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<トップに聞く>住商グローバル・ロジスティクス社長・日比生裕一氏 物流の新価値を創造 国内外一体 ニーズに対応

 「物流の新しい価値を創造すること」――。住商グローバル・ロジスティクス(東京都中央区)の日比生裕一社長は、今後の指針を簡にして要を得た表現にまとめる。4月1日付で就任すると同時に、住商グループ海外法人の子会社化に着手。2015年度内に国内外がより一体となり、顧客ニーズに即応できる体制を築く。どう認識しているか。  人手不足などの状況は承知しているが、物流に求められる役割が大きく変化していくとは思わない。ただ、新たなニーズは確実に発生しており、高付加価値の仕事を手掛けるチャンスは広がっている。  ――人材が成長を大きく左右する。  経営理念には「個人の尊重、自由闊達(かったつ)、自己成長」「競争力のある、高品質な物流サービスの提供」を掲げている。これを今一度よく理解して欲しい。毎日の業務を遂行する中で、個々が最大限の力を発揮し、顧客の信頼を獲得することが大事。その上で、新たな仕組みを導入してもらいたい。  ――求める人材像は。  自発的に成長する意欲を強く持って欲しい。15年から「SGLまなび塾」を開講した。受講者は本社の人間が中心になるが、テレビ会議形式を取り入れており、地方勤務者の参加も歓迎している。横の連携を密にすることで、仕事の意味合いを理解してもらうのが狙いだ。  ――住商グループの海外法人の位置付けを見直す。  端的に言うと、SGLジャパンに集約する。従来も国内外の連携はしてきたが、ノウハウを共有して業容の拡大に結び付けるのが眼目。子会社化は米国とドイツの法人を皮切りに、インドネシア、タイ、ベトナム、中国と全6社を対象に実施する。16年3月末までに完了させる。  ―― 規模が急拡大する。  売り上げは国内が300億円強で、海外は単純合算で同等レベルとなる。16年3月期の売り上げは600億円くらいになる見通し。海外は住友商事との一体運営も更に推進する。住友商事が上組と組み、ミャンマーで物流事業に参入する。こうした案件にも積極的に関わり、海外ビジネスの強化を図る。一方、国内は延べ床面積23万1千平方メートルのセンターを生かし、親和性のある企業とのアライアンスを探っていく。  ――物流機器のレンタル事業も柱の一つに据える。  折り畳み式の液体専用コンテナ「マキシコン」を全国ベースでレンタルしている。食品やトイレタリー、化粧品などに利用され、商品の効率的な輸送・保管に貢献している。今後も年に1500基から2千基の投資を実施したい。容量も1トンのサイズだけではなく、ハーフトンや200リットルも取りそろえ、化学品などの需要にも応じていく。  ――最後に将来展望を。  住商グループが創業100周年を迎える20年3月期には、収益規模を倍増させたい。14年10月に設置した新事業開発室を中心に、新分野への挑戦を目指している。付加価値を常に追求し、お客さまから感謝される仕事をし、新たなお客さまを紹介していただく。これほどうれしいことはない。  文・写真 沢田顕嗣  ひびお ゆういち 1961年9月生まれ。85年東京大学法学部卒業、住友商事入社。海外赴任を経て物流保険事業本部の物流事業開発部長付などを歴任。2012年7月住商グローバル・ロジスティクス執行役員センター事業本部長、14年4月取締役執行役員管理本部長兼経営企画室長。15年4月から現職。  ◆企業メモ◆ 2006年4月の3社統合により誕生した。総合商社系物流会社として、グローバルネットワーク、情報力、信用力を武器に、生産地から目的地をシームレスに結ぶサービスを提供。16年3月期の売り上げは、住商グループ海外法人の子会社化により、600億円程度(14年3月期の単体売り上げは360億3600万円)を見込む。

 北朝鮮に拉致された疑いのある、サンライン(御殿場市)の橘哲夫社長の長男、邦彦さん(当時19)を救出するため、静岡県トラック協会の東部支部(伊藤栄章支部長)が首相宛ての署名を集めた。  1月から2月末までに5296人が賛同。4月20日、橘氏に署名を手渡し、26日には拉致被害者の家族会、救う会、拉致議連、知事の会などが日比谷公会堂(東京都千代田区)で開いた国民大集会に届けられた。  邦彦さんは、12人の認定拉致被害者に次いで疑いの高い、70人ほどの「拉致濃厚」の一人。静岡県内では12人が挙がっており、2014年7月に北朝鮮が「安否再調査を行う」と発表した際には、解決への期待が広がっていた。  しかし、1年近く経過した現在でも進展が無いことから、拉致濃厚の家族で構成する救う会では、少なくとも国から拉致の「認定」を受けるべく行動を起こしていくという。  20日、橘氏は「長年、家族の中だけで息子の無事を祈ってきたが、この状況が全国に伝わるようトラ協の支部が働き掛けてくれたことに感謝している。拉致被害は、個人で踏み込んだ調査ができず、政府でなければ対応できない。一刻も早く息子が帰ってくるよう、国への働き掛けを強めたい」と決意を語った。  伊藤支部長も「我々の仲間の中に拉致被害者がいることは驚きだった。このような時こそ、支部として団結を見せる時。目指すところは被害者全員の帰還なので、支部としても問題解決を支援するため、これからも要望を続けたい」と話した。(梅本誠治) 【写真=伊藤支部長(右)から署名を受け取るサンラインの橘社長(20日)】

 【新潟】東部運送(川崎道夫社長、新潟市秋葉区)は19日、第67期経営計画の検証会を開催した。2014年9月にスタートした取り組みについて部署別に報告。それぞれ課題や改善点を発表し合い、目標達成へ下期も一丸となって努力することを誓った。(河野元)  川崎社長が「2年前、社長に就いた際、『幸せを感じられる会社』を目標に掲げた。しかし、業界を取り巻く情勢は大変厳しく、なかなか希望通りにはいかない。この検証会がそのギャップを埋めるきっかけになってくれることを期待している。当社に携わる全ての人たちが同じ思いを抱き、一歩ずつ着実に前進していきたい」とあいさつ。  各営業所のスタッフは、品質管理の国際規格ISO9001と環境管理の14001の認証取得を踏まえ、事故防止や省エネの推進を中心に活動状況を説明。総務、営業、車両整備といった輸送以外の部門も改めて反省点や今後の計画を示し、情報の共有を図った。  また、今回初めてグループ会社の大昌運輸(渡部修社長、新潟県阿賀野市)も参加し、方針を述べた。  発表の合間には、全員で社是や社訓、経営理念、行動指針などを唱和。あいさつ訓練、服装点検も挟み、常に緊張感を保ちながら進行した。  年末の繁忙期を含む交通事故ゼロ100日リレー運動の優秀事業所、永年勤続者への表彰も実施。新たな資格取得者には自己啓発奨励賞も贈られた。  続いて、川崎敬文会長が「経済という言葉は中国の古典に登場する『経世済民』から来ている。世のため、人のために尽くすことを意味するもので、この行事の狙いもそこにある。宣言した内容を日々繰り返して確認し、必ず実践して欲しい」と呼び掛けた。  最後に、社員の代表者が決意表明を読み上げた後、一斉に「労働災害ゼロでいくぞ!」「安全運転でいくぞ!」と力強くコールを行った。 【写真=「安全運転でいくぞ!」と力強くコール】

 多治見通運(武藤利樹社長、岐阜県多治見市)は5月1日、本格的なサードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業をスタートさせる。本社併設の倉庫施設を拠点とし、入出庫管理から物流加工、輸送までを一貫して手掛けるもので、東海・東南海地震に備えた顧客のBCP(事業継続計画)需要も見込む。(星野誠)  3PL事業の拠点となるのは、7棟の本社倉庫のうち、延べ床面積4500平方メートルで、鉄骨造り平屋建ての第3倉庫。国道248号沿いで、中央自動車道・多治見インターチェンジ(IC、多治見市)から2キロの好立地にある。  主に食料品や日用雑貨などを扱う予定で、物流加工も行うため、倉庫の一角に面積660平方メートルの作業室を新設。作業室は商品種別に応じて細かく区切られ、厳重な衛生管理を行う専用スペースには、二重扉と手洗い所を設置した。  倉庫部の松浦勇二部長は「異物混入事件の多発で衛生管理が問われている食品関係はもとより、洗剤などの商品も安全対策が求められる。取扱品目が多岐にわたるので、きめ細かい対応をしていきたい」と説明する。  4月22日からは、女性スタッフがパンフレットの折り込み作業を前倒しで開始している。  入出庫作業についても、万全の体制を整える。天井の鉄骨部分までは高さ6㍍あり、排水溝が付いた幅5メートルの通路を確保しているため、雨天でも倉庫内で大型トラックの積み下ろしが可能。  更に、本格3PL事業のスタートに合わせ、自社ロゴマーク入りのパレット、木製千枚、プラスチック製500枚をそれぞれ製作。フォークリフトのツメによる破損を防ぐため、木製パレットは差し口に硬質の木材を使った特注品にしている。  スタッフは、入出庫作業に6人、物流加工にパート従業員を含めた11人を配置。繁忙期はリフトマンなどを補充し、最大で20人体制となる。  武藤社長は「これまで近い仕事はしていたものの、本格的な3PL事業は初めてで、我が社が目指す『物流商社』に向けた大きな一歩。人材と施設を効率的に活用し、中小トラック事業者が手掛ける3PLのモデルケースにしたい」と強調。更に、「ここ東濃地区は比較的地盤が固く、大規模地震の被害も少ないと予想されているため、自動車メーカー関連施設などの建設が相次いでいる。我が社の3PL事業は、顧客企業のBCP対策でも役立つはず。しっかりとPRしていきたい」と力を込める。 【写真=3PL事業の拠点となる本社第3倉庫】

 アサヒロジ(丸山高見社長、東京都港区)は25日、フォークリフトを対象とした「愛車運動」の全社発表大会を東京都で開催した。支社単位の発表会を勝ち抜いた12の支店・営業所がプレゼンテーションを行ったほか、初めてトラックの愛車運動の取り組み事例も発表された。トラックに関しては関連運送会社や協力事業者も参加し、本格的にスタートさせる。(田中信也)  愛車運動は当初、東京支社の富士宮支店で自発的にスタート。その後、「現場で知恵を出し合い、職場を健全成長させる」(丸山社長)との確信を得て、2014年6月に東京支社で発表会を開催した。  その結果、作業中の事故削減や作業環境の見直し、安全・安心な職場づくりと一体感の醸成――といった成果を確認、同9月から全国展開を始めた。今回、全国6支社の発表大会から選抜したチーム(支店・営業所)による初の全社大会の開催に至った。  丸山社長は「昨年の下半期に愛車運動を全国展開してから、事故の発生件数は前年比4割近い大幅な減少となった。運動の目的は何といっても『安全』だが、それだけでなく仲間、職場、荷物、品質を大切にすることにも通じる。引き続き、安全を最優先に全社を挙げて運動を磨き上げ、進化させていく」と意気込みを語った。  発表では、各チームが①フォークの塗り替え②作業時の課題や場内の危険箇所の洗い出しと改善③乗務記録表の作成と日々の記録④活動前後での事故発生の状況⑤課題の抽出――などを基本にプレゼンを行った。  「フォークに張り付けるネームプレートをカラーでランクアップ」(群馬支店)、「傷を発見した箇所へのシール張り付け」(広島営業所)、「新人と良く事故を起こすオペレーターを対象とした講習の実施」(宇都宮支店)など、創意工夫の取り組みが披露された。  審査の結果、金賞(1位)が群馬支店、銀賞(2位)は神奈川支店、銅賞(3位)に名古屋支店がそれぞれ輝き、表彰状とトロフィー、記念品が贈られた。  また、特別発表として東京支社平和島支店のドライバーが、小型トラックによる愛車運動を報告。今回は車両のリペアに焦点を絞っており、「洗車やワックスがけ、ペンキ塗り替えに取り組んだことで不具合が早期に発見でき、取り組み以降は事故ゼロを継続している」と効果を強調した。今後、大型についても、グループ全体で展開していく。 【写真=丸山社長から表彰状を受け取る群馬支店チーム】

 【兵庫】淡路貨物自動車(小田美穂社長、兵庫県洲本市)は今期から、神戸・大阪地区などに荷物を引き取りに行き、顧客のところまで直接運ぶダイレクト便の拡大に本腰を入れる。また、2014年から大手引越業者の協力会社として3、4月の繁忙期の仕事を請け負っており、今後は繁忙期以外の需要も取り込んでいきたい考え。神戸営業所(神戸市兵庫区)を中心に手掛けている郵便事業では、全社的に主力の業務となっており、積極的に増車していく方針だ。(江藤和博)  前期は内部充実に力を注ぎ、14年9月には本社に燃料のインタンクを設置。淡路島内の車両だけでなく、神戸営業所の車両も給油して帰るなどして、大幅なコスト削減に成功した。05年に認証を取得した品質管理の国際規格ISO9001の定期審査も終え、事故率の低下や品質管理の向上を確認。更なる安全・品質のレベルアップに力を入れている。  一方、指定自動車整備事業も行っているが、5人のスタッフのうち3人が取得していた2級ディーゼル自動車整備士の国家試験に、他の2人も合格。淡路島で整備工場を持っている運送会社は同社だけで、この分野の充実も進めている。  路線免許を保有していた時期に、引越事業専門の部署を設けていたものの、その後に撤退。今では、淡路島に引越専門業者はおらず、大手専門業者のネームバリューを生かしながら、神戸だけでなく淡路島内も含めて需要を掘り起こし、年間を通じて仕事を確保していく。  郵便事業は神戸営業所を中心に25~30台を配置。ニーズは強く、増車の方向だ。今年に入って、他の仕事に従事する車両を含めて4トン車2台、大型車1台を購入。神主を呼び新車導入の儀式を初めて本社で執り行った。  宮崎順次常務(52)は「ダイレクト便は、電化・鉄鋼製品などを扱っているが、時間短縮となり荷主に喜ばれている。月々の売り上げの計算もできるので他の荷物も取り込み、強化していきたい」と話す。  小田社長(82)も「念願だった南あわじ市企業団地への拠点集約化に引き続き取り組んでいく。淡路島内にある4カ所の営業所を1カ所にまとめれば、大幅なコストダウンができ、収支の改善が可能だ。絶対に実現させたい。その一方で、神戸営業所は周辺が狭あい化しており、もっと広い土地があれば出て行って規模を拡大したい」と意欲をみせる。 【写真=年間を通した需要取り込みに意欲をみせる宮崎常務(左)と小田社長】

 「日本最大の物流ネットワークを構築し、10年後に売上高1千億円を目指す」――。丸和運輸機関は23日、10年以上前から準備を進めてきたパートナー企業のための経営支援ネットワーク「AZ―COM丸和・支援ネットワーク」(AZ―COMネット)の発会式を東京都内のホテルで開き、会員138社の組織として始動した。2016年3月までに250社、26年3月までには2千社という過去に例の無い最大規模の組織を目指す。(谷本博)  東京証券取引所第1部への指定をにらみ、14年10月から説明会を重ねてきた。1部指定と絡み、大型事業の新規受注が目白押しとなっているため、調達資金をネットワーク組織に活用し、パートナー企業の成長エンジンとしていく。具体的な会員支援として、共同購入によるスケールメリットの追求や支払いサイトの短縮がある。燃料の共同購入では、全国ネットのフリート契約により、スタンド納入で現行より1リットル当たり20円以上の引き下げを目指す。  車両購入でもAZ―COMスタンダードを構築し、大型車で100万円、4トン車50万円、2トン車30万円、軽車両でも20万円のコストカットを実現。事務用品や各種備品についても、会員専用サイトで20%から80%引きを目指す。  支払いサイトは正会員の場合20日、準会員25日、賛助会員30日という大幅な短縮を図り、パートナー企業のキャッシュフローを改善。更に、低金利の資金調達による支払金利の低減や人財育成支援なども挙げている。  当面はネットワーク拡大に力を入れ、3年後の目標に会員750社、1日当たりの稼働車両数1万台、年間売上高350億円を掲げる。10年後には、それぞれ2千社、3万台、1千億円に引き上げる。  発会式に合わせて開かれた設立総会では、会則規約や初年度事業計画、予算などを原案通り承認。役員選任では、3月20日の設立発起人会で理事8人、監事2人を選出し、丸和運輸機関の和佐見勝社長の理事長就任を全会一致で承認している。  設立総会に続いて行われたパーティーでは、和佐見氏が「東証1部指定を1年と2日という業界最速で実現できたのは、多くの関係者の皆さまの支援のお陰。当社は創立70周年を迎える2040年に1兆円企業を目指すことを社員全員で確認したばかり。AZ―COMネットは、上場企業だからこそできる事業だと確信している。こうしたネットづくりは業界初の試みであり、過去に例の無い会員2千社という最大の組織を目指していく。実現した暁にはバイイングパワーのすごさを実感するはず」と意気込みを語った。 【写真=「バイイングパワーのすごさを実感するはず」と和佐見社長】

 「放浪記」や「浮雲」などの作品で知られる鹿児島ゆかりの作家、林芙美子(1903~51年)の文学碑が、城山観光ホテル(鹿児島市)の敷地に建てられた。  芙美子のおいに当たる太陽運輸倉庫(重久修一社長、同市)会長の重久紘三氏(75)が個人で寄贈。4月22日に催された除幕式には100人が出席した。  文学碑は、鹿児島女子短期大学の井上周一郎准教授がデザイン。城山から桜島の風景が一望できるホテルの噴水広場に建立した。高さ1.3メートル、幅3メートルのカッカーラ産(イタリア)大理石に「花のいのちはみじかくて」の一文を含む詩稿が、芙美子の筆跡で刻まれている。本人が好きだったタンポポもレリーフで添えた。  式典で、重久氏は「文学碑に刻んだ『風も吹くなり雲も光るなり』のフレーズに鮮烈な印象を受けた。浮き沈みを重ねた事業を振り返ると、まさに詩の通りであり、将来への希望と一歩を踏み出す勇気をもらった。おばが好きだった城山に文学碑を建てたかった」との思いを打ち明けた。  城山観光ホテルを運営する城山観光(鹿児島市)の伊牟田均社長は「鹿児島の文化財、観光資源として貴重なものになる」と謝意を述べた。  芙美子は幼少の一時期、鹿児島市の城山のふもとにある小学校に通い、山に登って美しい海や桜島、町並みを眺めることが好きだったという。(上田慎二) 【写真=桜島が一望できる城山に文学碑を建立】

 【福岡】福岡県運輸事業協同組合連合会(原重則代表理事)が、古賀市の県道35号線沿いに第5次集団化事業として形成している、24時間・365日稼働の大型拠点「古賀物流団地」(全24区画)では、2015年度内にも組合員9社の物流施設が本稼働する見通しだ。(武原顕)  九州自動車道・古賀インターチェンジ近郊にあり、開発面積は19万4700平方メートル、分譲面積が13万4900平方メートル。福岡東物流センター協同組合(西尾史郎理事長)が運営を担う。現在、組合員の本社、倉庫、物流センターの建設が進んでいる。  今回の集団化事業では、高度化資金を活用せず、それぞれの進出企業が区画を購入。福運協連では、組合員の資金計画を後押しするため、初年度の事業資金として20億円余りの金融・信用補完事業を行う。  荷主企業のロジスティクス戦略の拠点に位置付け、集団化のメリットを最大限に生かし、進出企業の従業員が快適に働ける環境を整備していく。福運協連の年間取扱高は200億円を超え、新事業の稼働で事業規模が更に拡充する。  これまで、古賀市篠林地域物流団地(仮称)で計画を進めていたが、古賀市から、3月18日付で「古賀物流団地」の名称と案内板などの掲示について許可が下りた。組合員ほか進出企業で組織する「コスモスふれあいパーク協議会」(西尾会長)が申請していた。  今後の懸案事項として、新宮町側に抜ける築造通路の完成や、県道35号線の4車線拡幅化などがある。 【写真=拠点建設が進む古賀物流団地】

 アサヒロジスティクス(横塚元樹社長、埼玉県嵐山町)は、6月までに秋田、岩手、神奈川の3県で拠点を新設し、東日本エリアのネットワークを強化する。2016年3月期の目標である売上高240億円、経常利益率5%を足掛かりに、5カ年中期経営計画の最終年度となる20年3月期は、グループ売上高320億円達成を見込む。東日本全域を網羅する盤石な拠点網を完成させ、物流インフラ企業として「東日本のアサヒ」を目指す。(小瀬川厚)  21日、東京都で開いた経営計画発表会で、横塚社長が中計の内容を明らかにした。  6月に本社機能をさいたま市大宮区に移転。事業エリアの拡大を見据え、東北、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線が乗り入れ、都心から30分程度と東日本の各地域へのアクセスに優れるJR大宮駅近くに本拠を置く。BCP(事業継続計画)や将来の人材確保も視野に、昨秋から移転を検討していた。  また、秋田県と岩手県に初めて進出。4月に秋田営業所(秋田市)、6月には北上営業所(岩手県北上市)を立ち上げる。神奈川営業所(相模原市中央区)も近く稼働させる。それぞれ10~25台の車両を配置し、コンビニエンスストア向け配送を行う。  14年度にドライバー231人を増員したことを受け、教育体制拡充にも着手。今期中に埼玉県滑川町の自社所有地にテストコースや運転シミュレーターを備えた研修施設を建設する。1万1500平方メートルの敷地に平屋建て床面積420平方メートルの研修棟を建て、屋上からテストコースを見渡せるよう見学台を設ける。  15年3月期の売上高は、M&A(合併・買収)ではなく大口荷主の新規受注などにより前の期比17.6%増の227億円(連結230億円)を確保。過去10年間で最も高い伸びを示したが、横塚氏は「規模の拡大に満足してはならない。冷静に事業を見つめると課題は山積している。中身を伴わなければ、『成長』ではなく『膨張』になってしまう」と指摘。今期スローガンの「ダントツのS&Q(安全・品質)を確立しよう!!」の下、安全・品質管理の更なる向上を図っていく考えを示した。  横塚氏は、40分間に及ぶ説明の中で「5千店舗向けの配送を毎日行っており、面で抑えられる強みがある。今期の売り上げ目標は、見込み売り上げを加えず策定している。地に足を付けて『仕組み』をつくり、今後の発展に向けた足場固めの年としたい」と強調した。  今回の発表会は、従来の取引先や金融機関、同業者向けの内容から、従業員を強く意識したものに変更したのが特徴で、従業員を会場の前方に着席させた。  また、発表会に先立ち、自主管理経営優秀拠点、改善事例優秀拠点、ベストドライバー・永年勤続者表彰も行った。 【写真=「規模の拡大に満足してはならない」と横塚社長】

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