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2016/07/21

首都高ローリー横転事故、多胡運輸に32億円支払い命令 荷主・元請け責任問わず 東京地裁

t.kokudo
物流ニッポン

 2008年8月に首都高速道路でタンクローリーが横転、炎上した事故を巡り、首都高速道路(宮田年耕社長、東京都千代田区)が復旧費用など損害賠償を求めていた裁判で東京地裁(青木晋裁判長)は14日、多胡運輸(群馬県高崎市)と運転者に32億8900万円の支払いを命じた。荷主(出光興産)と元請運送会社(ホクブトランスポート)の責任は問わなかった。この事故では、多胡運輸が加入していた関東交通共済協同組合(千原武美理事長)15年6月、11億8千万円を日本高速道路保有・債務返済機構(勢山広直理事長)に支払っており、トラック業界では過去に例の無い高額補償事案となった。(北原秀紀)
 タンクローリーは、東京都江東区の油槽所からさいたま市のガソリンスタンドにガソリン16キロリットル、軽油4キロリットルを輸送していた。8月3日午前5時52分、5号池袋線下りを走行中、熊野町ジャンクション(JCT)の急なカーブを曲がり切れず横転し、左側側壁に衝突した。運転者は重傷を負い、積み荷は5時間半以上にわたり炎上。路面がゆがみ、橋桁が変形したほか、近隣のマンションの外壁も焼けるなど多くの被害が出て、首都高の全面復旧まで2カ月半かかった。
 青木裁判長は高架部分の架け替え工事の費用など17億円のほか、通行止めによる営業損失を認めた。原因については「20~30キロの速度オーバーでカーブに侵入した」と過失を認定。しかし、出光興産については「指揮監督関係が運転者に及んでいたとは認められず、使用者責任は負わない」とした。
 この事故で13年5月、関交協は保有・債務返済機構から差し押さえ債権取り立て請求の訴訟を起こされた。
 事故後トラック事業を廃業している多胡運輸に支払う危険物輸送の補償最高限度額10億円を巡って裁判となったが、1審、2審とも関交協が敗訴。7年分の利息を含めて11億8000万円を支払った。
 一方、関交協は加入している全国トラック交通共済協同組合連合会(坂本克己会長)の再共済により9億3500万円の支払いを受け、多額の損失を回避した。単独車両による事故としては国内史上最大規模となる損壊事故の業界全体に与えた影響は計り知れず、その爪痕は今も残っている。
【写真=タンクローリーが炎上し、高速道路は大きく損傷=首都高提供】

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