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取引労働改善岩手協、着荷主の参画必要 改善策道筋を探る

 【岩手】トラック輸送における取引環境・労働時間改善岩手協議会(元田良孝座長、岩手県立大学教授)は7日、第2回会合を開き、荷主とトラック事業者の双方がひざを交えて改善策の道筋を探った。  事務局の担当官が、11月2日に開催された第2回中央協議会の内容を報告。9月には「トラック輸送における長時間労働の実態調査」を、予定通り実施したことについて触れ、「現在集約中で、次回の集まりの時には結果を公表できる」と述べた。  事例紹介では、荷主を代表して十文字チキンカンパニー(十文字保雄社長、二戸市)が、改善に向けた取り組みを発表。顧客からの要望を踏まえた上で①トラックの台数削減②届け先の集約化③発注時間の締め切りの繰り上げ――などの実践を挙げた。  トラック事業者の労働時間の現状については、事務局から説明。盛岡市周辺発で、県内や北東北へ配送する場合と、関東圏に向かう一般的な運行モデルを示した。当日になってから積み込み時間が遅延するケースが頻繁に発生し、ドライバーの待機時間が長くなっている点を図説した。  意見交換では、運送事業者が「現状として、荷主側はトラック運行の実態を把握できていないのではないか」と指摘。一方、荷主側は「これまでは、運送会社が引き受けてくれたので、疑問を持たずにお願いしていた。ドライバーの負担まで考えていなかったのは反省点」と話した。  2016年度に取り組む予定のパイロット事業については、ある委員から「発荷主だけで議論しても、なかなか改善できない。労働条件の改善に向けて、着荷主は無視できない関係にある。参画していただく必要があるのでは」との意見が出された。(今松大) 【写真=拘束時間短縮に向けた取り組みなどを発表】

 【新潟】三福運輸(五月女(そおとめ)奈緒美社長、新潟県新発田市)は14日、キャビンを清掃するジェットクリーナーを本社に設置した。  機種は、幅65センチ×奥行き52センチ×高さ3.6メートルで、ガソリンスタンドに設置されているタイプと同じ。使用電力は20ボルト、2600ワット。  これまで、運転席の清掃が十分に実施されず、ハンディータイプの掃除機を持ち込んでクリーンアップを推進したものの、なかなか浸透しなかった。  五月女社長は「簡単に運転席の清掃ができるので、思い切ってクリスマス前に設置した。奇麗な車両で年末年始を迎えて欲しい」と説明。その上で、「最近、荷主から車両が奇麗になったと褒められる。事故防止の原点は、車両をしっかり清掃し、大事にする気持ち」と述べている。(俵箭秀樹) 【写真=奇麗な車両で年末年始を迎える】

 京浜港(東京、横浜、川崎港)のうち、横浜、川崎両港は2016年1月12日に埠ふ頭とう会社を統合し、15年度中の港湾運営会社指定を目指すが、東京港は参加を見送ることを決めた。横浜港では、大水深・高規格ターミナル「MC―3」(横浜市中区)が完成し、国の支援による集荷が急務だが、東京港は既に容量オーバー状態。各港で状況が異なるため、横浜、川崎両港で先行して港湾運営会社を立ち上げて集貨を図り、東京港は施設整備を優先する。3港が導入している入港料一元化など、国際競争力強化の取り組みは今後も続ける。(吉田英行)  横浜、川崎の両港は来月それぞれの埠頭会社を経営統合し、新会社「横浜川崎国際港湾」を立ち上げる。設立後、港湾法で国際戦略港湾に一つ置くことが定められている「港湾運営会社」の指定を国に申請。3月上旬の指定を見込んでいる。  港湾運営会社に指定されると、国による集貨補助が受けられ、国の出資も可能となる。更に、埠頭会社は現在、港湾運営会社ができるまでの特例措置として、ヤードやガントリークレーン整備費用の8割について、国・自治体から無利子貸し付けを受けているが、これも引き続き利用できる。  横浜港では4月、国内初の水深18メートルの耐震強化岸壁を持ち、世界最大級のコンテナ貨物船が寄港できる南本牧ふ頭MC―3ターミナルの供用を開始。広域からの集貨が喫緊の課題となっている。  一方、東京港は既に施設容量がオーバーの状態で、集貨よりも施設整備を中心とする機能強化が課題だ。17年中のオープンを予定している中央防波堤外側ふ頭「Y1」「Y2」や、臨港道路南北線などの整備を優先したい考え。  3港では、一つの港湾運営会社設立に向け協議してきたが、各港で状況が異なることから、横浜、川崎両港が先行して一体運営体制に移行。東京港の埠頭会社は単独で存続することとなった。  統合会社が港湾運営会社に指定されれば、東京港の特例措置は失効する。無利子貸し付けは費用の6割までとなるが、都によると「埠頭会社の経営努力で十分吸収できる。これで赤字になることは無く、ユーザーへの転嫁も無い」(港湾局港湾経営部)。  また、3港で実施している入港料の一元化や、集貨・機能拡充に向けた総合的な連携などは今後も継続する。都は「埠頭会社統合という一つの手段は見送ったが、東京港が国際戦略港湾の枠組みの中で、競争力強化を図ることに変わりは無い」(同)としている。京浜港と共に10年8月に国際コンテナ戦略港湾に指定された阪神港では、大阪、神戸両港の埠頭会社が14年10月に経営統合し、11月に港湾運営会社の指定を受けている。 【写真=東京港は既に容量オーバーで、集貨よりも施設整備を中心に機能を強化】

 全国のトラック業界などの支援を受け、11月11日に米国に渡った大林夏奈ちゃん(1)の心臓移植手術が12月6日(日本時間)行われ無事成功した。予想より早くドナー(臓器提供者)が見つかり、ななちゃんを救う会(後藤耕司・山内英司共同代表)の活動は大きく前進した。術後、血圧が上がらず、肝臓・腎臓の機能が低下したため、人工心肺を装着。危険な状態の中で集中治療を受けている。容態は少しずつ落ち着いてきているが、予断を許さない状況にあり、救う会では「元気に帰国できるよう、引き続き応援して欲しい」と呼び掛けている。  夏奈ちゃんは、高松市場運送(高松市)の成木肇社長の姪の長女。生後1カ月半で拡張型心筋症という難病にかかり、闘病生活を続けてきた。  香川県トラック協会(楠木寿嗣会長)では、4月から募金活動を展開するとともに、8月に横断幕を張ったトラック10台による街頭パレード、9月には全県参加のチャリティーゴルフコンペを実施するなど全面的に支援。また、香ト協青年協議会(椎崎誠会長)も、松本英高前会長が全国の青年部組織に協力を呼び掛けるとともに、街頭や小学校で募金活動を行った。こうした取り組みもあり、11月4日に目標金額の2億8千万円を達成している。  肇氏の妹、真由美さんは「思っていたより早く移植手術を受けることができ、支援していただいた全国のトラック業界の皆さんに心から感謝している。募金がなかなか集まらず、大変な時期もあったが、皆さんのお陰で頑張ることができた。元気に帰国し、同じ屋根の下で家族が暮らせるよう、今後も応援していただきたい」と語っている。  また、肇氏の弟、成木孝次専務は「トラック業界が、特定の個人を支援したのは初めてだと思う。3億円近い金 を集めることができ、横のネットワークの広さ、強さをつくづく感じた7カ月間だった」、救う会の江波戸功一事務局長は「組織的、継続的に支援いただき、募金のコアな部分を担っていただいた。途中で伸び悩んだ時も心配してもらい、感謝の気持ちでいっぱいだ」と話している。(江藤和博) 【写真=危険な状態の中、集中治療を受ける夏奈ちゃん】

 【神奈川】神奈川県トラック協会の青年部会(茅野宏行部会長)は13日、大和自動車学校(大和市)主催の交通安全啓発イベント「交通事故撲滅大作戦」に協力し、トラック死角体験やトラック乗車体験などを行った。  同イベントには、相模地区の部会員らが参加。あいにくの雨天にもかかわらず、多くの家族連れが訪れ、地元警察の交安指導やスタントマンによる事故再現などを見学した。  同部会ではトラック2台を持ち込み、運転席からの死角体験を実施したほか、車の模擬運転を楽しめる「セーフティーナビ」のコーナーを大型車の荷台に設け、子供たちの人気を集めた。  また、4トン車で校内の教習コースを走るトラック乗車体験も行い、子供たちが高い助手席からの眺めやトラックの乗り心地に歓声を上げた。  来場者にはお菓子の詰め合わせをプレゼント。「トラックは生活と経済のライフライン」と記したのぼり旗も立てて、緑ナンバートラックの役割をPRした。(吉田英行) 【写真=雨天にもかかわらず多くの家族連れが訪れる】

 【滋賀】滋賀県トラック青年協議会(吉川康徳会長)は12日、交通遺児支援団体「おりづる会」(山脇康典会長)のクリスマスのつどいに参加し、交通遺児にプレゼントを贈った。  毎年続けている恒例行事で、サンタクロースやトナカイに扮した「トラックサンタ隊」が登場。子供たちにプレゼントを手渡した。滋賀県トラック協会(田中亨会長)と滋ト青協では、募金活動などで集まった浄財を毎年、おりづる会に運営資金として寄付。開会に先立ち、同会の山脇会長から滋ト協の田中会長と滋ト青協の苅谷雅和副会長に感謝状が贈られた。(小菓史和) 【写真=トラックサンタ隊」が登場、子供たちにプレゼントを手渡す】

 神鋼物流(岩佐道秀社長神戸市中央区)は18日、クレーン作業時につり荷の方向を制御する「スカイジャスター」を日本で初めて港湾荷役用に導入、使用を開始した、と発表した。つり荷の方向を容易に制御できるため、荷役作業の中でも危険度の高い、つり荷を直接手で触る作業、つり具の下でチェーンを支える作業は不要になり、安全性が向上する。神戸製鋼所加古川製鉄所(兵庫県加古川市)での厚板鋼材製品の港湾荷役作業で使う。港湾荷役では、風やクレーン旋回時に発生する外力で、つり荷が回転するケースがあった。スカイジャスターのつり荷の姿勢維持、能動的回転、回転停止の各機能を港湾荷役の安全性向上に応用できないか着目し、導入を検討してきた。  スカイジャスターは、大林組が東京スカイツリー(東京都墨田区)建設で使用した、つり荷の方向制御装置。港湾荷役で使用するに当たり、大林組と共に24時間操業の港湾荷役に耐え得る構造、様々な船型に対応できる機構の設置といった改良を加えた。  神鋼物流では「今後も安全は絶対であるとの考えの下、作業者の安全確保に取り組んでいく」としている。(小菓史和) 【写真=クレーン作業時につり荷の方向を制御】

 【香川】朝日通商(後藤耕司社長、高松市)は、人事制度を進化させて従業員一人ひとりの業績を「見える化」することで、モチベーションアップにつなげている。また、既存顧客を大切にしながら周辺業務で新たな需要を掘り起こすとともに、中小の荷主企業向けのサードパーティー・ロジスティクス(3PL)を強化していく。(江藤和博)  10月の経営方針説明会では、従業員の業績表彰を実施。その際、賞状の文面について、一人ひとりの実績を具体的に記載したものに変更。後藤社長が30人の表彰者全員の内容を読み上げ、一人ずつ手渡した。以前よりも表彰式に時間はかかるが、モチベーションアップに期待している。  更に、1日ごとの達成状況を把握し、周囲が評価する取り組みも進めており、全体の底上げにつなげていく。  営業面では、既存顧客の潜在需要を深堀りする一環として、本社物流センターを工場に改装し、加工業務にもサービスの間口を広げた。また、既存荷主で培ってきたノウハウを活用し、8月から中小の荷主に対象を絞った3PLを展開しており、そのための独自の倉庫管理システム「AWMS(アサヒウエアハウスマネジメントシステム)」を開発中だ。  一方、経営効率化に向け、グループ企業の再編を進めている。三昌通運(後藤社長、高松市)を12月1日付で合併。また、トラック輸送などの実動部隊を大川陸運(同)に移管しており、現在保有する70台の車両を2016年7月末までに100両に増車する。朝日通商は、一部のトラック輸送を残しながらグループ全体の頭脳の役割を担い、提案営業を強化していく。  トラック業界の人手不足が深刻化する中、採用力の強化も大きなテーマだ。後藤氏は「広告の出し方を工夫するとともに、ホームページや交流サイト(SNS)もうまく活用し、未経験者を採用していきたい。当社を好きな人を集める仕組みを作り、中・大型免許の取得費用を負担するなど新人からベテランに育成する教育制度を充実させていく」と話している。  15年9月期のグループ売上高は50億円となり、増収増益を達成。売上高経常利益率は5%を確保した。16年9月期は55億円を目標に、経常利益率も維持していく。 【写真=業績表彰の受賞者と記念撮影に納まる後藤社長(中央)=10月25日】

 【愛知】愛知県トラック協会知多支部の常滑警察署管内トラック交通安全協力会(田中謙二会長)は9日、常滑市や常滑警察署などが主催する交通安全キャンペーンに協力した。  常滑市役所をスタート地点に、新規開店して間もないショッピングモールまで1キロをパレード。交通安全のちょうちんやのぼり旗を手に、ドライバーや歩行者に飲酒運転根絶をアピールした。  店舗に到着後、参加者は玄関前に整列し、買い物客に事故防止の啓発グッズを配布。地元アイドルグループのメンバーも加わり、運動を盛り上げた。  片岡憲彦市長が、11月に職員が飲酒運転して事故を起こしたことを謝罪。「二度とこのようなことが起  田中会長は「今年も残り少ない日数となったが、事故を起こすことなく、良い正月を迎えられるようにしよう」と呼び掛けた。(奥出和彦) 【写真=ショッピングセンター前で事故防止を啓発】

 福岡市の3市場が移転・統合する福岡市新青果市場が2016年2月12日、アイランドシティ(東区、人工島)に開場する。国際物流拠点の博多港に、九州最大の中央卸売市場が誕生。物流業界からの期待が高まっている。

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