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再配達距離、宅配の25% 年間9万人分ロス 国交省試算

 国土交通省は25日、宅配便の再配達による社会的損失の試算結果を公表し、宅配便配達の走行距離のうち25%が再配達に費やされていることを明らかにした。また、9万人の労働力に相当する年間1.8億時間が不在配達に割かれていることも判明。今後、こうした社会的損失を消費者に周知するなど、再配達削減に向けた取り組みに生かす。(土屋太朗) 【写真=来月予定する次回会合の結果を踏まえ、報告書を取りまとめ】

 山形県は24日、酒田港の国際定期コンテナ航路開設20周年記念式典を開き、船会社や港湾利用企業などに感謝状と記念品を贈呈した。  同港は1995年5月、釜山港への初の国際コンテナ航路が就航。2015年5月から、新たに中国と結ぶルートを確保した。現在は韓国航路4、中国と韓国を結ぶ航路2と、週6便化を実現し、順調に拡大している。   港湾施設の強化も堅実だ。2000年7月には国際ターミナルが完成し、10年8月に重点港湾に選定。13年、2基目のコンテナクレーンが供用を始め、14年に2台目のリーチスタッカーを導入した。15年度中には3台目も配備する計画。  14年のコンテナ取扱量は、1万3799TEU(20フィートコンテナ換算)と過去最高を達成。15年は花王の新工場の紙加工製品がけん引して、7月現在で既に1万1954TEUとなっており、記録更新が確実視されている。  こうした状況を踏まえ、吉村美栄子知事が「本県経済発展のためには、酒田港の振興が必要不可欠。今後も好循環を維持するため、関係機関との連携を強化していきたい」とあいさつ。東北地方整備局の津田修一副局長は「今後も様々な取り組みが行われ、港の利用がこれまで以上に活性化することを期待している」と述べた。  また、ポートセミナーも開催。高麗海運ジャパンの李尚禹社長が、同社の歴史と酒田港の関わりをテーマに講演した。パネルディスカッションでは、山形県地方港湾審議会の徳永幸之会長(宮城大学教授)がコーディネーターを務め、荷主企業を交えて新たなステージについて語り合った。(今松大) 【写真=「本県経済発展のためには、酒田港の振興が必要不可欠」と吉村知事】

 ZMP(谷口恒社長、東京都文京区)は26日、物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」の受注を開始した、と発表した。  キャリロは2014年7月に発表した、ロボット技術を応用した荷物運搬用台車。負荷軽減のための移動アシストのほか、作業員が先導する台車へ自動で追随する「かるがも機能」、指定エリア内での自律移動機能を搭載している。  人手不足が顕著な物流業界での利用を見込んでおり、女性など力の無い人材活用を支援する。今回製品化するのは先に発表したモデルから、自律移動機能を省いたもので、パワーアシストとかるがも機能のほか、オプションで(あらゆるモノがネットにつながる)IoTパッケージを用意各種センサーを搭載し運搬状況などをクラウド管理する機能を提供する。  出荷は16年初旬から、3年リースで提供の予定。(佐々木健) 【写真=オプションでIoTパッケージを用意】

 【神奈川】神奈川県トラック協会(筒井康之会長)は8、9の両日、東名高速道路・海老名サービスエリア(SA)でノベルティーグッズを配布し、緑ナンバートラックをPRするとともに交通安全を呼び掛けた。  海老名SAは上下線合わせて大型車179台、普通車986台分の駐車スペースを持つ大規模施設で、レストランやフードコートなどが並び、1日平均5万2千人が利用する。  グッズ配布は8日に上り線、9日には下り線でそれぞれ行われた。行楽客や帰省客でにぎわう中、職員がうちわ1万枚、塗り絵400枚、食品用ラップ500本を配り、トラック業界の安全・環境対策と緑ナンバートラックの役割をアピールした。  パネルコーナーでは、東日本大震災の被災地への支援物資輸送で活躍するトラックの写真を展示したほか、安全性優良事業所認定(Gマーク)の制度を紹介。高速道路本線上で停止車両への追突事故が多発していることから、緊急時の対応方法についても説明した。  また、神ト協のマスコットキャラクター「トラッくん」「みどりちゃん」も登場。家族連れと記念写真に納まるなどして人気を集めた。(吉田英行) 【写真=家族連れに人気の「トラッくん」】

 山九は24日、世界最大の重機オペレーション会社、オランダのマンモート社と、シンガポールで重機運用の合弁会社を設立した、と発表した。7月21日にオランダで開かれた調印式に中村公大専務が出席し、合意した  山九の50年に及ぶアジア地域における重量物輸送や据え付け工事などの実績とノウハウ、マンモート社の能力を融合。プラント建設で各社の実績と能力を相互補完し、これまで以上に安全、品質、効率的で革新的なソリューションを提供していく。  石油、石油化学、天然ガス、鉄鋼の大型プラント建設では、設備機器の大型化が進み、大型重機やそのオペレーション技術に対するニーズが高まっている。新会社では大型重機を保有し、アジアを中心に運用する。(北原秀紀) 【写真=調印式に出席する中村専務(右)】

 【京都】ぎおん菊水運送(国友貴之社長、京都市伏見区)では、古き雄姿を現在によみがえらせるプロジェクトに取り組んでいる。第1弾として2012年に、1960年代後半に婚礼引っ越しで活躍したトラックを復刻。第2弾では、71年から百貨店の外商スタッフを送迎する商用車を再現した。  日産自動車が67年から71年まで生産していた三代目グロリアのライトバンタイプ。貴之社長は「父親が婚礼引っ越し会社として独立。百貨店のギフト配送も開始し、外商スタッフの送迎をチャーターで手掛けていた。営業スタッフが商品も一緒に持って回っており、他社と違いを出すため、クーラーを取り付けたところ人気を博した」と振り返る。  父の政治会長は職人タイプで、営業は苦手にしていた。ただ、車好きだったこともあり、クーラー導入を思い付いた。現在と違いダッシュボードの下につり下げるタイプ。後付けで、今の金額に換算すると40万~50万円は掛かったという。  当時、クーラーの付いた車はタクシーぐらいで、「暑い日にはよく取り合いになり、同業他社からも見学に訪れるほど有名になった。運賃アップにはつながらなかったものの、車両の回転率は良くなった」(貴之氏)と、71年に2台、翌年には7台まで増車した。  貴之氏は「20年以上前から探していた。クーラー付きはあきらめていたものの、当時の姿のまま購入できた。クーラー付き商用車は先行投資の意味合いが強かった。取り巻く環境は厳しいが、決して後ろ向きにならず、前を向いた経営で取引先や従業員を喜ばせていきたい。婚礼引っ越しトラックも含め、『温故知新』の精神で、これからも経営していく」と強調する。(落合涼二) 【写真=クーラーは後付けで、今の金額に換算すると40万~50万円掛かった】

 【愛知】名備運輸(丸川靖彦社長、愛知県小牧市)は11日、小中学校の校長や教頭らで組織する響の会(角田明会長)を招き、丸川社長が「素晴らしき経営の実現を目指して」をテーマに講演した。  響の会は、会社経営から学ぶ――を活動の柱の一つに掲げ、企業訪問して経営者の講演を聴く研修会を開催。名備運輸のホームページで企業理念に感銘を受けた響の会広島支部の竹川智子支部長が企画。職場体験学習を通じて交流のある小牧中学校長の紹介で、丸川氏が講演を快諾した。  広島、高知、愛知など各県から訪れた校長ら17人を前に、会社概要や事業継承の経緯などを説明。丸川氏は「社長に就任した当初は利益追求型経営で、数字のことばかりを考えていた」と明かした。  その上で、「2007年に中型免許制度がスタートし、新たに普通免許を取得した人がトラックに乗れなくなった。ただでさえ、車に興味を持つ若者が減っている。このままでは運送会社で働く若い人がいなくなると思い、まずは、自分の会社から変えようと考えた」と振り返った。  トラックのデザインを一新し、洗車機で奇麗に保つようになって事故が激減したことや、職場が楽しくなる環境づくり、障がい者雇用といった社会貢献活動も紹介。  続けて、「現在は、人を大切にする経営方針に転換し、企業理念では『人に優しい物流』を掲げている。社員が自分の子供から『お父さん格好いい』と思われなくてはいけない」と強調」リーダーがやるべきこととして、①人間力向上②ビジョンを語る③場づくり――を挙げた。  角田会長は「丸川氏の話に酔いしれた。教育界は他の業界に対し、閉鎖的な傾向がある。異業種の良い部分を受け入れる教員でありたい」と述べた。竹川氏も「人を大切にする経営方針に感動した。学校経営にも当てはまるもので、我々の教育現場で生かしたい」と話した。(星野誠) 【写真=校長や教頭らを前に講演を行う丸川社長】

 ブリヂストン物流(坂梨明社長、東京都中央区)は23日、岩槻事業所(さいたま市岩槻区)の開所式を行った。リードタイム短縮や業務効率化によるコストダウンを主眼に5月7日から稼働させたのに続き、リトレッドタイヤと新品タイヤの共同配送を6月から開始。関東エリアの中核拠点と位置付け、時代の要請に応じた物流サービスを提供していく。  事業所の新設は、物流拠点の立地を需要地により近付けるのが目的。これに伴い、群馬県館林市の倉庫機能を移管した。倉庫は3階建てで、延べ床面積は2万7800平方メートル。18万5千本のタイヤを収納でき、関東で神奈川県を除く1都5県をカバーする。坂梨社長が「今年7月に創立20周年を迎えた。節目の年に倉庫を開設することができ非常にうれしく思っている。需要地に物流拠点を寄せることにより、サービスの向上と作業性の改善を図る。タイヤ倉庫では初めての3層階拠点で、首都圏の1都5県に向けて出荷する」と説明。  更に、「バースを多く確保することで、ドライバーを待たせない上に、積み込み作業も効率化できる。休憩所やシャワー室も設けており、おもてなしできる事業所を目指していく。また、空調設備を初めて導入したほか、LED(発光ダイオード)照明も採用している。生産から販売までが一体の物流体制を構築していく」と述べた。(沢田顕嗣) 【写真=18万5千本のタイヤを収納】

 【愛媛】大栄海運(松山市)の田部井優介社長(41)は、8月7~9日に松山市で開催された松山まつりで、裏方としてサポート活動を行った。自身が副会長を務める松山商工会議所青年部(日野健治会長)事業の一環。  松山まつりは、市の中心部を舞台に躍動感あふれる踊りと花火、屋台など盛りだくさんの内容で真夏の夜を彩る伝統行事。同青年部が中心の実行委員会が主催し、今年で50回を数える。  メーンは、郷土芸能やサンバのリズムを取り入れた野球拳踊りと野球拳サンバ。企業や市民が「連」というグループを構成し、街中を行進しながら観衆を魅了する。  田部井氏は期間中、100団体近くの連に帯同し、給水をはじめとする世話役を担当。「3日間は仕事もそっちのけになるが、にぎわいの創出や経済活性化の起爆剤になるので、地域の若手経営者にとっても重要な行事」と話している。(矢野孝明) 【写真=裏方として支える松山まつりのステージ】

 「すべてが広々、充実の設備でお待ちしています」――。フリート大手の太陽鉱油(飯塚伸社長、東京都中央区)は20日、茨城県古河市の国道4号バイパス沿いに新4号線古河サービスステーション(SS)をオープンした。敷地面積1万1200平方メートルの「旗艦店」となる大型SSで、大型トラック10台、乗用車12台がそれぞれ同時に給油、洗車できる。同社では「周辺には流通業務団地があり、地元はもとより、広域のトラック事業者にも利用していただきたい」(販売統括部)と話している。(高木明) 【写真=地域最大級の規模を誇る新4号線古河SS】

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