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行 政
2018/06/11

厚労省、改善基準見直し着手 働き方改革法案 付帯決議受け 課題洗い出し「根本から」

t.kokudo
物流ニッポン

 厚生労働省は改善基準告示の見直しに着手する。働き方改革関連法案で規定する自動車運転業務への罰則付き時間外労働上限規制の導入に向けた、衆院厚生労働委員会での付帯決議を受けた措置。現行の改善基準の本格改正を視野に入れるのは初めて。告示の見直しに当たって厚労、国土交通の両省は、改正の是非を含め、緩和や厳格化といった予断を持たず、根本から課題を洗い出し、検討を進める方針。ただ、付帯決議の主眼である過労死防止を踏まえると、規制強化の可能性もある。(田中信也)
 働き方改革法案を審議した5月25日の衆院厚労委での自民、公明の両党と日本維新の会の動議を踏まえ、法案とともに了承された12項目の付帯決議の一つ。現行の時間外労働の上限規制が猶予されてきた自動車運転業務について、「長時間労働の実態があることに留意し、改正法施行5年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うなど必要な施策の検討を進めること」と要請している。
 今後、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の下に専門委員会を設け、トラック、バス、タクシーの労使も交えて、協議していくとみられる。
 法案は衆院を通過し、現在、参院で審議中だが、高度プロフェッショナル制度を巡り、与野党が激しく対立。4日の本会議での質疑では、立憲民主、国民民主の両党などが、自動車運転業務の時間外労働上限規制について、5年の猶予期間の設定や、当面の間、年間960時間の特例を適用することに疑義を呈した。
 厚労省は改善基準の改正を「政府への宿題」(労働基準局労働条件政策課)と捉えているものの、働き方改革法案の国会審議が進行中のため、「具体的な検討はこれからになる」と説明。また、見直しに当たっては、「自動車運送業界での長時間労働の実態を把握し、丁寧な検討に努めなければならない」としている。
 一方、国交省は「改善基準は厚労省の管轄だが、自動車の安全を確保する立場から同省の審議会に対し意見提案していくことになる」(自動車局安全政策課)としており、事業の安定、運行の安全確保の観点で、厚労省と連携していく構えだ。
 自動車運転者の労働時間などに関する規制は、1967年にいわゆる「2.9通達」が定められ、1979年には他産業と比べて労働時間が長いことを考慮して新たな基準「27通達」が策定された。
 現行の改善基準は1989年に制定。以降、法定労働時間が段階的に短縮されたことを受け、内容の見直しが適宜行われた。2015年9月には、フェリーの乗船時間を休息期間などとして取り扱うとする関係通達の一部を改正しているが、現行の告示の本格的な改正は一度も無い。
 トラック業界では、夜間や長距離の運行が多く、労働時間管理も困難なことや、規制緩和による競争の激化、労働力不足の一層の深刻化により、経営者側は「1日の拘束時間である原則13時間、最大16時間などの順守は不可能」とする意見がある。このため、長時間労働を助長しない範囲で地域ごとに柔軟な時間設定をするなど、改善基準の緩和を求める声は多い。一方、労働者側は、上限規制の年間960時間について「労働災害認定の過労死ライン」と指摘するなど、更なる規制強化を要請している。
【写真=今後、自動車運送業界特有の課題に対応するため、有識者や労使ら関係者による専門の検討委員会を設置(一部画像処理)】

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