JUIDA、ドローン物流の指針制定 日本初 民間企業参入を促進 事故被害低減など規定
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2018/01/01 0:00
日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長)は3月をメドに、日本初のドローン(小型無人機)物流のガイドラインを制定する。ドローンによる荷物配送に関し、民間企業に自主的な規制を促すとともに、ドローン物流への事業者参入を促進するのが狙い。12月22日に公表した素案では、指針として事故時の被害低減、飛行経路機体の要件運用、輸送業務などを実施する際に取り組むべき事項を規定している。(田中信也) ドローンによる荷物配送は、2015年に安倍晋三首相が積極的に取り組むよう発言したことを潮目に、政府により国家戦略の一つに位置付けられた。また、物流業界に目を向けると、eコマース(電子商取引)の市場規模が拡大。人手不足が深刻化する中、物流の自動化・省力化が急務とされている。 一方、フランス、イギリス、ドイツなど海外では、ドローン配送の事業化や、事業開始に向けた本格試験が行われている。ただ、有人航空機との衝突事故が発生するなど、従来では考えられなかったリスクが散見され、安全確保の枠組みが求められてきた。 こうした中、JUIDAは、国や地方自治体、事業者、国民といった様々な主体が参画・連携したドローン物流の仕組みづくりをサポートするため、民間ベースによるガイドラインの作成を推進。作成の前提条件として、早期に実現する可能性の高い山間部、離島など過疎地での運用とともに、2地点間の単機飛行、目視外での自動航行、マルチコプターの運用を想定している。 ガイドライン案では①リスクアセスメント(被害低減策)②飛行経路③機体④異常監視⑤機体情報の遠隔監視方法⑥ハッキング対策⑦操縦者⑧保険⑨事故発生時⑩輸送業務――などの事項について要件を提示。 飛行経路では、「水平方向幅100メートル、上下方向60メートル」の一方向の飛行に限定することや、最優先権のある有人機に先立っての異常時の回避。機体に関しては最大荷重の1.5倍以上の強度の確保、前方空域内の航空機やドローンといった飛行体を検出する機能の装備、「物流マーク」の表示などを挙げている。 物流事業者などによる運用に関しては、事前に運用マニュアルの策定を求めるとともに、所定の資格・認定の届け出を無線免許の登録と併せて行うことや、操縦者と安全運航管理者の配置、事業所内での訓練の実施と飛行申請時にその内容に関する資料を航空局に提出することなどを定める――としている。 輸送業務については、荷物に付ける荷札には依頼主、受け取り主の双方が確認でき、かつ他者から読み取られることのない方法で情報を記すとともに、離着陸場所を記載することなどを求めている。 【写真=素案では輸送業務などを実施する際に取り組むべき事項を規定(イメージ写真)】