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産 業
2018/01/11

高校新卒の就職先、トラック運転者「ふさわしい」7割 堅実性重視し進路指導 3K指摘の声めだつ 本紙調べ

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物流ニッポン

 新卒者の就職先として、トラックドライバーを「ふさわしい職業」と考える高校が7割――。全国の高校の進路指導担当者に対し、「高校生が就職する際、トラックドライバーを選択するか」をテーマに本紙が行ったアンケートによると、就職先として「ふさわしい」の回答は全体の71%に上り、実際に就職した生徒のいる学校も47%に達することが分かった。一方で、低賃金、長時間労働、交通事故のリスクといった「3K(きつい、汚い、危険)」職場のイメージがいまだ根強く、トラックドライバーや業界に対する偏見も少なくない。人口減少が進む中、トラック運送業界は未来のドライバーを確保するため、更なる業界の体質改善と、正しい情報発信・啓発に努めることが急務と言える。(田中信也)
 調査は、全国の高校の進路指導担当者を対象に、2017年11月6日~12月27日に実施。調査用紙を送付した3861校のうち、638校から回答があった(回答率16・5%)。
 「進路指導で重視するのは」の設問(3項目まで回答)に対しては、「業務内容・勤務地」の回答が553件(86%)と最も多く、「労働時間・休日日数」342件(53%)、「給与・賞与」274件(42%)と続いた。半面、「成長性」は72件(11%)と最少で、高校生の就職では将来の成長より堅実性を求めることが明らかになった。
 また、「(高校新卒者の)職業としてトラックドライバーはふさわしいか」では「とてもふさわしい」(8%)、「ふさわしい」(63%)が合わせて7割を超え、「あまりふさわしくない」28%、「ふさわしくない」1%を大きく上回った。
 「トラック事業者から求職があったか」の設問では、「あり」の回答が86%と大多数。
 一方、「事業者を紹介したり、就職させたことはあるか」では、「紹介し、就職した」が44%、「紹介したが就職しなかった」は26%となり、合わせて7割以上の高校がトラック事業者との接点があることが分かった。
 就職先として「ふさわしい」や「ふさわしくない」の理由も聞いた。ふさわしい理由としては「日本社会に必要不可欠」「ドライバーがいないと物流が止まる。とてもやりがいのある職業」「インターネット通販の普及により社会への貢献度は大きい」「人々の生活を支える重要な役割があり、熊本地震でもその重要性が認識された」――など、社会のライフラインである物流を支える最前線の職業としての評価が多かった。
 また、「責任もあり、人間として成長できる職だと思う」「就職後に経験を積み、働いていける環境を整えている」といった、成長性を挙げる意見や「車や運転が好きな生徒にはやりがいがある」「(現場で)働くのが好きで一カ所に拘束されない(職業を望む生徒には適している)」など、生徒の好みや適性によって選択肢になり得るとの声もあった。
 一方、ふさわしくない理由では「職業としてきつい、厳しいイメージがあり、生徒が希望しない」「労働時間が長く、休日は不規則。条件のいい職業は他に多くある」「残業などが多い割に給与が低い」「業界のイメージ悪化で保護者などが選ばせない」「交通事故などの危険を伴う」「長距離運転による健康面への影響や事故のリスク」など、3K職場を指摘する声が目立った。
 更に、「スキルアップができないトラックドライバーで終わってしまっていいのか」「特に親世代から、学力も技術も協調性も無い、どこにも就けない者が行くところというイメージを持たれている」など、かつて「運ちゃん」「トラック野郎」と呼ばれていたころの「負のイメージ」がいまだ根強いことも、一部の回答から見て取れる。
 ただ、古い価値観からの偏見だけでなく、「ヤマト(運輸)や佐川(急便)の(賃金未払いなどの)報道で、給与や労働条件の悪いイメージが持たれている」「自分勝手なドライバーが多くみられる」といった指摘もある。
 従業員への残業代未払いや、交通違反者の身代わり出頭といった問題により、ドライバーの労働条件改善の必要性が知られ、運賃値上げなどを国民に許容させる効果があったが、半面、就職先としてのイメージダウンにつながったようだ。
 このほか、「運転の技術や経験を積んでからの方がいい」といった、運転スキルの低い中での就業を不安視する意見もみられた。また、「高校での学習内容と一致しない」「資格を生かして進路につなげているので、生徒が希望しない限り勧めない」など、教育課程と職業とのミスマッチを指摘する声もあった。
 トラック業界では、工業高校の生徒を求職のターゲットにしていた時期もあったが、ある工業系高校の担当者が「製造業への就職が95%弱を占め、トラック業界への就職は今まで無い」と強調するように、様々な資格の取得を通じて、主にモノづくりの即戦力を養成する場として機能している。
 また、トラックドライバーが「ふさわしい職業」とする回答でも「労働時間の改善が進めば勧められる」「適正な待遇ならば問題無し」など、労働環境の改善を条件付けするケースも見受けられる。
 更に、AI(人工知能)や自動運転など技術進化の観点で、職業としての将来性・継続性に目を向けた意見も上がった。「今後AI化された自動車の普及によりドライバー業務が変化し、新たな業務が生まれると思う」「AIなどが様々な職業を奪うと言われている中、(ドライバーは)人間が担わざるを得ない仕事の一つ」との評価がある一方、「将来、AI(を導入した)システムによって不要になる可能性がある」「将来無くなる仕事の一つ」といった逆の見方もあった。
 社会の公器として重要性は認めているものの、生徒の就職先としては労働環境や仕事のやりがい、スキルアップの観点から疑問符が付く――。こうした進路指導担当者の「職業観」を踏まえた対応が、トラック業界関係者に求められるのではないだろうか。

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