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行 政
2018/11/22

時間外上限の一般則適用、運転兼務判断基準を明示 厚労省 年末までに解釈 「常時選任」との混同を懸念

t.kokudo
物流ニッポン

 厚生労働省は、大手企業を対象に時間外労働の罰則付き上限規制が2019年4月から一部施行されることを受け、適用が5年間猶予される自動車運転業務などの適用範囲や適用・運用上の解釈を年末までに公表し、運転業務と他の業務(運行管理など)との兼務の定義や判断基準などを示す方針だ。ただ、大企業では適用まで3カ月強と周知期間が短く、貨物自動車運送事業輸送安全規則上の「常時選任運転者」と混同する恐れもあり、十分な周知徹底が求められる。(田中信也)
 9月に公布した働き方改革関連法の関係政省令の解釈通達として、地方労働局に近く発出。政令では判断が難しく、現場レベルで混乱が懸念されることから、公表する。
 時間外労働の罰則付き上限規制は、19年4月から一般則の「年間720時間」を一部施行。自動車運転業務については、施行5年後の24年度から「年間960時間」の特例を適用することとしている。
 同業務は、政省令で「四輪以上の自動車の運転を主として行う業務」と規定。ただし、対象範囲については、法案を審議した通常国会で「管理や運行管理業務をした上でハンドルを握るケースも多く、自動車運転業務に『主に』従事する者の定義の解釈を明確にする」よう指摘された。
 加えて、省令を審議した労働政策審議会の労働条件分科会(荒木尚志分科会長、東京大学大学院教授)では、運輸労連の世永正伸副委員長が「『主たる』の解釈を明確化すべき」として、営業や管理業務、集配を主とする宅配業務などとの兼務に関する取り扱いを省令で明確にするよう求めている。
 こうした指摘に対し、厚労省は、省令で業務の明確化を示せなかったものの、「業務の実態をよくみて、事例ごとに適否の妥当性を説明できるような周知のツールを別途検討したい」(労働基準局労働条件政策課)と理解を示していた。
 そのため、解釈通達では、運行管理や宅配、引越作業といった業務との兼務を一般則適用の除外対象として示すほか、「月(年)にどの程度の日数、時間、運転に従事する必要があるか」など、運転業務が「主たる業務」となる判断基準も明確にする方針だ。
 「年間720時間」の一般則が適用されると、大手事業者は19年4月から、中小・小規模事業者も20年4月には罰則の対象となるため、早急な対応が求められる。いずれも過剰勤務が指摘される運行管理と運転の兼務では、規定の拘束時間の超過が常態化しているケースが少なくないとみられる。
 また、一般貨物自動車運送事業者が運転者台帳に記載する「常時選任運転者」の定義と混同する可能性もある。常時選任運転者は①日雇い②2カ月以内の期間③試用期間――を除く者が対象で、解釈通達での基準とは隔たりがあり、混乱を招きかねない。
 一般則の適用に当たっては、事業者が「運転が主たる業務ではない従業員」を巡って混乱・混同しないよう、厚労省や国土交通省、更にはトラック協会など事業者団体が周知・啓発活動を一層強化していくことが必要になるだろう。
【写真=一般則が適用されると、大手事業者は19年4月から、中小・小規模事業者でも20年4月には罰則の対象となる(イメージ写真)=一部画像処理】

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