社会資本の維持管理と管理監督業務を一括して民間企業に委託する形態も存在する(英国Management Agent Contract=MAC契約など)。我が国でも、社会資本の維持管理分野の民間開放は決して不可能でない――と考えられる。 国交省はインフラ老朽化対策として、①総点検・修繕②維持管理の基準・マニュアルの改善・明確化③維持管理情報のプラットホーム構築④新技術導入、既存技術の横断的活用⑤地方公共団体への支援⑥維持管理等の担い手支援⑦体制・法令等の整備⑧長寿命化計画の推進――を進めている。この中でも③、④に関連して、非破壊検査技術の開発・導入・普及、モービルマッピングシステムによる効率化、IT(情報技術)などを活用したインフラモニタリングシステムの構築、維持管理・更新情報等のプラットホームの構築を進めている。ITなどを活用したインフラモニタリングシステムについては、東京ゲートブリッジにセンサーを貼り付け、挙動をモニタリングする実証などを始めており、その成果に注目が集まっている。 我が国のインフラ、とりわけ道路インフラについては、老朽化による影響が顕在化しつつある中、維持管理・予防保全の在り方も見直しを迫られている。この中でとりわけ重要となるテーマが、維持管理の担い手の創出、低コストでの維持管理を可能とするためのICT(情報通信技術)活用である。 歴史をひもとけば、道路が社会の公共財として、国や自治体による維持管理がなされるようになったのは近代以降である。日本には、昔から「道普請(みちぶしん)」の精神で住民が協力し合い、道路や橋などの生活基盤を維持管理してきた歴史がある。今後のインフラ老朽化対策に求められる考えは、「道普請」の精神に基づく担い手の育成ではないだろうか。 この観点に立つと、物流業界による貢献可能性、物流業界にとっての新たな事業機会が見えてくる。例えば、国や自治体と協力し、既存の車両にセンサーを導入してマッピングビークルとして活用する、道路の破損や老朽化に関する情報を収集して業界横断的に共有する――という取り組みが考えられよう。 物流業界は、これまでは道路など社会インフラの一大ユーザーとして、高度に整備されたインフラ網の恩恵を享受してきた。今後のインフラ老朽化による影響は、ひとごとでは済まされない。改めて、物流業界にとっての「道普請」の在り方を考えてはどうだろうか。 だんの・こういちろう 京都大学大学院工学研究科修士課程修了。日本総合研究所で、環境・エネルギー、通信・ICT、交通、資源・水ビジネスなどの社会インフラを領域とした事業戦略・マーケティング戦略に関するコンサルティングを行っている。
自民党の雇用問題調査会(森英介会長)は16日、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(50%)の中小企業への適用を盛り込んだ労働基準法改正案が閣議決定されたことを受け、割増賃金率が適用される2019年4月までにトラック運送業界の長時間労働が改善されるよう経団連(榊原定征会長)、日本商工会議所(三村明夫会頭)、全国中小企業団体中央会(鶴田欣也会長)の経済3団体に対して協力を要請した。 協力要請は、自民のトラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)の申し入れに基づいたもの。申し入れの文書の中で、議連は「トラック運送事業では、荷主の都合で手待ち時間が発生しており、自助努力のみで改善することは困難。長時間労働が改善されないまま中小企業に割増賃金率が適用されれば、大きな負担増となる」と指摘。行政や業界、荷主が連携を図り、対応に万全を期すよう配慮を求めた。 具体的に要請したのは、4月中をメドに国土交通、厚生労働、経済産業の各省が発足させる「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」への措置。割増賃金率適用までに十分な取り組み期間を確保するため、協議会の速やかな設置を求めた。都道府県単位で立ち上げる地方協議会については、一般論を取り上げるのではなく、具体的な実態を捉えて改善策を検討。経済団体の代表に加え、地元の主要な荷主を参加させるよう促した。 経済3団体には、森会長と川崎二郎顧問が訪問。全国中央会では高橋晴樹専務と会談し、要請文を手渡した。会談後に開かれた記者会見で、森会長は「製造業のコスト削減のしわ寄せが運送業に及んでいる。業界ではドライバー不足が憂慮されており、処遇改善は喫緊の課題。この状況を荷主にも理解して欲しい」と話した。 一方、川崎氏は「デフレの影響で、値下げ交渉が当たり前のように行われてきた。しかし、これに運送会社が応じようとすれば、過積載したり、スピードを出したり、寝ないで運行したりという行為につながりかねない。双方が折り合いをつけ、ウインウインの関係を目指すべき」と強調。また、労基法の改正には、国会審議で野党の反発が予想されているが、「法案の成否に関係なく、取り組みを進めていく」と述べた。(山上隼人) 【写真=全国中央会の高橋専務に文書を手渡す森会長(中央)と川崎顧問(左)】
16日の参院内閣委員会(大島九州男委員長)で、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の貨物自動車を対象とした「準中型自動車免許」を新設する道路交通法の一部改正案が審議され、賛成多数で了承、翌17日の本会議で可決された。内閣委では、芝博一氏(三重、民主党)が「準中型免許取得者の初心運転者標識(初心者マーク)について、乗用車などを運転する際は義務付けが無い」と不備を指摘。これを受け、「同法施行後、速やかに必要な見直しを行う」ことが付帯決議として盛り込まれた。(田中信也) 改正案では、準中型取得から1年以内は初心者マークを車の前と後ろに表示する義務があり、違反した場合は再試験の対象になる――と規定している。これに関し、芝氏が「(普通自動車免許が無く)初めて準中型を取ってセダンなどに乗る場合は、初心者マークの表示義務があるのか」と質問。警察庁の鈴木基久交通局長は「普通車では義務が無い」と回答し、委員から驚きの声が上がった。 「大きな車両を想定した試験や教習を行うので、(運転の初心者でも)高度な技能や知識を有しているはず」との鈴木氏の答弁に対し、芝氏は「初めて公道を走るドライバーは運転技術が未熟なので、(普通車でも)表示すべき」と反論した。 更に、普通免許の初心運転者に対しては、幅寄せや割り込みといった行為をしてはならない保護義務が周囲の車両に発生するが、準中型では義務が無いことも問題視。山谷えり子国家公安委員長が「車格が大きいので、(保護義務の)対象にならない」と答えたものの、「車両ではなく、人を対象に考えるべき。準中型でも初心者は初心者」と指摘した。 ただ、芝氏は法案には賛成する意向を示し、「施行後に速やかに見直す」よう要請。山谷氏も「(芝氏の)指摘はもっともで、施行後に事故状況などを分析の上、問題があれば適切に対応したい」と応じた。 また、若松謙維氏(比例、公明党)は「トラック業界の労働力不足が準中型免許創設の一因である」とした上で、「入社前から準中型を取得しているケースはほぼ無いと思われる。取得費用を事業者が負担する可能性がある。中小事業者に配慮し、負担軽減策を検討して欲しい」と要望。 これに対し、国土交通省の宮城直樹大臣官房審議官(自動車局)が「全日本トラック協会が1社一人当たり上限10万円の助成をしているが、(準中型に関しても)全ト協と連携して考えたい」との見解を示した。 上月良祐氏(茨城、自民党)の「(普通免許の取得を経ずに)いきなり取れるのは、少なからず心配」との懸念に対しては、鈴木氏が「当該車両を使用した走行実験の結果、20歳未満が能力で劣っていないことは分かっており、講習や再試験など制度設計も十分に行っていく」と説明した。 参院本会議での可決を受け、改正案は衆院に送られる。衆院では重要法案が目白押しのため、審議入りのメドは立っていない。ただ、参院を早期に通過したことで、今国会で成立の可能性は高くなった。 【写真=「準中型でも初心者は初心者」と芝参院議員】
国土交通政策研究所(大藤朗所長)の調査研究によると、トラックドライバーを含む「輸送・機械運転従事者」は2023年に13年比22%減の174万人へ減少する見通しだ。高齢化が進展し、50歳以上の割合は13ポイント増の63%に拡大。自動車運転に関わる産業で労働力不足の深刻化が懸念されることから、給与や労働時間といった労働条件の改善、高齢者が働き続けられる環境整備、雇用の幅の拡大などの対策を促した。(山上隼人) 10日、春季の「国土交通政策研究所報」を発表。この中で、小田浩幸研究官が調査研究した「自動車運転者の労働力不足の背景と見通し」を紹介した。労働力不足の原因について①他の職業に比べて人気が低い②高齢化の進展と労働市場の縮小③若者の離職や都会への流出――の仮説を立てて検証。それぞれの対策を示すとともに、将来の就業者人口を予測した。 調査研究によると、トラックやバス、タクシーのドライバーは以前から他の職業に比べて不足感が強いが、ここ数年で更に進行。有効求人倍率は13年に1.69となり、リーマン・ショック前の最高値だった1.56を上回った。全職種の合計が0.87のため、2倍近い水準に達している。 他の職業に比べて人気が低い――とした仮説の分析では、大・中型トラックドライバーと全産業の所得、労働時間を比較した。13年の実績をみると、大型トラックの場合、全産業に比べて所得が11%低く、労働時間は24%長いことから「人気が低いとしても不自然ではない」と指摘した。 高齢化の進展と労働市場の縮小を原因とした仮説については、総務省の労働力調査を基に分析。 全産業の年齢構成は、30歳未満が17%、50歳以上は37%となっているのに対し、ドライバー職は30歳未満が7%、50歳以上は51%だった。ドライバー不足の原因を高齢化とすることの立証まではできないが、「可能性としてはありそうだ」とした。 一方、若者離れを原因とすることについては、高校新卒者に関するデータに基づいて仮説を反証。13年の3年以内の離職率は、全産業平均は39.6%だったが、運輸・郵便業の方が33.5%と低かった。求人のうち実際に採用できた割合を示す「求人充足率」をみると、運輸・郵便業は新卒者の獲得に健闘。更に、県外(都会)での就職率が伸びていないことから「労働力不足の原因が若者にあるとは言えない」と結論付けた。 こうした仮説を検証した後に、対応策を明示。労働条件の改善や職場環境の整備、女性や大卒に注目した雇用の幅の拡大などを促した。また、ドライバーの就業人口は、18年に13年比12%減の198万人、23年には22%減の174万人に落ち込む――と予測。少人数で同じ仕事ができるよう「仕事の機械化・効率化を進める必要がある」とした。
トヨタ部品東北共販(中島啓二社長、岩手県矢巾町)は、青森県八戸市に新たな物流センターを建設する。7日に行われた安全祈願祭で、中島社長が「北東北における重要な拠点となるとともに、部品物流の技術革新の実験場としても位置付けている」とあいさつし、更なる物流効率化へ意欲を見せた。(今松大) 名称は八戸物流デポ(仮称)で、八戸自動車道・八戸北インターチェンジ(IC、八戸市)から0.1キロの場所に立地する八戸北インター工業団地内に整備。2015年10月完成、16年1月の稼働を目指す。鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積は1600平方メートル。 同市桔梗野で稼働中の八戸営業所は、建設から30年以上が経過。建物の老朽化が目立つ上、手狭になっており、物流機能の充実、総固定費削減のため、新しい施設に建て替える。 同社がカバーしている北東北エリアは、人口減少の問題を抱えている。こうした現状を踏まえ、今後は部品供給ネットワークの再構築に取り組み、地域に最適な仕組みをつくっていく。将来を見据え、11カ所ある営業所の在り方も見直す。 青森、八戸、秋田、盛岡の4地域に分割し、それぞれに核となるデポを設置して配送と在庫の集約を推進。これまでは、各営業所で3千~5千アイテムの在庫を保管していたが、千アイテム程度に減らす。4カ所に物流機能を移管し、残りの拠点では、営業活動を強化していく。 【写真=16年1月稼働予定の八戸物流デポ(仮称)】
【徳島】大輪総合運輸(森本英樹社長、徳島県鳴門市)は、本社営業所で道路交通安全マネジメントシステムの国際規格ISO39001の認証を取得した。これまでも安全・安心を最優先とする営業方針を貫いてきたが、取得を機に高い品質を荷主へアピールするとともに、同業他社にノウハウを提供し、取得を支援していく方針だ。39001の認証取得は、徳島県のトラック事業者では初めて。(江藤和博) 2014年3月にキックオフし、自動車事故対策機構(鈴木秀夫理事長)のコンサルティングを受けて、今年3月27日付で日本品質保証機構(小林憲明理事長)から登録証の交付を受けた。 同社は32台を保有し、清涼飲料水や農産物などの輸送を手掛け、安全性優良事業所認定(Gマーク)やグリーン経営認証は既に取得している。全車両にデジタルタコグラフやドライブレコーダーを装着しているほか、遠隔地で飲酒をチェックできる携帯電話対応のアルコール検知器も導入。ハード面では最大限の安全投資をする方針を取っており、居眠り運転警報装置や車両の下回りに取り付ける巻き込み防止装置の導入も前向きに検討している。 ソフト面では、全従業員の携帯電話に他社の事故事例や天候の情報などを配信しているほか、月1回の安全会議を開催。また、総務や経理の女性社員もドライバーに声掛けを行うなど、職場ぐるみの安全活動を実践している。 森本社長は「認証取得が目的ではなく、これまでの無事故・無違反を永続的に続けていくための手段。企業文化として安全に対する全従業員の意識は高く、取得に向けた取り組みへスムーズに入っていけた」と話す。 今後は、協力会社に認証取得を推奨するほか、認証マークを車両などに貼り、荷主や一般社会にアピールしていく。また、協力会社以外の同業者からも要望があれば、取得を支援してトラック業界のイメージアップに貢献していく構えだ。 「安全・安心は〝守りの営業〞とも言える。〝攻めの営業〞で得た利益を守りの営業に還元し、循環させながら安全・安心のレベルを高め、品質を追求していきたい」 また、徳島県トラック協会(粟飯原一平会長)の副会長を務める森本英昭会長も「先頭の旗振り役として一生懸命、安全に取り組みたい」と話しており、トラック業界における39001の普及に協力する姿勢を示している。 【写真=登録証を手にする森本社長(中央)と森本会長(左)、取得までの実務を担当した杉内弘明統括管理部課長(右)】
【愛知】南星キャリックス(市川重人社長、名古屋市南区)は、愛知県豊田市に物流倉庫を新設する。11月の完成予定。事務所を併設し、手狭になっていた豊田営業所も移転する。倉庫所有は初めてで、倉庫業の登録も予定する。(奥出和彦) 建設地は市街化調整区域で、物流総合効率化法(物効法)の認定を受け、2月に造成工事を開始。東海環状自動車道の豊田勘八インターチェンジ(IC)に近く、アクセスが良い。 敷地面積7970平方メートル、延べ床面積1500平方メートルの平屋建て倉庫を建てる。同営業所メーンの自動車部品を中心に扱う予定で、倉庫レイアウトをシンプルにして、はん用性を重視しながら、他業種製品取り扱いも視野に入れる。 現在、同営業所には45台の車両を配置。駐車の際は2カ所に分散しており、営業所が市街地にあることと合わせ、業務効率が問題となっていた。新営業所では、大型車を含め60台程度の駐車スペースを確保し、トラックの大型化や増車にも対応できる。駐車場を集約することで、二酸化炭素(CO2)など、温室効果ガスの削減にもつなげる。 洗車施設や30キロリットルの給油設備を設置するとともに、照明にはLED(発光ダイオード)を採用し、環境保護に配慮。倉庫屋根には、太陽光発電パネルを取り付け、売電も推進する。 市川社長は「計画の立ち上げからこれまで2年かかり、やっと着工できた。サービス向上と、職場環境の充実化に向けて完成を目指したい」と話す。 【写真=車両大型化や増車に対応(完成予想図)】
