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2020/06/05

ホワイト物流 賛同の輪(7)/JCRファーマ、保冷ボックス自社開発 入庫時間を事前に確認

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物流ニッポン

 JCRファーマでは、物流システムを自社で構築することで、医薬品の「途切れぬ物流」の実現に取り組んでいる。医薬品の温度を保つための保冷ボックスを独自に開発。また、入出荷の情報を早めに運送事業者に知らせることで、ドライバーの負担軽減や荷待ち時間の削減につなげている。ホワイト物流の自主行動宣言も提出しており、日々、物流の改善に努めている。(黒須晃)
【写真=内部には保冷剤、蓄熱材が同梱されており、外気温の影響を受けないよう設計】

 同社では、患者数が少なく治療も難しい「希少疾病」への医薬品の研究、製造を行っている。医薬品の輸送では、物流を他社に委託する3PL(サードパーティー・ロジスティクス)の形をとるメーカーが多い。同社では、扱う製品の性質上、厳密な温度管理が必要とされるため、3PLは不向きと判断。物流システムを自社で構築し、患者の手に届くまで安全に輸送する仕組みを整備してきた。
 トラック運送事業者に協力してもらい、室谷工場(神戸市西区)近くの倉庫などから、各地の卸売事業者、医療機関へ輸送しているが、わずかな温度変化でも製品が傷む可能性があり、輸送を担うトラック事業者にとってはリスクも大きくなる。
 このため、セ氏5度前後に温度を保つ保冷ボックスを自社で開発。内部には保冷剤、蓄熱材が同梱されており、外気温の影響を受けないよう設計されている。サイズは3辺120サイズで、荷物を入れても最大重量は10㌔グラム以内に収まり、人の手で持ち運べる。10年ほど前から使用しており、改良を重ねて現在の形に落ち着いたという。
 営業本部物流管理部の藤井稔部長は「製造した後も、安全に患者まで届けなければならない。そのためには、3PLに頼らず、自社で物流の仕組みをつくる必要があった。ドライバーをはじめとして、運送事業者にはたくさんの面倒を掛ける。リスクを軽くするとともに、医薬品の品質を確実に維持するため保冷ボックスを開発した」と話す。
 また、入出荷の情報を早くて3カ月前、遅くとも1週間前には運送事業者に周知。トラックが入庫できる時間を事前に確認し、荷待ち時間を極力削減している。室谷工場では複数の運送事業者に輸送を依頼しているが、いずれも荷待ちは15分前後に抑えられているという。
 藤井氏は「『医薬品を必ず届ける』という使命の下、低温輸送の知識が豊富な運送事業者に運んでもらっている。運送業界の危機は、薬を出荷できない状況も招きかねない。このため、物流改善への取り組みを従来続けてきた」とホワイト物流の自主行動宣言を提出した経緯を語る。
 推奨事項として、運送契約の書面化、高速道路の利用を挙げた。運送契約を結ぶ際には、トラックのセキュリティー対策をはじめとした「輸送品質協定」を締結し、輸送には万全を期する。「医薬品輸送には多くの制約が伴い、運送事業者の負担も大きい。運賃の値上げなど、要望にはできる限り応えて信頼関係を築いている」(藤井氏)
 BCP(事業継続計画)対策として、協力している運送事業者とともに、災害時の配送ルート確保などにも取り組んでいる。今後の課題として、地震へのBCPを挙げる。
 「台風のように事前の予測ができる場合、在庫を把握すれば早めに運んでもらうなど対応できる。地震は予測できないため、対策が難しい。東日本大震災の時は、しっかりした輸送ができるまで約2週間かかった。着荷主や運送事業者と協力しつつ、どれだけこれを短縮できるか、検討を続けていきたい」


 1975年設立の医薬品、再生医療等製品及びその原料の製造などを行う医薬品メーカー。独自のバイオ技術やノウハウを生かし、付加価値の高い新薬を研究、開発する。また、輸出入医療用機器や実験用機器の輸出入も手掛ける。資本金90億6186万円で、従業員数613人(2019年3月末時点)。


  トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
 運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
※本紙2019年11月26日付掲載
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)

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