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行 政
2019/03/15

内航海運の働き方改革むけ議論、若手人材確保へ体制整備 荷役での長時間労働改善 「原資」確保できるよう

t.kokudo
物流ニッポン

 国土交通省は、内航海運に携わる船員の働き方改革に向けた議論を進めている。高齢化が著しい中、優秀な若手を呼び込める体制の整備を目指す。ポイントとして、荷役による長時間労働、長期間に及ぶ連続乗船など労働慣行の見直しを挙げる。また、船員確保に掛かるコストの原資を確保するため、「運賃・用船料などの在り方を含め、取引環境の改善が必要」としている。トラック運送に比べ、働き方改革の取り組みが遅れている内航海運で、今後の具体策につなげたい考えだ。(辻本亮平)
 8日、交通政策審議会海事分科会(河野真理子分科会長、早稲田大学法学学術院教授)で報告した。同分科会下の船員部会(野川忍部会長、明治大学法科大学院教授)で12月、俎上(そじょう)に載せ、2月の同部会では具体的な検討に向け、参加委員が意見表明を行った。
 8日の海事分科会で示された2017年10月時点のデータをみると、内航船員数は1974年の7万1269人をピークに減少し、17年には2万7844人にまで落ち込んだ。年齢別の構成比でも、50歳以上が74年の10.8%から47.1%まで増加。35歳未満は49.4%から25.4%まで減っている。
 こういった状況を踏まえ、内航海運業の若手船員確保に向け、働き方改革を目指す議論に着手。論点として、荷役による長時間労働、長期間の連続乗船などの労働慣行見直しに加え、IoT(モノのインターネット)など新技術を活用し、運行効率化や船員の負担軽減を図ることを挙げる。
 また、2020年のSO(硫黄酸化物)規制も踏まえ、内航海運のコスト増加が懸念されることから、運賃・用船料などの在り方を荷主との協力により改善できる環境整備が必要、としている。
 同分科会で、水島智海事局長が「内航海運の維持に向けた議論を早急に進めないといけない。業界との意見交換を通じて政策の中身を深める必要がある」と強調。更に「トラック運転者に関しては長時間労働是正など危機感ある取り組みが進んでいるが、内航海運では遅れている」と話した。
 内航海運の働き方改革に向けた議論は今後、船員部会で継続して行う。また、省庁横断的な議論が求められる側面もあることから、今後、新たな議論の場を設けたい考えだ。
 このほか、同分科会では、海運・造船・船用工業が支え合って成長できる事業環境の維持に向けた検討の必要性も報告した。かつては重工系の上場企業が業界をリードしてきたが、その構造が崩れ、業界全体で技術力は低下。近年は海外の受発注比率が上昇している。
 そのため、造船・船用工業の活性化に向けた施策を検討。論点として、付加価値をどう付けるかや、技術者不足への対応が挙がった。委員からは、小中高大を含めた教育体制の在り方から見直す必要があるとの意見が多く出された。
【写真=交政審の海事分科会で報告】

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